表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された綿菓子令嬢の、兄  作者: 星宮歌
ミーネ・ラトリャの不幸あるいは幸福
2/8

第一話 変わった世界

よしっ、続きへ来てくれた人、ありがとうございます。


それでは、ここからは、主人公なご令嬢視点で最期までゲホンゴホン、最後まで、いきますよ~。


それでは、どうぞ!

 フリア・フワーライト公爵令嬢。いえ、今なら、彼女が存在しなかったはずの公爵令嬢だということが理解できる。フワーライト公爵家など、我が王国の歴史の中で、誕生した記録などないのだ。

 フリア様が立ち去り、唐突にそれを理解した私は、次の瞬間、あり得ない光景を目にして絶句する。



「な、んで……」



 建国記念日のパーティー会場は今、貴族達が談笑し、明るい音楽が流れる空間となっている。それはまるで……先ほどのことを、誰もが『忘れてしまった』かのように……。



「ミーネ、どうしたんだい?」



 そして、ここにもまた、異常が一つ。バッカ殿下の姿をした、何者かが、さも当然のように、私の名前を呼び、とても、とても、愉しそうに嗤うのだ。



「あ、なたは……」


「うん? 自分の婚約者(・・・)を忘れてしまうなんて、ミーネは酷いなぁ?」


「こ、婚約者!?」



 なぜ、いつ、どうして、そうなったのか、当然理解できるわけもなく、私は叫ぶ。何せ、つい先程まで、彼は、フリア様の婚約者で……いや、中身が変わってしまってはいるようだが、それでも、その事実が消えたわけではない。それなのに……。



「おめでとうございます。ミーネ様! 明日の結婚式のことを思うと、我がことのように喜ばしいですわ」



 甲高く、よく通るその声は、とても覚えのあるもの。

 ナリア・ラトリャは天才で、レリーナ・ローゼスは秀才。そう言われ、常にライバル関係であった彼女らを母親に持つ、私とシェリア・ローゼスは、間違っても仲が良いとは言えない。私は気にしていなくとも、シェリアは私を常にライバル視していて、ことあるごとに突っかかってくるのだ。

 そんな彼女は今……何を言ったのか……?



「結婚、式……?」


「えぇっ、ミーネ様がカイン殿下の婚約者に選ばれた時は、多少の悔しさもありましたが、私達は親友ですものっ。ミーネ様が幸せでいられるのであれば、私だって嬉しいのですわっ」



 普段は、それなりに回転して、的確な答えを導き出してくれる頭脳は、どうにも、上手く働いてくれない。



(誰と、誰が結婚……? カイン殿下って、誰? シェリア様と私が、親友……?)



 今まで築いてきた常識。今まで築いてきた環境。それらが、全て歪んでいくのを感じながら、それでも、彼女が偽物、あるいは、何か良くないものでも食べたのではないかと考えてしまうのは、無意識に、精神的な限界を迎えているからかもしれない。



「ありがとう、シェリア嬢。私も、ミーネと結婚できることが嬉しくてたまらない。明日はぜひ、式を楽しんでほしい」


「は、はいっ、もちろんです!」



 会話の流れからすると、私は、バッカ殿下に乗り移ったカインとやらと婚約しており、明日、結婚式を迎えることになっているようだ。しかも、前までは仲が良いとは言えなかったシェリアと、親友になっていたりもするらしい。



(……これは、夢ね、きっと)



 ここまでおかしなことになってくると、そうとしか思えない。恐らく、私は建国記念日のパーティー前日に眠ってから、まだ目覚めていないのだろう。だから、フリア様が婚約破棄されたとか、バッカ殿下が誰かに乗り移られたらしいとか、シェリア様が親友ポジションになっているとかは、全て、現実ではないのだ。



(そう考えると、全てに納得がいきますね)



 そう、全ては夢。こんな夢を見るなんて、不思議で仕方がないものの、夢とは、総じて不思議なものだ。


 その日は、いつの間にか建国パーティーも終わっており、なぜか……いや、カイン殿下との挙式が控えているからとのことで、カイン殿下とやらにエスコートされ、城に泊まらせられる。夢とはいえ、ここら辺はリアルらしい。



「愛するミーネ。私は、魅了の力を使うことなく、あなたをとことん堕としてみせよう」



 一人、ベッドに入り、目を閉じる間際、そんな言葉が聞こえたような気はするが、私はそのまま、次に目覚めれば日常なのだと自分に言い聞かせて、眠りに落ちた。

主人公、ミーネちゃん。


何がなんだか分からないままですが、しっかりと堕としてみせますね♪


それでは、また!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 主人公ミーネちゃん……が、頑張れ?( ̄▽ ̄;) うぉっ?!ちょ、エールを贈っただけなのにがっつり睨まれたよ?Σ(゜Д゜) どこまでも伴侶への執着心が深い……遠くから見守るよ!でないとワタシ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