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精霊の加護を持つ聖女。偽聖女によって追放されたので、趣味のアクセサリー作りにハマっていたら、いつの間にか世界を救って愛されまくっていた  作者: 向原 行人
第2章 精霊と学校へ通う元聖女

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第16話 オーダー

「えっと、私は算術しか出来ないけど、それでも良ければ」

「私も教えてっ! さっきの凄かったよー! あの先生が、してやったりって顔をしていたのを、見事に打ち砕いたもんねー」

「そうそう。兵法が算術に利用出来るなんて知らなかったー!」


 せっかく最初に声を掛けてくれた人が居たのに、周りの女の子たちが凄い勢いで私を取り囲み、あっという間に見えなくなってしまった。

 うぅ……誰か分からないけど、ごめんね。

 すぐ落ち着くと思うから、後でまた話しかけて欲しいな。

 ……あと、兵法は算術で使わないからね? 平方だからね!?

 そんな事をしている内に休み時間が終わってしまって、次の授業――法律の授業が始まってしまった。


(え、エミリー! ほ、法律だって! わ、悪い事しちゃダメっていう決まりだよね?)

『流石にそれは極端過ぎるけど、まぁそういうのもあるよね。ここの学校に通うのは、王族や貴族の子女ばかりなんでしょ? だったら法律は知っておかないといけない必須事項なんじゃないのー?』

(えぇぇぇーっ!)


 結局、エミリーの予想通り、算術は凄く出来たけど、法律や歴史の授業はボロボロ。

 だけど、家事や体育の授業は周囲をぶっちぎって出来る……そんな極端な一日になってしまった。

 家事は普段から料理や掃除をしているし、聖女のお仕事で結構歩き回っていたから体力があるのと、クラスの女の子たちに体力が無さ過ぎたからね。

 後は、近くの席の子が優しくて、お弁当も一緒に食べてくれて……うん。最初は心配してしまったけど、普通に楽しかったよ。

 仲良くなった女の子たちと校門まで一緒に来て、


「リディアさん。じゃあ、またね。さよなら」


 迎えに来ていた馬車に乗って、すぐに帰ってしまった。

 そうだ。ここの生徒って、皆馬車で行き来しているんだった。

 一緒に喋りながら家へ帰ったりっていうのは出来ないんだね。

 そんな事を考えながら、少し寂しく思っていると、


「リディア様。お待たせしました」

「あ、クロードさん! 来てくれたんですか!?」

「当然ですよ。では、どうぞこちらへ」


 クロードさんが迎えに来てくれた。

 ただ、クロードさんが格好良いからか、何だか周囲から視線を向けられている気がする。

 うーん、あんまり目立たない方が良いんじゃないのかな?

 学校内やクラスの中くらいならともかくとして、大勢の部外者――御者や迎えに来られている人たちも居る前で、こんなに目立って大丈夫?

 まぁ護衛という意味では、クロードさんがきっちり守ってくれるから良いんだけどね。


『クロードだけじゃなく、ウチだってリディアを守るよー?』

(うん、ありがとね。もちろんエミリーが守ってくれる事は分かっているよ)


 そんな事をエミリーと話していると、


「さて、リディア様。今日はお願いがございます」

「はい、何でしょうか」

「昨日、私にいただいたブレスレット……今の私に必要な、癒しを与えてくださるものでした」

「はい」


 クロードさんが改まってお願いをしてきた。

 けど、癒しが必要……って、やっぱり疲れていたのね。

 私の目利きが当たって嬉しいような、悲しいような……でも、そのための精霊の力なんだけどね。


「この、私に必要な効力を与えてくださったブレスレットのように、各騎士隊長に不足している力を与えていただけないかというお願いです」

「え? ど、どういう事ですか?」

「はい。実は、このブレスレットをつけて任務に当たっていたのですが、休憩中に小手を外した時、ロビンさんに見つかってしまい、根掘り葉掘り聞かれてしまって……すみません」

「あー、あの人の質問攻めは何だか大変そうですよね」

「え、えぇ……ちょっと辛かったです。……って、この話は置いておいて、リディア様の個々の騎士に不足している能力や、もしくは伸ばすべき能力に合った石を使って、かつ対象者に似合うアクセサリーを作って欲しいとの事でして」

「まぁ……それは大変ですね」


 ただ、アクセサリーを作る側としては、ちょっと燃える条件でもあるかも。

 今まで、自分の閃きを中心にアクセサリーを作ってきて、誰かの為に――クロードさんの為にアクセサリーを作るのは楽しかった。

 ちょっと、挑戦してみても良いかな。


「一先ず、直接お話を伺ってみましょうか」

「ありがとうございます。では、宜しくお願いいたします」

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