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大魔獣ティエルvs破壊神逆さメイド

昔々、東の彼方にティエル王国という大きな国がありました。植物の緑と水の青が入り混じるその街並みは美しく、土壌も肥えていた答えこともあり、人々は豊かに暮らしておりました。そんなティエル王国には植物を愛する若くて勇敢な王子がいました。王子が大切に育てた草木や花は特別に美しく、王子花は民に愛されていました。


だけど、そんな平和な日々はそう長くは続きません。隣国の大国がティエル王国に攻めて来たのです。かつては緑と青に満たされた美しい街は、全てを焼き尽くす業火と凄惨な血の赤で染まりました。民と、そして草木を愛した王子は大変に怒りました。しかし、それでも隣国の進行は止まず、たくさんの民と木々の命が奪われ、ティエルは疲弊し、隣国に追い詰められました。


敗戦を覚悟したティエル王国は、とうとう最後の手段…最大の禁忌に触れました。王子の体に古の神獣の魂を宿す儀式を試みたのです。古の神獣の魂を宿した王子は絶大な力を得ましたが、復讐の炎に飲み込まれ、自我を失ってしまいました。


そして、東の地には山よりも大きな巨人と…二つの滅びた国だけが残ったとさ。










かつてティエルの森と呼ばれた場所には天を貫くほど大きな緑の苔に体を覆われた巨人がそびえ立っていた。


やがて巨人は口を大きく開け、気だるそうに声を発した。


巨人にとっておそらくそれはただのあくびなのだろう、しかしその声は獰猛な獣の激しい咆哮野良ごとく野山に轟き、大地を震わせた。


「あわわわわわわわわ…ど、どどどどどどどうしよぉぉぉぉぉ!!!!!!!」


かつて見たこともないほど巨大なモンスターを目の前にビショップのミケは慌てふためき、田中達に助けを求めた。


しかし、ミケとは違って彼らの表情には余裕が見られた。何か作戦があるのかとミケが期待していると田中が口を開いた、


「いやぁ、今回は随分生き残ったなぁ」


「5話くらい全滅しなかったのは久しぶりだよな」


「僕なんてこんなに長く生き残ったのは多分初めてだよ」


三人は超巨大なモンスターが目の前にいるにも関わらずヘラヘラ笑いながらそんなことをしゃべっていた。


「なっ、諦めるの早スギィ!!」


三人の潔さにミケは思わずそんなことを叫んでしまった。


しかし、そんなことは三人の耳には入っていないようのか、三人はまた呑気に会話を再開し始めた。


「みんなブラッドは持ってないよな?死んで失うくらいならその辺に埋めたほうがマシだぞ」


「大丈夫大丈夫、金なんて誰も持ってないない」


「いつ死んでも後悔しない準備は出来てるよ」


三人は慣れた手つきで終活の準備を進めていた。


「な、なんでそんなに死に慣れてるのぉぉぉ!?!?」


彼らは全滅回数が千をゆうに超えていることを知らないミケは迅速な終活を目のあたりにして困惑していた。


「まぁ、ミケさんが困惑するのも無理はありません。あなたと彼らでは経験が違いますから」


そんなミケをなだめるように説き伏せるナビィ。


「そんなこと言ってる場合かぁぁぁぁ!!!!」


完全に開き直っている三人をミケは一喝した。


「諦めちゃダメです!!一か八か戦ってみましょう!!みんなで戦えば可能性はゼロじゃないはず!!」


「いやいや、無理無理。レベル差がありすぎるでしょ?」


「でも…こちらにもレベルが高い人が…」


ミケはそう言って田中の方を一瞥した。


ミケの視線から意図を察した三人はそれぞれ顔を合わせてヘラヘラと笑い始めた。


「ミケ様、悪いけど田中はレベルだけで使い物にならない粗大ゴミみたいなもんなんだぜ?。ステータスをSTRに極振りしたせいで攻撃が全く当たらないんだよ」


ユーキがヘラヘラと笑いながら田中の弱点を告げた。


「…だったら、私の魔法でDEXを底上げします」


「そんなことできるのか?」


「はい。私の『マジックブースト』で限界まで効果を上げてからDEXを上昇させる魔法をかけます」


「なるほど、ブーストコンボができるなら…DEXがそこまで高くないティエル相手なら勝ち目はゼロじゃない」


ミケの作戦を聞いた田中は納得したようにそんなことを呟いた。


「ブーストコンボってなんだよ?」


