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睡眠のポーション

今回少し長めです。


夢……あぁ……あの日の夢だ。

私が人になった日の あの人と出会った日の夢。


最初は何が何だか分からなかった。

気がついたら全身が言葉にならないくらい痛くて。

暫くしたら痛みがなくなって。

あの人と出会った。


あの時は本当に頭が追いつかなかった。

痛みがなくなったと思ったら

穏やかな声が聞こえてきて

体も元に戻ってて。

綺麗な洋服をくれて

優しく私の髪に触れて切ってくれた。

それに 名前も…。


今思えば。

あの人が自主的に私に触れてくれたのは。

あの時が最初で最後だった。


何だか懐かしい。

あの日初めて人のぬくもりに触れた。

どこか拙くて

いつか触れたことのあるような。

あのぬくもりに触れた。


それから色々なことを学んだ。

特にポーションを学ぶのは楽しい。

何というか

ポーションの調合は私にあっている。

それに

学んでいくたびに

あの人の事を知れているようで…。


あの人と沢山お話もした。

いつも穏やかな口調で。

色んな話をしてくれた。

出かけた時は 歩くのに必死だったみたいだけど

あの人の意外な一面を知れたみたいで何だか楽しかった。


でもね。

でもさ。

どうして あの人は私と離れる事を前提にしているんだろう。

私が将来の話をした時

どうして言葉を濁すんだろう。


ねぇエジィリィ……

私と一緒は…

嫌………?



……声…?

あ……エジィリィの声だ

私を呼んでる…

夢が…終わる…。



「エイノア、起きて。おーい、エイノア」

「ん……」

「エイノア。…エイノア」

「んぅ…?………」


 起きたかな?昼寝の邪魔をするのは悪いが、そろそろ危険な地点につくので起きてもらわなければならない。


「おはよう、エイノア。昨晩とは打って変わって天気がいいからね、気持ちよかったろう」

「おはよう、ございます…」


 今から話をしても頭に入らないだろうし、少し経ってから話し始めようか。



ごと、ごと、ごと、ごと……

雲一つない快晴の下、ゆったりと馬車を進ませる。

穏やかな時間のまま一日を終わらせたいが、これから進む道はそんな願いを一蹴するような場所。


 はぁ…なんでも屋がしっかり討伐してくれていればなんの憂いもなく進めたのに…。

 まぁ、悪態をついても仕方がない。久しぶりに、明確な'殺意'をもってポーションを使わせてもらおう。


「師匠、もう大丈夫です。何か、話があったんですよね?」

「ああ。ごめんね、前もって話しておけば、もう少し昼寝をさせてあげられたんだけど」

「別に良いですよ。…起こされたのが嫌だったわけじゃないですし」


エイノアはそう言いながら、まだ眠たげな目を擦り俺の肩に預けていた頭を離す。


「そうかい?…じゃあ話を戻させてもらうけど。エイノアはルジード山地に入る前に、装備を着て馬車の中に入っておいてもらいたいんだ」

「分かりました。でもどうしてですか?」

「これから行くルジード山地にはね、大規模な山賊の集団がいるんだ。この人達は中々狡猾で実力もあるみたいでね、前に冒険者達による討伐隊が組まれたらしいのだけど、失敗したみたいなんだ。もう一度討伐隊を組む話も出たみたいなんだけど、貴族のことは襲わないし、そもそも遠回りすればいいし、放置されているんだ」


討伐隊にはそれなりに名のある者も居たようだが、為す術もなくといった感じで撃退されたそうだ。


「なる程、私達が遠回りをしない理由はなんですか?」

「あぁ、それはね。左側には山から続く川と渓谷があるから馬車で左側に遠回りしようとすれば相当時間がかかってね。右は水源がないから、水の備えが少ない俺達じゃバーガンに飲ませる分の水が確保できないんだ。ポーションを使えばどうにかならなくもないけど、もしもの備えにしておきたいしね」

「あっ。じゃあ、山賊と戦うってことですか?」


 戦う、と言っていいのだろうか。いくら驚異的な山賊だとはいえ、果たしてポーションに対抗する備えがあるだろうか。自分で言うのもなんだが、俺のポーションは相当強力なものだし…。


「…多分だけど。戦闘と言うより、一方的な虐殺って言う形になると思う。『装備:梅雨払い』で周囲の魔力をかき消して、二級の睡眠気化ポーションを使おうと思っているからね」

「(?)ポーションの魔力は消えないんですか?」

「ああ、自分の装備に対しての対策も万全だよ。奪われても良いようにね」

「流石ですね……あ、時間があるようでしたら、山賊のアジトも襲撃しませんか?囚われている人がいるかもしれないですし、これから襲われる人が出ないように」

「おや、エイノアにしては攻撃的だね。先に言っておくけど、眠らせた山賊は全員殺すつもりだよ?」

「ええ。私もそのつもりですよ?」

「えっ…?」


驚きを隠しきれずつい声が出てしまう。


 あの平和主義者のエイノアが殺しを許容…?もしかして、山賊相手には容赦がないのかな?


