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完璧な世界

作者: 土独歩 八音

僕が住んでるこの世界は完璧な世界だと思う。まあ完璧と言っても一概には言えないし、いろんな解釈が存在するのだろう。じゃあ、何がどう完璧なのかを言うとする。


まず、通貨がない。好きなものは好きなだけ貰えるし、映画館だって見たい映画を無料で見られる。そもそも、無料って言葉すらこっちの世界では使わないんだけどね。


他にも、1日の大半が自由ってこと。学校もあるけど、別に行かなくてもいい。行ってもいいんだけどね。行かなかったら頭が悪いままだって?それは違う。この世界では、年齢と共に勝手に頭が良くなっていくんだ。すごいでしょ。


だからしたくないことはしなくてもいいし、積極的にやりたいことはやればいい。年齢制限なんてものもないから、子供でエッチなビデオを見てる子はざらにいる。ね?完璧でしょ。


でもこんな完璧な世界でも、しなきゃいけない事が1つだけあるんだ。


それは毎日決められた時間に決められた場所で、鏡に映る事。それが大事なんだ。


向こう側の人は知らないらしいんだけど、本当は鏡って概念なんて嘘なんだよね。科学ってものはさ、元々この鏡って概念を理論的に納得させることが簡単だから発達させたのであって、今の時代のエレベーターやエスカレーターなんてものは鏡のための科学の後付けみたいなものらしいんだよね。


本当は、ただのガラスなんだよ。向こう側の人が鏡だと思ってるガラスのこっち側の景色は、僕たちがセットしてるものだ。そして例えば向こう側の僕がどこかの鏡に映る時、僕も一緒に映るんだ。


どうやって映るかって?そんなのは、簡単だよ。毎日、決まって0時にデータが送られてくる。そのデータの中には、その日の向こう側の僕の行動と、いつどのようにどこの鏡に映るかが明記してある。だから、時間が来たらその鏡の場所にいき、タイミングを合わせて映るだけ。難しそうに聞こえるけど、もう十数年間やってるんだ。慣れるよ。


向こう側の人たちは、僕たち完璧な世界の住人のことを知らない。僕たちは、向こう側の人たちが作ったご飯を食べてるし、売ってる商品を貰ってるし、使ってる。だからこっち側の世界には通貨がないんだ。


簡単に言うと、向こう側の世界は作られたコピーの世界。規律と秩序と、少しの自由を与えればあとは大体は思い通りに働いてくれる。向こうに働かせて、こっちは楽しようってこと。楽する代わりに、たまに鏡に映らなきゃいけないってことね。


難しいかもしれないけど、向こうの世界とこっち側の世界は表裏一体、重なっているんだ。だから霊感がある人とかいるじゃん。あれはたまたまこっち側の人が見えちゃっただけ。

他にも、弥生時代になぜ卑弥呼が占いの時に鹿の骨と「鏡」を使ったか。卑弥呼は気付いちゃったんだよね。


もうわかったでしょ?

君たちはただの向こう側。今度鏡をよーく見てみてよ。

こっち側が、見えるかもね。ばいばい。

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