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プロローグ
能力に「超」をつけただけ。
それは、すごいことなのだろうか?
第三者の目から見たら、それは、うらやましいのかもしれない。
でも、それを授かった人は、どんな思い出生活しているのだろう?
そんな名義の無用な力を勝手に押し付けられたら、
その人はどうしたらいいのか?
「待って!父さん、母さぁぁぁん!」
幼稚園ぐらいの少年の叫び声が小屋で木霊する。
「待ってよぅ、待ってよぅ」
少年は涙を流しながら、ドアを閉めかけている男女を追おうとした。
だが、まるで声など聞こえていないかのごとく、小屋のドアは閉まる。
「父さん!母さん!」
少年は立ち上がって小屋のドアを揺さぶる。
ドアの取っ手に手を伸ばし、ガチャガチャと何度も何度も引っ張った。
無情にも、ドアには鍵がかかっている。
それを知ってか知らずか、少年はドアにすがってひざをついた。
「父さん・・・母さん・・・」
つぶやく少年の右手首には、消えることのない蝶の形をした「痣」が残っていた。