「もしかして師匠。私が人殺しを一切反対すると思ってます?」

「まぁ、正直」

「えぇー、私そんなんじゃないですよ。確かに師匠にはあまり悪い事して欲しくないですけど、山賊を倒すのはむしろ正義だと思います」

「な、なる程……その、殺していい奴とそうじゃない奴の線引が分からないんだが」


エイノアは少し考える素振りを見せてから口を開く。

その目は、いつもとは少し違って見えた。


「そうですねぇ…少なくとも、人殺しと強姦する最低な人は殺していいと思ってます。ああ、ポーション中毒の青年はまさかあそこまでの悪行をしていると思ってなかったので、あの時庇っちゃいましたけどね」

「マジか…エイノアって意外と攻撃的な性格してたんだね」

「(ふふ。師匠の口からマジかって言葉が出るとは思わなかった)ええまぁ、奴隷時代に相当な憎悪を抱いてましたしね。師匠の言う『クズ』には容赦しないつもりですよ」


 なる程…クズには容赦せず、弱者には恩恵を与える。そんな感じの考えなのかな?


「まぁなんにせよ。エイノアが人殺しに賛成するのなら、アジトを襲撃してもいいよ。あぁでも、もし捕らえられている人がいても、村や町まで護衛するっていうのはゴメンだよ?」

「えーー。それじゃあ助けた人たちも魔物に襲われて結局死んじゃうじゃないですか。そこは護衛してあげましょうよ」

「でも無駄に時間かかっちゃうよ?もしかしたら劇に間に合わなくなるかもしれないし、ポーションを勝手に使われたりしたら、俺も困っちゃうよ」

「流石に恩人の私物を盗む事なんてしないと思いますし、劇は最悪間に合わなくてもいいですよ」


 んー…劇に間に合わなくてもいいと言うとは思わなかった。極端というかなんというか。


「分かったよ、助けてあげようか。全く、エイノアは優しいねぇ…」

「手がかかるって言いたいんですか?」

「どうだろうね……さて、そろそろエイノアは後ろで隠れてくれ。あぁそれと。一級の持続性解毒ポーションを前もって服用しておいて」

「分かりました。あれ美味しくないから嫌いなんですよね…」


 気が合うね。俺も嫌いだよ、あの味は。


……

…………


山道を進むと、不自然に霧が濃くなっていく。多分だが、魔力でできた霧や魔物よけの香、それに微かに香る臭い的に痺れ毒の効力をもつ香かなんかも焚いてるな。


 うーむ。大事を取って俺も装備を全て着けておいたほうが良かっただろうか。今からでも遅くないかな?……でも一応、安全マージンはとってるし…べつにいいか、このままで。



うねり、何度も曲がる道をそれなりに進み、引き返すには相応の時間がかかる辺りに来た頃。


ぴゅっ……

微かに聞こえてきた音と同時に、馬車についてある魔道具が発動した。


「ちっ!やっぱりそっち系の魔道具かよー!」

「まぁ関係ねぇーだろ!」

「それもそうだなー」

「おい!さっさと終わらせようぜ!」

「それな!俺もとっとと終わらせてあいつが絶賛した女を味わいてぇぜ」

「あげといてブスしかいねぇって落ちじゃねぇだろうな!」

「安心しろって!まじでカワイイ子だったからさぁ!」


 結構な人数がいるな。ガヤガヤしてて正確なところは分からないけど、少なくとも10、多分だが20人以上はいるかな?


「つーわけでおにぃさん。死にたくなけりゃーとっととそこから降りてどっか行ってくれや」


布のマスクで顔を隠した男数人が出てきて、馬車を囲われた。


 んー…警戒心がなさ過ぎだとは思うけど、舐められてるからかな?正直、この程度の山賊に撃退されたってことを考えると、雑用係って本当に数さえいればいいって感じなんだなって思えてしまう。


