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超能力と推理  作者: 奏良
18/40

一:消失(17)

後日、永遠と鈴は二人でもう一度廃墟を訪れた。

「・・・」

大きな建物が、空を覆うようにそびえたっている。

「・・・あの二人は、いるか?」

永遠が廃墟を見上げたまま鈴に尋ねた。

鈴は少し考えるように目を閉じた後、

「ううん」

と、首を横に振った。

「そっか・・・」

おそらく、あの日、鈴と永遠が訪れたことによって、沼市は焦りを感じたんだろう。

緒方雄二は、あの誘拐事件の後、沼市と顔を合わせていることがわかった。

沼市はこの場所を探されるのを恐れ、約束の場所を変えたようだ。

「沼市司さんって、本当にいい人だと思うよ」

「何で?」

「だって、私だったら自分の娘が死んじゃったら、すっごいショック受けてたぶん狂っちゃうから。それを、他人の子まで守ろうとするなんて、私はできないな」

「・・・」

不意の鈴の言葉に、永遠は何も言わなかった。

「帰るか」

そして、踵を返して歩き始める。

「あ、まって」

鈴は永遠の背中を追いかけた。


「本当にいい人、だったのかな」

「え?」

「もし僕が殺されたら、他人の心配よりも自分のことを嘆き悲しんでほしいと思う」

「そんなもんかな」

「あくまでたぶんだけどな。だから、道中有理という少女がどう思ったのか、なんてわからない」

「ふぅん」

二人の会話は、そこで途切れた。

「ねぇ、また語学研究同好会に行ってもいい?」

鈴が永遠に問う。

「・・・次来る時は、厄介な事件を持ち込まないでくれ」

「はーい」

そう言って鈴は小さく笑った。

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