「『マジックブースト』って言って次に使う魔法の効力をあげる魔法があって、それからDEXをあげる魔法を使えば私でも攻撃を当てられるかもしれないというわけだ」


「なるほど」


田中の説明で作戦を理解したユーキ。


「ただし『マジックブースト』は詠唱にかかる時間がかなり長い魔法だ。詠唱が終わるまで時間を稼ぐ必要がある」


「なるほど、つまり俺とシンが時間を稼げばいいってことだな?」


田中の補足説明を聞いたユーキがそう言ってシンの方を見た時、シンの上空を巨大な影が多い、シンはそのまま巨人に踏み潰された。


おそらく巨人的には意図したものではなく、何気なく踏んでしまっただけなのだろう。爆音のような地響きが鳴り止んだ後、そこに残っていたのは一つの棺桶だけだった。


「…なるほど、つまり俺が時間を稼げばいいってことだな?」


先ほどの発言をなかったことにしたユーキは早速時間を稼ぐべく巨人の方へと駆け出した。


「俺に力を貸してくれ…アイロ!!」


アイロに作ってもらった特製の剣を振りかざし、巨人の親指に向けて全力で振り下ろした。


だがしかし、巨人の肉質は固く、ユーキの剣は敵を切り裂くことなく激しい金属音と共に弾かれた。


「なっ、なんて硬い敵なんだ…」


ダメージを与えた手応えはなかったが、巨人はユーキの存在に気がついたらしく、その大きな足をはるか上空へ持ち上げた。


「や…やべぇ…」


踏みつけられると本能的に察したユーキは全力でその場から走り始めた。


やがて巨人の足は上昇を止め、雲のように大きな足をはるか天空から一気に地面に向けて叩きつけた。


地面との衝突と同時に激しい地響きと衝撃が辺り一面に放たれた。


なんとか直撃を避けたユーキだが、その衝撃によって吹き飛ばされた。


「ぐあっ!…な、なんてやつだ…」


改めてそのでかさを肌で感じ取ったユーキは驚愕しつつも、最高にファンタジーしていることに少なからず興奮を覚えていた。


そんなユーキを差し置いて、ミケは早速『スペルブースト』の詠唱を唱え始めた。


「我が審問に下りしは深淵の禊、万物を創造せしは神聖なる加護、英雄を育てしは母の愛。循環せし時の狭間に破滅を穿つ甲骨の神魂を搾取せし魔性の死人よ、運命を分かつ最果ての地で理りの契約を履行せよ…」


静かに詠唱を続けるミケ、しかし巨人は待ってはくれなかった。


魔力の動きを感じ取った巨人はミケに目をつけ、大陸を結ぶほどの大きさのある腕を振り上げた。


ミケの危険を察した田中、しかしいくらレベルが99とはいえど田中のDEFは1、おまけに貧弱な装備しかない状況ではミケを庇った上であの攻撃に耐える自信はなかった。


なにか盾となりうるものはないのか?


だが、田中の持ち物はすっからかん、強いていえば太陽の民からもらったメビウスの花くらいしかない。辺りを見渡してもそこは木の一本もない荒れ果てた平野、そんな都合のいいものなど落ちていない。


このまま全滅は避けられない…誰もがそれを察した瞬間、田中の目にとあるものが目に入り…そしてそれを『装備』した。


それと同時に巨人の振り上げられた腕がミケに牙を向けた。


衝突と同時に大気が震えるほどの衝撃がほとばしり、激しい砂煙が舞い上がった。


巨大な龍のようにうねるその腕は的確に、そして確実にミケを捕らえた…はずだった。


側で見ていたユーキがミケの死を覚悟し、勝利を諦めかけたその時、砂煙から無傷で詠唱を続けるミケの姿が見えた。


不思議なことに巨人の岩盤のような拳はミケの目の前で止まっていたのだ。


そしてミケの目の前にはミケをかばうように立ちふさがる田中の姿があった。


いくらレベル99の田中とはいえど、あの攻撃を無傷で凌ぐのは無可能に近い。おそらくはなにか盾となるようなもので凌いだのだろう。


しかし、あの巨人の一撃に耐えうるような耐久性を誇る装備などあるはずが…。


ユーキが田中達を守ったその正体を考察していると、やがて砂煙が晴れ、田中と巨人の間にあるその盾の正体が姿を現した。


それは自分たちが過去嫌になる程見てきたもの、今まで散々引きずってきた忌まわしき黒い物体、慣れ親しんだ死の象徴とも言える箱。当たり前のようにそばにあったためいままでそんな使い方など全く思いも浮かばなかったその盾の正体は…