「おいおい、何固まってんだよ情けねぇな。早くしねぇとぶっ殺しちゃいますよぉー!?」


問答無用で殺してこないところを見るに、意外と話し合える奴らなのかもしれない。

そんな馬鹿なことを考えて、質問を投げかける。


「なぁ、君たちの中で一番偉い人は誰なんだ?」

「ああ?…ぶっははははははははははは!!!おいおい!オメェ何だぁ?話し合いでもやろうってのか!?あっははははははははは!!!こいつぁー傑作だ!」


あちこちから嫌らしい笑い声が聞こえてくる。


「残念だけど俺らの中に上下関係なんてねぇんだよ!」

「おい!もういいだろ!?こっちは溜まったもんぶっ放したくてたまんねぇんだよ!」

「わぁったよ!ってなわけで、時間切れだ。じゃあな」


俺としてはもう少しお話をしたかったが、どうやら時間切れらしいので、右太ももについてる細長い瓶の蓋をそっと開ける。


 あぁ、『梅雨払い』で周囲の魔力消すの忘れてた。まぁ、大丈夫だろうけど。


その考えが裏切られることはなく。一瞬にして全ての山賊が眠りについた。

対人用に作っているので、魔物や獣や虫が眠ることはない…はず。


 さて、一人一人手作業で殺して回っても良いのだが、時間もかかるし死ぬまでここで眠っていてもらおう。

 さっきまで俺の対応していたこのスキンヘッドのお兄さん以外は。


腰から黒色の体に赤色で装飾されたナイフを抜く。

右手に持ち、目の前で寝っ転がっている山賊の右の二の腕に当て、押し込むように切断する。

ナイフは殆ど抵抗を受けることなく腕を切断し、切られた本人は一切の反応を示さない。

同じように左腕、左足、右足と切断していき、失血死しないよう治癒のポーションで傷を塞ぐ。


「さて。エイノア!少しの間耳を塞いでおいてくれ!」

「分かりました!」


予め解毒のポーションをセットしておいた右腕に装着してある『喜雨』を男に向ける。


「‘イーチェリッヒ’」


短く低くそう発っすると、スポッ…!っと音を立てて、先端に針が付いた中指程の大きさの瓶が男に突き刺さる。

直ぐには起きないため、少しの間体を揺すって男を起こす。


「………んぁ……?」

「おや、起きたか。おはよう、気分はどうだい?」

「は……?え…い、いでぇ!いでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!あ”あ”あ”ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ”あ”!!腕が_」


全て言い終わる前に喉を裂き、直後に再生のポーションをかける。しかし直ぐに完治されたくないため喉にナイフを突き刺しておく。

再生のポーションの効力で喉とナイフが癒着し、声は出ない。


「ひゅーー……!ひゅーー……!」


必死に、辛そうに呼吸をしている。

そんな彼には悪いが、追撃で激痛のポーションを顔に数滴垂らす。


「_____!!!!_______!!!!!」


頭をばたつかせ、涙や鼻水を撒き散らしながら、字に起こせないような叫び声をあげている。

激痛のポーションは拷問の手間を避ける為に作った、人に耐え難い苦痛を味わわせる為のポーション。

その苦痛は、もはや普通の拷問の方がマシだと思わせる程のもの。

これできっと、彼も従順になってくれることだろう。


 っと、このくらいでいいか。


ナイフを抜き口に無痛のポーションを突っ込む。

先程飲ませた再生のポーションの効力は消えておらず、直ぐに喉が完治した。


「あぇ………?いたくねぇ………?」

「いいかい?よく聞いてくれ。もう一度あの痛みを味わいたくなかったら俺の言うことを聞くんだ。分かったかい?」

「ああ勿論だ!何でも従う!!だから、な?もうさっきのはなしで頼むよ」


先程の調子は何処へやら、涙とよだれと鼻水でグチャグチャになった顔で必死に媚びてくる。

俺としては都合がいいので文句はない。


「じゃあ先に言っておくが、余計な事を喋ってはいけないよ?俺ともう一人の女の子の質問にだけ答えるんだ。分かったかい?」

「分かった…!!」


男はぶんぶん、と首を縦に振りながら返事をする。


「さて、少しここで待っていてくれ。俺は連れを呼んでくるから」

「分かった」


……

…………


それから、エイノアを呼ぶのと同時に『初東雲』以外の装備を追加で装着し、いくつかのポーションを飲み男を脇に挟んで担ぎ、案内されるがまま山賊のアジトを目指した。



「…そこの茂みを抜けたらアジトの洞穴があるんだ」

「わかった、ありがとう。念の為もう一度聞くけど、アジトはそこの一つだけなんだね?」

「ああ。誓ってここ以外にはねぇ。何なら!他の奴も拷問して聞き出すといいぜ」

「そうだね、そうしようか。じゃあ、君はここで待っていてくれ。エイノアも一応、入り口で警戒している人たちを無力化するまでここで待っていてくれ」

「分かりました」


男をテキトーな木に寄りかからせ、両腕の『喜雨』に睡眠のポーションがセットされていることを確認する。

アジトは錯覚の魔法などで偽装はされていないらしいため、『梅雨払い』を使う必要はないだろう。


ザザッ……

わざとではないが音を立てて茂みを進む。


茂みを抜けたと同時に、ぴゅっ……!とかすかな音をたて二本の矢が飛んでくる。が、大した驚異でもなく俺に当たるまでの猶予があるため、気にせず入り口の警戒している男二人に、両手を向ける。


「‘イーチェリッヒ’」


両腕から一つずつポーションを発射し、矢を避ける。

入り口を警戒していた男達は声を上げられることも無く速やかに無力化できた。


 仲間か確認もせず射ってきた事を考えるに、入り口がもう一つあるのかな?

