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異世界(仮)  作者: 安堂勇語
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異世界(仮)

僕は、アルバイトに向かうため、いつもの道を歩いていた。


今日はチーフとシフトが被っていて少しだけ憂鬱な気持ちになる。


(あの人、女には優しいんだけど男には当たりが強いんだよなぁ)


そんなことを考えながら交差点に差し掛かり、ちょうど信号が青になったので横断歩道を渡ろうとしたときだった。


不意に眩い光が差してきて、反射的に目を閉じた。


何の光だ?と思いながら足を止め再び目を開ければ、そこには先ほどとはまったく違う光景が広がっていた。


例えるなら、ヨーロッパに広がる巨大な平原のような光景だった。


何かの間違いだろうと目をこすったり、強く瞑ってみたりしたものの目の前の景色が変わることはなかった。


(意味が分からん)


目の前の光景を脳が処理できないのか、不思議と焦り等はなくまずは状況を把握しようと携帯を取り出してみるも圏外と表示され、あたりを散策してみても何処までも平原が続いているようで、先ほどまでのビルや自動車等のありふれたものは何も見当たらなかった。


(ここはどこだ?日本ではなさそうだけど携帯の時間は13時15分で元いた場所と時間はそう違わない、確か外国のニュースであったな、今と同じ様な感じで気がつけば遠くはなれたところにいたってやつ、)


あれこれと考えてみても情報がないのでは正確な結論を出せるはずも無くとりあえずの推測を立て想像を膨らましていく。


(仮に外国とすれば人に会ってどうにかして領事館まで行くことが出来れば帰れるよな?この状況をどう説明するかだけどありのままを説明して通用するかなあ?)


 散策を続けて暫くたったころ、ようやく道らしきものを見つけた。コンクリートや石畳では無く、人などが上を通ることにより踏み固められたことで出来たであろう道ではあったがようやく何かしらの手がかりを得ることが出来た。


(この道をどっちかに行けば人のいる所に出るだろう)


当ても無い散策から開放され、目指すべきものが出来たことにより自然と足取りが軽くなっていく。


(日本語か英語が通じる所だといいな、英語は簡単なのしか喋れんが)


道を見つければ次は人を見つけなければならない、未知の人に想像を膨らましながらにひとつ重要なことを決めなければならなかった。


(どっちの道を行こうかねぇ)


見渡してもどちらとも平原が続くばかりで違いが分からない。


(ならどっちを行っても変わらんよな、左利きだし左でいっか)


適当に行く道を決め歩き出した。


(どのくらい距離があるか分からんがまあどうにかなるだろう)


その時、不意に風が吹き目を細めていると空に輝く太陽に目が行った。


空の太陽に得も言われぬ違和感を覚え立ち止まり考えてみると、


(太陽の位置おかしくね?何で真上に見えてんの?)


確かに太陽は真上にあった、


(さっき確認したときが13時くらい、スマホの時間が今は15時で太陽が真上にあるってことは昼でいいんだよな確か、なら、ならまず間違いなく日本じゃないのか、もっと早く気づいてればよかったな)


正確なことはわからないがそれでも元いた日本ではない確証を得ることが出来た。


(もっと知識があれば太陽の位置で時間を割り出して時差を測れるんだろうけど俺には無理だな)


まだ何か違和感があったがそれ以上は考えてみても結論は出ず、まあたいしたことじゃないだろうと太陽に背を向けて歩き出した。

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