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婚約破棄された綿菓子令嬢の、兄  作者: 星宮歌
ミーネ・ラトリャの不幸あるいは幸福
4/8

第三話 挙式

ブックマークや感想をありがとうございます。


歯車は、どんどん狂っていきますよ~。


それでは、どうぞ!

 会場へ、一歩踏み出した私は、その瞬間、それが、後戻りできなくなる一歩だったかのような不安に包まれる。しかし、ここで足を止めるわけにはいかなかった。王族の婚姻ということで、国内外から貴族が、いや、それどころか、他国の王族までもが集まっている。



(他国……他国にまで、この異変は広がっている、か……)



 自国のみであったのならば、ここまで他国の者を呼び寄せることなど不可能だ。つまりは、異変の範囲はとてつもなく広いということ。

 気が進まないながらも、ゆっくり、ゆっくりと、私は前へ進む。周りの視線は、どうやら歓迎しているものが多いようではあるが、そればかりではない。嫉妬に満ちた視線は女性から、ねっとりとした視線は男性から。ごく一部ではあるものの、そういったものが感じ取れる。



(これだから、目立つのは、嫌い……)



 才女だなんだと持て囃されていても、私は、目立ちたくはなかった。だから、お母様の次という地位はちょうど良かったし、シェリア様がことあるごとに突っかかってくるのは、面倒なことこの上なかった。私は、ただ色々な知識に興味があっただけ。ただ、色々な本を読んで、楽しんでいられれば良かっただけ。それなのに……。


 カイン殿下と思しき人物が待つ祭壇の前に、もうすぐ着くという頃になって、事件は起きた。



「死ねぇっ!!」



 それは、憎悪に満ちた女性の声。それは、どこか、聞き覚えのある女性の声。



「危ないっ!」


「えっ……?」



 誰の声だったのかを確認する前に、私は、すぐ目の前に居た男に腕を引かれる。



「ぐっ……」



 男の……カイン殿下の腕の中に囚われた私は、苦痛に満ちたその声に、小さく『えっ?』と漏らす。



「きゃあぁぁぁあっ!!」


「っ! 騎士達よっ! その女を捕らえよ!」



 訳が分からないままに、式場は、様々な叫び声に包まれる。



(何? 何が、起こって……?)



 カイン殿下の胸板しか見えない状態で、私は顔を上げる。



「怪我は、ない……?」


「は、い……」


「そう、良かっ……」



 辛そうな顔で、それでも私を気遣ったカイン殿下は、そのまま、私の方へと倒れこんでくる。



「カ、カイン殿下?」



 重いと思いながらも、何か、大変なことが起きていることは、ちゃんと理解していた。そして……。



「……えっ……?」



 支えた瞬間、手をついた場所は、妙に湿っていて、それを見た瞬間、あまりのことで機能を鈍らせていた私の思考が蘇る。



(血……誰かに刺された……?)



 恐らくは、狙われたのは私。そして、聞き取れる範囲で、その犯人が居る場所に目を向けた瞬間、私は、絶望に囚われる。



「う、そ……」


「薄汚い手で触るなっ! 離せっ、離せぇっ! あいつはっ! ミーネは殺すぅっ!!」



 口汚く騎士を罵り、私に殺意を向けた人物。それは、私が心から尊敬し、心から、信じていた人。



「お母、様……?」



 見たことのない醜い形相で殺意を口にする彼女は、明らかに、私のお母様で……私は、その事実を受け入れられず、意識を失うのだった。

信じていたお母様。


頼みの綱だったお母様。


でも、変わってしまったこの世界では……。


さぁて、ダークテイストが濃くなって参りました!


それでは、また!

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― 新着の感想 ―
[一言] あーー……アレかな……? 自分以外に心を預けるってコトが我慢ならん人外がやらかしましたかな…?? これで彼女は誰にもココロを預けない……自分以外には…ククク(*`▽´*) とか考えてそう…
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