 あの男、まだ勝ち目があると思って情報を渋ったのか?余程仲間意識が強いと見える。いや、ここまでの道を教えてる時点でそんなもの無いか。


「エイノア。もう良いよ」


ザザッ…

茂みをかき分けエイノアが出てくる。


「中はどうやって制圧するんですか?」

「睡眠の気化ポーションだよ。本当に便利で優秀だろう?」

「そうですね。師匠って戦う時それしか使わないんですか?」

「いや?まぁ確かに睡眠の気化ポーションは多用するけど、別にこれしか使わない訳じゃない」


そう言いながらレッグポーチから少し大きめの瓶を取り出し洞穴に投げ入れ、空気の層を作り出す魔法を発動し、気化したポーションが外に逃げないようにする。

俺が使える数少ない魔法の一つだ。


「‘アトモスフィア’」

「あ、師匠が魔法使ってる」

「はは。まだエイノアの前で使ったこと無かったっけ?」

「ええ。使えるってことは聞いてたんですけど、使う機会もありませんでしたしね」


 何故か弟子に技術を隠していたような気分になったけど…まぁ、そう使う機会がそうあっても困るし、悪いことじゃないだろう。


「そういえば、エイノアも魔法を使えるんだよね。どういったものを使えるんだい?」

「そうですねぇ…魔力を圧縮して師匠みたいに層にして壁を作ったり、逆に薄くして存在感を消したりですかね。生物って、無意識に魔力を感じ取ってるみたいなので、割と使えますよ」

「へぇ…強度はどれくらいだい?」

「んー……結構強め?それこそ大スネイトの攻撃くらいなら余裕で身を守れますよ」

「それは凄い。細かい操作はできるかい?」

「それなりにできますよ?」


 ふむ…多分魔法の技術は俺より上だな。良いね。今度ちょっとした戦闘技術を教えてあげよう。


「さて、もう少し話をしていたいけど、今は拠点の制圧を頑張るとしようか」

「と言っても、もう終わったも同然ですけどね」


 言葉選びを間違えただけだよ、そう揚げ足を取らないでくれ。


……

洞穴の中は思ったより広く、幾つもに枝分かれした道の先に広い空間があり部屋のようになっている。

どうにか換気をできるようにすれば、ポーションの実験場として割と最適な空間かもしれない。


「酷い……」


エイノアがポツリと呟く。

視線の先では数人の女性が犯されており、見せしめに殺されたのか、グチャグチャになった死体も転がっていた。死体はそれなりに劣化が進んでおり、酷い匂いを放っている。


 こんな空間で盛るとは…いやそんな事より、病を治すポーションをいくつか調合した方がいいか?こんな所に住んでいて健康なはずが無いだろうし。

 それに、布や靴はどれくらいあるのだろうか。裸で連れ出したら無駄に怪我するよなぁ…。


とりあえず、山賊で無いだろう人達を一箇所にまとめる。

真人が7人

牙人が3人

長人が1人、計11人。

内男は真人に2人、牙人に1人。全員裂傷等でひどい状況だった。

牙人は全員キャティの特徴をもっている。


 勇者が付けた名前で言うのなら確か……ネッコ耳…いや、ネキョ耳?だったか?いやまぁ、そんな事はどうでもいいか。とにかく今は物資を集めないと。


……

…………


衣類はそれなりに手に入った。

治癒のポーションをふりかけて傷口を塞ぐ程度には傷も治してあげた。

後は病を治すポーションだが、こっちは病によって調合法が変わる為、全く備えがない。


 仕方がないし、病への対策は俺とエイノアだけ一応しておいて、この人達はこのままでいいか。


「師匠。不謹慎かもしれませんが私、獣人やエルフの方とお話するのが初めてなので少しワクワクしてます」

「うん…?(ああ、牙人と長人の事か)確かに、町でたまに見かけるけど、話すことはないもんね。王都には結構いっぱい異種族の人達がいるよ」

「そうなんですか!?もっと楽しみになってきました!」


 それはよかった。

 さて、解毒のポーションを使おうと思っていたけど思ったより人数が多いな…ポーションもタダじゃないし、見ず知らずの相手に使うのは気が引けるな…。


ちらっと、エイノアをみる。人を救ったからか牙人と話せるからかは分からないが、満足げな目に光が灯っている。


 ……駄目だ。『やっぱり放置しよう』とか言えそうにない。第一、放置したら確実に死ぬしなぁ。

 はぁ…もっと効果の弱いポーションを使えばよかった。良く考えたら、効果の弱いポーションで全員眠らせた後、この人達を外に出してから再度毒を投げれば良かったじゃないか。

