表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
物足りない人たち  作者: スーザン
3/4

夏休み

 夏休み。それは、課題との闘いである。 

 まだ始まって5日と経ってはいないが、油断はしていられない。


 プール、祭り、遊園地などの予定が入ってしまえば、一瞬で夏は過ぎる。終業式で配られたプリントは、依然として机の上から動く気がないようだ。


 さて、早速勉強を邪魔する要因が降ってきた。ピココココココン!LINEの件数が凄い勢いで増えていく。ユミから届いたものが大半だった。


『プールいかない?暇で暇でしょうがなくて』


 この一文以外は全てスタンプだった。私は勉強で忙しいのだ。思わずブロックに手が伸びそうになってしまうが、なんとか堪える。


 ピコン。


 エリからも届いた。


『最近暑いわね、プールにでも行きません?』


2時間後


 「「「海だ!!!」」」


 来てしまった。何も手をつけていないプリント群は、もちろんのことお留守番だ。水着とラッシュガードを装備し、いざ砂浜へと飛び出そう。


「「「アアアアアアアア!!」」」


 灼熱の砂粒が足裏を焦がそうとしてくる。走り幅跳びの要領で飛んでしまったためか、後戻りは許されない。ひたすら海に向かって疾走するしか道は残されていないのだ。


 このまま終われば何事も無く済んだであろう。しかし、彼女ら3人には運がなかった。

 

「そこの、お姉さぁぁぁん???」


 ナンパ野郎である。こんな状況でも、奴らは遠慮と言うものを知らない。


「あなたは神様を信じますか。私たちと共に牛乳を含んだ雑巾に祈りを捧げましょう。」


 宗教勧誘のおばさんまで寄ってきた。


 本来、この手の人々は敵に回すと面倒なはずなのだ。変に刺激して、逆上させたらロクな事にならないことは明白だ。


 だが、今の3人に常識は通用しない。エリが最初に取った行動は、ナンパ野郎へのドロップキックだった。


 続いて私は、倒れた奴の足を掴み、振り回して宗教勧誘のおばさんに直撃させる。悲鳴の三重奏を背に、今一度走り出す2人。陸部の脚力は伊達ではなく、数秒で水飛沫が上がる。


「「ぷはぁ、冷たくて気持ちいい!!」」


 散々な目に遭ったが、そんな事がどうでも良くなるほどの爽快感であった。


 逆上した宗教おばさんが、1時間近くユミを追いかけ回し続けたことは今の2人には知る由もなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