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4人になる

作者: しろうど

ご覧いただきありがとうございます。考察しながら読んで貰えると嬉しいです。

*「明日、俺たち3人の宝物を見せてやるよ。」

僕がここに越してきて初めて友達になった照が、話してくれた。

なんでもこの村の山奥に3人の宝物が埋められてるらしいのだ。

3人というのは照、光彦、大和の仲良し3人組。

初めての土地に出てきて右も左も分からない僕に手を差し伸べてくれた。

本当にいい友達だと心から思う。

「本当に見せちゃっていいのか~?びっくりしすぎて腰抜けちゃうぞ~」

光彦のからかうような口調にムッときながらも本気でバカにしてる訳ではないので腹立たしさは感じない。

「あんまりからかうなよ、光彦。でもまあ秘密を共有できるからこそ4人組になれるんじゃないかな?」

大和は3人組の理性担当。大和がいなきゃこの2人何しでかすかわかんないからな…

「その通りだ大和!俺達仲良し3人組から仲良し4人組になるには秘密にしていた宝物をお前に見せる必要がある!」

リーダー格の照が高らかに宣言する。

明日3人の宝物が眠る山奥に行くことになった。


僕は本当に嬉しかった。3人との仲を認めてくれるようで。新参者の僕を受け入れてくれるみんながあったかくって。

それにしても3人の宝物ってなんなんだろう…でもわざわざ山奥に隠してるくらいのものなんだ…めちゃくちゃ凄いに違いない!

そんな喜びと、確かにそこに存在するであろうワクワクが、僕の心臓の鼓動を早めてるような気がした。


*照、光彦、大和と一緒に帰る帰り道。

なんにもない田舎道でも、この3人で歩くと楽しい道に変わってしまう。

「おやまぁ 仲のいいこと」

突然、脇道から声をかけられる。

「ああ、細見のおばさん。こんにちは。」

大和が皮切りに挨拶を返すと、それにつられるように照、光彦も挨拶を返す。

「本当に3人は仲がいいわねぇ」

「やだなぁ細見さん。4人ですよ、ホラ」

「あらヤダホント?、ごめんなさい。最近目が悪くってねぇ」

そう言うと細見さんは僕の顔を認識したようで「ごめんなさいね」と再度謝罪した。

細見さんの目が悪いのは知ってたのでそこまで気にしてはいない。

多分細見さんはいつもここを通る3人の話し声で仲良し3人組が通ると判断したのだろう。新参者の僕が分からなくても当然だ。

「それにしてもどうしたんですか?おばさん。花なんて持って。」

照がそう言った時に初めて、細見さんの手に花束があることに気づいた。

僕好みの色と香りがしていた。

「今日、失踪してから1年なのよ。去年失踪した康太君の。」

それは僕も知っている。

僕がこの村に越す前、村は大きな土砂災害に巻き込まれてしまったことがあって、その日以降、康太という少年は行方不明となっているらしい。

しかし、死んでいるだろう。というのが警察の判断らしい。そう結論に至るだけの大きな災害だったのだろう。

―――「康太は本当に良い奴だったよ。」

光彦がおもむろに語ったのを思いだす。

なぜ僕がこの事件を知っているのかは、少し前に康太という少年のことを光彦に聞かされたからだ。

康太も実は同じ学校に通う生徒で、照、光彦、大和と共に仲が良かったらしい。

あの日の災害のことを語る光彦は普段のからかうような態度からは想像のつかないような、悲壮感漂う語りだった。

そしてその日のことを懺悔するかのようだった。

「ほんじゃまあこれあげるよ。康太君に花あげなさい。」

「ありがとう。おばさん。」

大和が礼を言うと、細見さんは微笑んでからその場から立ち去る。

貰った花の1束を改めて見ると、やはり僕好みの花だった。

「なあ、今日俺ん家泊まっていかないか?今日親が家にいないんだ。」

花にうっとりしていた僕の意識をさましたのは照の一言だった。

「どうしたんだよーまた~1人で寝るのが寂しくなったかぁ~ 」

「いや、今日は康太の命日だから…みんなでお線香上げないか。」

「あぁ…そうか、そうだな」

光彦の態度が急変する。

「あーやめやめ、辛気臭い話はなしにしようよ。俺達が暗くなってちゃ天国の康太も報われないだろ?」

大和の一言で我に返った光彦。

「それもそうだな…よし、みんなでお線香を上げよう。」

そうして再び歩き出した。


*照の家に着いたのは30分後。照の家は昔、ここの村の当主みたいな存在であったらしく、その名残りから、照の一家が住むには大きすぎる家だった。

なんでも地下室があるそうで、昔はそこで村の儀式を行っていたらしい。

大和の手料理を3人でたいらげてから、その地下室に向かう。

儀式を行った場所ということもあって、様々な道具が置かれていた。

そしてその道具には全てカラスの紋様が施されていた。なんでも、照の家の家紋らしい。

でも、家紋にしては少し禍々し過ぎるような気がするというか…照の家が、村の儀式などを全て取り扱っていたこともあって、威厳のようなものを保つために少々加工してるのかもしれない。