 はぁぁ……。今日だけで数百万の赤字か…。貯金を考えたら微々たる金額かも知れないけど…なんだかなぁ。


女々しく損失の事を考えながら『喜雨』を使い解毒をしていく。

起きたとき、瓶が刺さったままだと驚くだろうし、ポーションの注入が終わった者から瓶を抜いていく。


「声に元気ないですけど、やっぱり人助けは反対ですか?」

「反対というか…この後簿記に損失を書くのが辛いというか…」

「山賊の財産でも賄えないんですか?」

「無理だね。最近この山に立ち入る人も少なかったみたいだし、見た限り、多く見積もっても200万あるかどうかだと思うよ。まぁ、ポーション以外の目利きなんてできないから、思わぬお宝があるかもしれないけど」

「……私が助けたいって言わなかったら、もっと損失も少なかったんですよね」


 声が暗い…余計な事を言ってしまったか。


「いや、良く考えたら、これで町に来る人も増えるだろうし、そうすれば店に来る人も増えるかもしれない。なら、長い目で見れば黒字だろうさ。そう気落ちすることでも無かったね」

「……ふふ。師匠って弟子に甘いですよね」

「…そうかな?」

「ええ。そうですよ」


 気落ちしたように見えたのは演技か?いや、なんとなくだが違う気がする。だが、損失の事で気落ちしたようでも無さそうだ。となると__


「あの…」


ふいに、エイノアではない、女性のか細い声が聞こえた。

声がした方を向くと

真人より耳が長く、長いプラチナブロンドの髪に、エイノアより少し低いくらいの背で華奢な体つきの長人が体を起こしていた。


 長人は長寿で見かけによらず100歳を超えている可能性もあるし…敬語の方がいいかな?いやでも、余り下手に出ると寄生される可能性もあるか…。


「やあ。勝手ながら山賊達は討伐させてもらったよ。実は山賊の中に恋人がいるんだ、とかないよね?」

「まさか、そんな訳ありません。ですが、王都の騎士達にも見えませんが、どうやってここの山賊達を?私達冒険者では歯が立たなかったのに…」


その言葉に思わず首を傾げる。


 (?)純粋な疑問か…?…まさか、手の内を晒せって言っているのか?もしそうなら…いや、流石に雑用係への敵意が高すぎるな。反省しよう。


「秘密だよ。まぁ、その内何となく分かるだろうけどね」

「そう、ですよね…すいません。手の内を探ったとかそういうのでは無いんですが…その、純粋に気になりまして」

「気にしなくて大丈夫ですよ。師匠も気にしてないでしょうし。それより、名前は何ていうんですか?私はエイノアって言います…!」

「は、はぁ。私はニィーフィアといいます」


いきなりエイノアが元気に喋りかけてきたことで少々困惑しているようだ。


「ニィーフィアさんですね。ご職業は冒険者を?」

「ええ…一応、そうですよ」

「エルフの方ですよね。私、初めてお話しました。森で暮らしていて、余りそこから出ることは無いと聞きますが_」

「エイノア、どうやら他の人も起きはじめたみたいだし。そういう話しはまた後でにして、今は状況の説明を行ってくれるかい?」

「あ、そうですね。分かりました」



それから、全員に状況の説明をして盗賊の遺産を運んでもらう事となった…。

遺産をかき集めてもらう間、俺は他の山賊数人に尋問をしたが、新しい有力な情報を得られなかった。因みに、入り口は後2つあるらしい。


 それにしても、彼女達の雰囲気とは対象的に、エイノアは随分明るく彼女等に話しかけている。

 殆ど同じ境遇に置かれていたみたいだし、気でも使って穏やかに対応すると思っていたけど…。むしろ逆で元気づけようとしているのかな?


「あの…」


ふと、女の子に声をかけられた。

後ろを振り向くと、明るい緑色の髪首の辺りで切りそろえた真人の小柄な子が申し訳無さそうにこちらを覗き込んでいた。

名前は確か……ミ、ミ…?あぁ、ミント…だったかな?


「どうしたんだい?」

「その、おこがましい事と認識はしているのですが…このペンダントを譲っていただけないでしょうか?」


彼女が見せてきたのは青く綺麗な石が付いたペンダントだった。


 価値があるものなのか、はたまた思い入れがあるものなのか。

 どちらにせよ、無償で渡すわけには……エイノア?なんだい?その目は…。まさか無償で渡せと?

