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精霊の加護を持つ聖女。偽聖女によって追放されたので、趣味のアクセサリー作りにハマっていたら、いつの間にか世界を救って愛されまくっていた  作者: 向原 行人
第2章 精霊と学校へ通う元聖女

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第33話 狙われる元聖女

「先生。アーシェさんが気分が優れないそうなので、保健室へ連れて行ってきます」


 休み時間が終わり、次の授業の先生が来た所で、騒ぎとなる前に……と、返事も待たずにアーシェを抱きかかえて保健室へ運んで行く。

 ちなみに、エミリーに力を借りて一時的に筋力を上げてもらっているから抱きかかえる事が出来ているけれど、背が低くて腕力も低い私には到底無理だ。……聖女時代の行脚で体力と脚力には自信があるんだけどね。

 保健室へ行くと保険医が居たのでアーシェを任せ、そのまま学校の門に向かって歩きだす。


『リディア。どこへ行くの?』

(王宮……というか、クロードさんの所へ。流石に、こんな危ない物を一生徒が持っているのは変だと思うの)

『学校内で起こった事だし、学校の教員とかでも良いんじゃないの?』

(でも、学校の先生の一番偉い人――学長さんが頼り無かったし、イマイチだなって思って)

『そっか。じゃあ、騎士団の人に対応してもらおうか』


 いつもの放課後と違って門が閉まっていたけれど、家の用事だと伝えたら簡単に通してくれた。

 当然、クロードさんが迎えに来る時間ではないので、徒歩で王宮まで……は、流石に時間が掛かるし、何か嫌な予感がするので、


(エミリー。緊急事態だから、シルフちゃんをお願い)

『リディアが移動に精霊の力を使うのは珍しいね。……シルフ、よろしくっ!』


 周囲に人の目が無い事を確認した上で、風の精霊の力を借りて上空へ上がると、一瞬で王宮の中庭へと降り立つ。

 勝手知ったる他国の王宮……右へ左へと進み、目的地であるエントランスへ。

 そこでは、いつものようにメイドさんが忙しそうにしており、その中で一部のメイドさんがロビンさんに捕まって雑談をしている。

 クロードさんはお仕事で居ないみたいなので、一先ずロビンさんに近づくと、


「すみません。ロビンさん、ご相談がありまして」

「あら、リディアちゃんじゃない。クロードが迎えに行く時間ではないわよね? ……って、相談事!? はっはーん……分かったわ。この私が色々と教えてあげるわ」


 何か勘違いされている可能性はあるものの、小さな部屋へと通してくれた。


「さて、リディアちゃんが気にしているクロードちゃんの好みね。先ずは見た目だけど、派手な化粧の女の子よりも、ナチュラルメイクの方が良いと思うから、リディアちゃんは容姿は今のままで良いと思うの」

「……ま、待ってください。ロビンさん」

「え? まさかリディアちゃんって、実は派手派手メイクが好きなの? 確かに、ゴージャスに見えるし、素顔の自分とは別人みたいになれるから、やりたいって気持ちは分かるけど、クロードちゃん狙いなら避けた方が良いと思うわよ? 前にもクロードちゃんを狙っていた女の子が……」

「ぐ……そ、その話は凄く聞きたいのですが、それよりも、今は別の相談がありまして。……これを見てください」


 クロードさんを狙っていた女の子の話を凄く聞きたいのを我慢して、学校から持ってきた魔導具を机に置く。


「これは……魔導具?」

「はい。光の精霊の力で、遠くを見る事が出来る魔導具です。あ! 覗かないでください! それ、毒が仕込まれています!」

「どういう事!?」


 いつもとは違う、真剣な顔になったロビンさんに学校であった事を説明すると、


「ふむ。聞いた話から推測すると、私の考えではリディアちゃんが狙われているわね」


 あっさりと確信犯だと断定されてしまった。

 ただ、あくまでロビンさんの考えであり、事実かどうかまでは分からないけれど。


「リディアちゃん。その女の子の名前は分かるかしら? 分からなければ、特徴だけでも良いわ」

「えっと……アーシェって名前で、金髪の女の子にしては背が高めで……」

「アーシェ? もしかして、アーシェ=ガルシア!?」

「ごめんなさい。家名までは分からないです」

「いえ、後で調べさせるけど……もしもアーシェ=ガルシアだとしたら、危険ね。リディアちゃん、今すぐ貴女の家に遣いを出すわ。家に居るメイドを――ソフィちゃんを王宮へ避難させるわ」


 アーシェさんがガルシアって名前だったら何なのだろうか。

 よく分からないけれど、部屋へ残るようにとロビンさんが言い、本人は慌ててどこかへ行ってしまった。

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