縦に長い地下室を進んでいくと、そこには大きな仏壇が置かれていた。

そこに照は写真立てと、細身のおばさんに貰った花を置く。

写真は康太君のものだろうか?しかしながら地下室が暗いこともあって上半分がよく見えなかった。

地下室にある光が大和の持つロウソクのみであるから仕方がないことではあるが。

一通り終えて寝床に着く。

でも、お泊まりなんだからそれですぐ寝るわけではない。

僕達は語り合った。

この村の話、3人の昔話、そして、康太君のこと…

僕の知らないみんなを知れてとても楽しかった。僕が会話に介在する余地はなかったけれど、それでも楽しかった。

この3人と一緒にいればどんなことでも楽しいのだと改めてそう感じた。

ひとしきり語り合った後、照が寝てしまったことをきっかけに僕達も寝ることになった。


明日は3人の宝物を見せてくれる。そう思うとワクワクが止まらなかった気がした。


*---朝

正確にはよくわからないが本当に早い朝だったと思う。

「ほーら、行くぞ」

光彦に声をかけられて目を覚ます。

もう既に3人は準備万端といった感じだった。

僕は寝起きそのままで外に出る。

3人の宝物は照の家から10分くらいの山の奥にあるらしい。

大和はその宝物を掘り出す為に必要なのだろうか、かなり大きめな荷物を背負っている。

「1年ぶりだな、ここに来るのは」

「長かったような、短かったような…でも俺にとっては本当に気が遠くなるようなくらい長かった気がするよ。」

「大袈裟だな、光彦は。でもまあ、感慨深いよな。」

人が通る道とはかなり外れている。こういうのを獣道

というのだろうか?照が先頭で草木を掻き分けながら進んでいく。

「ここだ」

照が急に止まったかと思うと、地面に指を指す。

「OK」

大和が一言言うと持っていた大きなリュックから新品のショベルが出される。

「新調しといたんだ。今日に向けて。前のやつは使いすぎてボロボロになっちゃったからね。」

「ありがとう。」

照が大和からショベルを受け取ると、迷いなく指を指した場所を掘り出す。

照が掘り出して約5分。ゴツンとなにかに当たった音がした。

そこから出てきたのは大きめな箱、詳しくはわからないがなにか特殊な細工がされている箱らしい。

なんでも中の物が腐らないような加工がしてあると、昨日、照が語っていた。

地下室で見たカラスの紋様がその箱には施されていた。

光彦がその箱を開ける。




中の物は…僕にはわからなかった。いや…僕の頭が理解しようとしなかった。

だって、そんなわけないじゃないか。多分あれは…




死体だ…



僕は当然その場から逃げ出したいや逃げられないなぜか僕の体は動かないそれどころか僕の目線はどんどんその箱に近づいていく。

照の手が僕の頬を掴んでいることに気づいたそれがどうした早く逃げなきゃでも逃げられない


こえもあげられないからだがうごかないどうしてどうしてなんでうごかないんだぼくにはからだがあるあしがあるぼくにはぼくのいのちがあるんだなんでなんでほくのなまえは





こうた?




箱に入れられた僕はやっと自分の足を、体を、手を、取り戻した。

1年ぶりだ。僕はやっとひとつになったんだ。

「これで俺達は4人だ。」

照がそう言ったのを最後に僕の視界が暗転する。

暗転したのは僕の意識か、世界か、それは僕にはわからない。


読んでくれてありがとうございます。

まあホラー物大好きな人は大体展開は読めたのではないでしょうか?(知らんけど)

こういうのって解説した方がいいんですか?ホラー小説って僕1冊しか読んだことないのでわかりません。

でもまあ書いといて損はない気がするので書いときますね。


・主人公の僕は1年前に死亡している。まあこれは読んでいただければわかると思います。康太君です。死因は災害。主人公のセリフがひとつもないところでもわかると思います。

・宝物は康太君の上半身、下半身です。康太君の遺体が見つかっていないのは照、光彦、大和が隠しているからですね。(ここはひぐ○しのなく頃にをちょっとパロりました。ひぐ○し大好きさ)

・登場している僕は頭部だけの存在です。細見おばさんのところで僕をモノ扱いしてる点と顔だけ見て認識している点からわかると思います。

光彦が災害を語るシーンで懺悔してるのも、本人に懺悔しているということですね。

・カラスは死のメタファーと聞いたことがあるので照君の家紋になってもらいました。家紋のことは全然詳しくないので家紋加工しちゃダメだよとか現実的な批判は受け付けません。(この地下室のくだりもひぐ○しのパロです。ひぐ○し大好きさ)

・山奥に進むシーンでの光彦のセリフの意味としては康太君の頭部が1年間見つからなかったということを示唆しています。

大和が、ショベルを新調したというところも、1年前に康太君の死体を埋めたことを示してます。

・康太君の命日に康太君の顔を埋めることにした3人でした。細見さんは失踪日、としているのに対して3人は明確に死んだ、としています。僕に災害のことを話した光彦も失踪、ではなく死んだとしています。


こんなとこでしょうか?3作目にしてキャラを立たせるのがめちゃくちゃ下手なことに気づいたのでそこらへんをもっと改善していきたいと思います。

ここまで読んでくれてありがとうございました。

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