 あ、こっちに来た。


「ミントさん。どうしてそのペンダントが欲しいんですか?」

「その、これは兄の形見なんです。死んでしまった兄の、唯一の形見なんです。だから…お願いします!私にできることなら何でもしますから!どうかこのペンダントを譲ってください!」


そう言って彼女は深く頭を下げる。

声色的には嘘を言っているようには見えない。


 何でもする、か。お金も無いだろうし、山賊に囚われる時点で雑用係としての戦闘能力もすけてる。荷物運びは助けた礼としてしてもらうことになっているし…。ならば、もう汚れたのだしいっそと、その体でも俺に売るのだろうか。

 なる程、性病というものを知らないらしい。


「師匠、変なこと言ったら私怒りますよ」

「言うわけ無いだろう。…はぁぁ……お兄さんの形見というのなら、それを持つべきは君以外いないだろうしね。いいよ、好きにするといいさ」

「あ、ありがとうございます!」

「他の方々も、自分の手で持って帰るというのなら好きに山賊の持ち物を取っていって構わない。どうせ、俺じゃあ持ちきれない割に大した金額にならなさそうだしね」


囚われていた人達からそれぞれの反応があがる。


 まぁ、ざっと数えた限り40人程も山賊がいたんだ。それ程の数で回されたと考えると女の子達が病死するまで長くない確率は高そうだけど…。

 ……どうしよう。エイノアでさえ『この人達が性病にかかってるかも』という心配をしていないし、放置しておいていいのだろうか。


仕方がない。先程そう結論づけた筈なのに、また病のことを考えてしまう。


 性病以外の病にかかっている可能性も十分にあるうえ、俺ではどんな病にかかっているか分からない。

 一瓶で全ての病に対応するとなるとそれこそ再誕のポーションクラスの物が必要になる。が、再誕のポーションの素材なんて持っていないし、作るにしても王都でないと素材も集まらないだろう。

 やっぱり、どう考えても俺じゃあこれ以上力になれないよな…。


「師匠?」

「ん?ああ、ごめん。考え事をしててね。じゃあ、行こうか」



彼女等を引率して近くの村を目指す。

残念ながら、山賊は馬車を持っておらずバーガンに乗れるものが少なかったため、徒歩で移動することとなった。

手持ちの強壮のポーションを飲ませたとはいえ、一人一人の摂取量は少なく、休憩は多く必要になる。

その上、女性の歩く速度に合わせているため進む速度は非常に遅い。


雰囲気も、最初は暗かったがエイノアが頑張ったおかげか一部の者を除いて次第に活気づいてきた。

しかし、残念ながら一日で村に着くことはなさそうだ。




「今日はこの辺で野営するとしようか。ただ、テントが無いから地面に布を敷いて寝ることになるし、なんと言っても寒いと思うから耐えられなくなったら言ってくれ」


俺の言葉に数人が返事を返す。


「ちなみに、虫や獣の心配はしなくていいよ。こっちでどうにかするからね。食事は山賊が持っていたものを食べてくれ。ああそれと、手が空いている人は焚き火に使う薪を拾ってきてくれるとありがたい」


その言葉を皮切に、各々すべき事をやりだす。

布を地面に敷く者、石や薪を拾い暖を取る準備をする者。

野宿の経験くらいはあるのか皆それなりの手際だったため、夕飯を取るまでにそう時間はかからなかった。


「あの、師匠」


草を食べているバーガンを見つめながら栄養のポーションをチミチミと飲んでいると、後ろから声をかけられた。


「どうしたんだい?」

「その、山賊に喉を潰されてしまった人達を助けてあげたくて」


いくら手足を縛ろうと魔法を使える者は言葉を発するだけで攻撃ができる。故に魔法が使える者達は喉を潰されていた。


 ああそういえば、確か4人くらい居たっけ?

