3/3
可愛いのは、我が身か子供か
「……申し訳ございません。やはり死産です。
奥様もお亡くなりなられました。」
死産で生まれてきた可哀想な赤子を抱く医者
父親である男は、絶望で廃人の様な目をしていた。
「・・・貸せ」
「っ!なにを!!おやめ下さい!!」
男は、医者の腕の中から赤子を奪い、
走り去った。
この赤子は、本来なら16まで育て上げられた後、
そこから神の器として、神に身を差し出し、
その素晴らしい力で村を助けるはずだった。
「お願いです。お願い致します。神々よ、どうか私の声が届いているなら、なら、どうか…」
男は村で1番大きい御神木に祈った
赤子を献上するように差し出した格好をしながら
「おぎゃっ」
「!?」
「おぎゃあ!おぎゃああぁあ!!」
泣いた。
神への祈りが通じたのか
初めて聞く我が子の泣き声
首の皮1枚繋がった我が身
亡くなった愛する妻
いろんな想いが混じり合い
父親になれた男は、我が子を抱きしめ共に泣いた
この時の事を男は後悔するだろうか
なぜなら、
この赤子が後に村を滅ぼす元凶となるのだから