 でも、長人は魔法が得意と聞くけど喉を潰されていなかったな。長人のわりに魔法が使えない……なる程。色んなことの合点がいった。

 まぁ、今はそんな事どうでも良いんだけど。


「エイノア。俺が言いたいことはわかるかい?」

「はい。再生のポーションは4級といえど原価も高いですし、貢ぐような形で彼らに渡す事は良くない。ですよね。でも_」

「分かっているよ、それでも助けたいんだろう?」

「はい。それに、意思の疎通ができた方がスムーズに進めると思うんです。ほら、今日も声が出せない人が何かを伝えたい時に少し足止めをされましたし」


 まぁ、正直足止めはそこまでされなかったし、喋れない人が窮屈な思いをするくらいどうでも良いのだが…。


「今回は再生のポーションを渡してあげるけど、誰でも彼でも人を助けようとするその癖、もう少し考えなよ?」

「分かってます。でも…師匠がいるから大丈夫でしょう?」

「いやいや。これもよく言ってるけど、いつかエイノアは俺の元を離れて一人でやっていくだろうし、自分を見つめ直すのは_」

「何で…」


言葉を遮られた。

エイノアは少しだけ俯き、目も、何かを考えているようで微細に動いている。


「師匠は……いえ、何でもありません…」


彼女が何を言いたかったのか。分かりそうで分からない。いや、分かりたくないのかもしれない。

俺達の関係はきっと酷く脆い。何か、ほんの少しの歪みですぐに壊れてしまう。それくらいに微かなもの。

だからこそ。互いに踏み込みたくないのだろう。まだ、まだその時ではないのだから。


「…そうかい?なら、ワゴンから4級のポーションを持っていって、彼女達の喉を治してあげな。きっと凄く喜ぶよ」

「そうですね、そうします。師匠も一緒に来ませんか?」

「いや、俺はいいや」

「…分かりました」


少し寂しそうに見えるエイノアの背中を見送りバーガンへと視線を戻す。


………

……………


パチッ…パチッ………パチッ…

月が最も高い位置から落ち初めて少し立った頃。

俺は一人、焚き火の前で黄昏れていた。黄昏れといっても夕暮れの事ではなく、ただぼーっと、こんなふうにくだらない事を考えて時間を潰している。


こういう時間は好きだ。

特に、今日の様に少しストレスが溜まったような日は風情に浸りたくなる。

ストレスと言っても、誰かが悪いわけでもないのだが……。

正直、俺という弱者に手を差し伸べたからこそ孫の幸せを守れなかった婆さんを看取った後だと、どうも弱者というモノに少しだけ忌避感を抱いてしまう…。



…パチッ……

この、『パチッ』という焚き火の音も好きだが、こういう雰囲気に微睡みたい時に限って、処刑された学者の事を思い出す。

彼はこの音を水蒸気によって枝が破壊される音だといった。その他にも様々なことが科学というもので説明できるとも。

彼の考えを聞いた時、俺は素直に面白いと思った。しかし、信仰熱きこの大陸の人々からすれば、彼の考えは異端そのもの。

弱者であった彼は、無惨にも公開処刑された。


「彼も、ブライドさんみたいに力があれば…」


皆寝静まって、この場には俺しかいないと思ってた。

しかし、そんな俺の呟きに反応する声があった。


「ブライドって、あの…天文学者?とかいうあの?」

「!?」


驚きとともにバッと声の方を振り向く。

そこに居たのは

40代程で少しいかつい相貌をした、ガタイの良い男だった。

真人ではない。殆ど真人と同じように見えるが、緑色の髪の毛に混じり獣の耳が見える。牙人だ。


 こんな夜更けにまだ起きている人がいるとは…。

 彼、名前はラルグといったっけ?布はできるだけ持ってきたけど、それでもやっぱり寒かったかな。


「突然声かけて悪かったな。…ちょっと、いいか?」

「構わないよ。朝昼も中々寒いけど、夜は一層冷えるからね。好きに温まっていくといい」

「……アンタは寝ねぇのか?」

「おや、どこかに行ってほしいのかい?」

「そうじゃねぇよ。ただの疑問だ」

「ははは、わかってるよ。少しからかっただけさ。…不眠のポーションを飲んでいるからね。俺は寝なくても大丈夫なんだ」

「そうかい」


パチッ、パチッ…

男はほぼ初対面の相手と静まった空間にいても気まずくならない性格なのか、人が増えても先程と変わらない静寂が広がる。


と思ったが、それも長くは続かず、不意に静寂が破られた。


「実は、ここに来たのは暖を取りに来たんじゃなくて、一応お前さんに用があってきたんだ」

「…そうかい」


 用、ねぇ…。碌でもない用だったら、強制的に眠ってもらおう。


「まずは、アンタに改めて礼が言いてぇ。俺と嫁を助けてくれた事。本当に感謝している。ありがとう。礼と言っちゃなんだが、俺達が助けになれることがあったら遠慮なく声をかけてくれ」

「どう致しまして。まぁ、俺は実のところ、君たちを助けるのには余り乗り気じゃ無かったんだけれどね」


夜の雰囲気に当てられてか、話さなくて良いことを話さなくていい相手に言ってしまった。


 こういうの、あまり言わないように気をつけていたんだけどなぁ…。

 まぁ、何だ。少しくらいはいいか。今まで頑張っていたし。


「ああ、何となくは分かってたよ。アンタ、移動中はすげぇ話しかけんなって感じだったし。喋る時も、口調こそ柔らかかったけど淡々としていたしな」

「ははは。気づかれてたんだ。まぁ、隠す気もなかったけどね。でも、気づいていながらどうして俺に話しかけたんだい?」

「そりゃぁ、それだけ感謝してるからだよ」

「なる程。じゃあ君みたいに改まってお礼を言いに来ない人達は、あまり俺に感謝してないのか」

「……アンタ、友達すくねぇだろ」

「はは。よくわかったね。あぁそれと、一応言っておくけど、さっきのも冗談だよ」

「わかってるよ…」


つい、エイノアをからかう時の癖が出てしまった。

こういうことばかり言ってると、エイノアも俺みたいにひん曲がった性格になりそうだし、今後はあまり言わないようにしよ うかな…?


「でよぉ、も一個言いてぇ事があんだが…」

「うん?」

「飯食ってる時によ、アンタとアンタの弟子の話を聞いちまってよ」


 あぁ、あの時の会話を。別に皆から離れて会話していたわけでもないので、会話を聞いた人がいてもおかしくないか。


「それは恥ずかしい事を聞かれてしまった。できれば忘れてくれると助かるよ」

「アンタが忘れろって言うんなら忘れるさ。けどよ、どうしても言いたいことがあってよ」

「…なんだい?」

「あの子、移動中とか明るく俺等を元気づけようとしてくれたろ?んで、まだ落ち込んでる奴もいるけど元気出た奴もいてよ、俺もあんま喋る方じゃねぇんだけど、一応あの子の話は聞いててよ。あの子、アンタの事よくすげぇ奴だって目ぇ輝かせて言っててよ。

自分で分かってんだろうけど、アンタすげぇあの子から…なんつぅか、尊敬されてるっつうか、懐かれてるっつうか……好かれてるじゃねぇか…」


パチッ………パチッ…パチッ……

何も言わず、ただ彼の続く言葉を待つ。


「俺、あんましゃべんの上手くねぇから伝わりにきぃかも知んねぇけど。とにかく、あの子は…アンタと離れたくねぇと思ってると思うんだ。

アンタ、調合師のアズリーだろ?俺、一応諜報活動してたことがあってよ。そん時にアンタの事少し知ったんだが、知ったから、予想しちまうんだが…。もしかしたらアンタがあの子を実験に使うかも知んねぇって、そうじゃなくても、自分と一緒にいたら不幸になっちまうってアンタが思ってるかも知んねぇし、ただ単にアンタとあの子の間になんかあったのかも知んねぇし…。

アンタがあの子と離れようとする理由は分かんねぇけど、分かんねぇけどよぉ…。

もしアンタがあの子の事少しでも好いてやってんなら。せめて別れる時までは悲しませること言うのはやめてやれねぇか?」


 ……はぁ…。随分、お節介な人だな。何て言って突き放すのは簡単だが…俺も少し、固定観念に囚われすぎていたかもしれない。確かに、自分は助けられて当然だと、自己中心的に他者に助けを請い続ける者はいるが、この人のように、恩に報いたいと考える人もいる。

 ならば、自分の感性ばかり押し付けるのは…やめたほうがいいのかもしれない…。


「…前向きに考えるとするよ。でもまぁ、ありがとう。お説教もたまにはいいもんだ」

「そうか。まぁ、今はそれで十分なんだろう…。あぁでもそうだな。ありがたいなんて言うんならもう一つ。そういう素直じゃねぇ所も直すといいぜ」

「ははっ。考えておくよ」


お互い、言いたいこともなくなり焚き火の音だけが辺りに木霊する。


「そんじゃあ、俺はこんくらいで」


そういって立ち上がる彼につい声をかけてしまう。


「…いや少し待ってくれ」

「ぁん?何だ?」

「あんな不衛生な場所で暮らしていて、なんの病にもかかっていないと思うかい?」


これもまた、夜の雰囲気に当てられてかは分からないが、余計な事を口に出してしまう。


「…流石に、教会の奴に見てもらおうと思ってるよ」

「そうかい。なら、お金は渡すから他の人達も連れて行ってくれ。俺達が助けたせいで病を蔓延させた何て事になったら、流石に寝覚めが悪いからね」

「…はっ。本当に素直じゃねぇな」

「いんや、これは本心だよ」

「そうかい……んじゃあな」

「ああ、おやすみ。できるだけ温かくして寝るといいよ」


男性用の寝床に向かっていく彼の背を見送る。




ふと、空を見上げまた考えを巡らす。


 善意による人助何てしても損をするばかりだと思っていたが…彼等が将来、エイノアの助けになってくれるのであれば、そう、悪いことではないのかもしれない。

 まぁ、だからといって率先してやろうとは考えないけどね。



未だ夜の雰囲気に飲まれているからか、はたまた、満天の夜空に目が眩んだからか、今夜は本当に柄にない事ばかり考えてしまう。


エジィリィ

「最後まで読んでいただきありがとうございます」

エイノア

「良かったら感想、ブックマーク、評価等よろしくおねがいします!」

エジィリィ・エイノア

「それでは、またのご来店を心よりお待ち申し上げております!」


エイノア

「師匠って、敬語じゃない時誰に対してもああいう口調なんですか?」

エジィリィ

「まぁね。俺を育てたのが婆さんで、その人以外にあまり関わりを持たなかったから、こんな口調が定着しちゃってね。これでも、元からは大分若者っぽい喋りかたにアレンジしてるんだよ?」

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