『棺桶』であった。




そう、田中はシンが中に入ってる棺桶であの巨人の攻撃を凌ぎ切ったのだ。


確かに考えてみればあの棺桶は丈夫だ。いままで何度か田中の人智を超越した神撃に直撃していたが、まるで壊れる様子のないあの棺桶はオリハルコンなんぞよりよほど丈夫な存在だ。


システム上、絶対に壊れることのない最強の盾…だがしかし…幾ら何でもそれは…。


「冒涜的過ぎるだろ!?!?!?」


かつては仲間だった亡骸を盾にする田中にユーキはさすがにツッコミを入れずには入れなかった。


だがしかし、あの盾こそ田中に最もふさわしい装備なのかもしれない。


普通なら盾にするにはいささか重すぎるが、田中のSTRならばお鍋の蓋のように自在に操れるだろう。仲間を盾にするのは心苦しいが、田中にそんな感情を持ち合わせているはずがない。なんの感情もためらいもない…いや、むしろ今後棺桶を盾にするためにわざわざ仲間を手にかけるビジョンまで見えてしまう。


まさに田中に使われるためだけに生まれた最強の盾、極悪非道な田中にとって天性の装備。


いや、しかし…なんて冒涜的な装備なんだ。


「見たか…これが最強の盾、『棺桶ガード』だ!!」


田中がこれ見よがしにドヤ顔でそう語った。


「いや、さすがに冒涜的過ぎないか?」


「馬鹿野郎!!シンのやつもこうやって私達の役に立ててることを天国で喜んでるさ」


ちなみにこのゲーム、死ぬと棺桶に入れられて行動も喋ることも出来なくなるが、味覚や聴覚、そして痛覚などの五感は健在しており、棺桶の中からでも自分が盾にさらされているのは見えるし、攻撃を受けた際、その威力に応じた痛みも感じる。


「はっはっはっは!!無駄無駄無駄無駄ぁ!!この棺桶がある限りぃ!!私に攻撃は当たらないぃぃぃぃ!!!!!」


巨人から放たれるマシンガンのような連続攻撃を田中は全て棺桶を盾にして完全に防いだ。


しかし、中にいるシンはその光景が見えるし、攻撃されるたびに痛みも感じる。あの巨人の連続攻撃の全てを受け止めているシンのダメージは計り知れないものだろう。死してなお地獄の淵に立たされるシンはとうとう棺桶の中という最後の安息の地さえも奪われたのである。


「し、シンンンンンンンンン!!!!!!!!!」


あまりの所業に思わず叫んでしまったユーキ。田中と違って人間の心を持ち合わせているユーキはこれ以上シンが傷つくのを見ていられなくなり、巨人からヘイトを自分に集めるべく、巨人を攻撃し始めた。


「くそぉ!!くそぉ!!仲間を…シンをこれ以上傷つけるんじゃねえ!!」


そう叫びながら巨人に何度も攻撃を加えるユーキだが、果たしてシンを傷つけているのは巨人なのか、それとも破壊神である逆さメイドなのか疑問に思うところだが、とにかくユーキは巨人に攻撃し続けた。


巨人からしたら蚊に噛まれたような痛みしかないだろうが、鬱陶しいのか、巨人は田中からユーキへとターゲットを切り替えた。


しかし、ユーキには巨人に対抗する手段がない。このままではいずれ踏み潰される定めが待っている。


力が欲しい…仲間がこれ以上悪魔の手によって傷付かぬように…安らかに眠れるように…力が欲しい!!。


そんなユーキの感情に呼応するようにユーキが手に持っていた剣が青白く輝き始めた。


「こ、これは…」


それを見たユーキはこの剣をくれる際に鍛冶屋の元オヤジであるアイロが言っていた言葉を思い出した。


『「私特製の魔法効果を付与したの。きっと役に立つと思うよ」』


どんな魔法効果が付与されているのかは分からないが、この状況を打破するにはそれに賭けるしかない、そう判断したユーキは剣に呼びかけるように声をかけた。


「おい、聞こえるか!?。仲間がピンチなんだ!!(主に田中のせいで)頼む…聞こえているなら応えてくれ!!俺に力を貸してくれ!!」


ユーキの声に反応して、剣は眩いばかりに激しい光を放ち、そしてユーキの耳に声が届いてきた。


「…こえる?…聞こえる?ユーキ」


その懐かしくて優しい声はおそらくはアイロの声であった。


「…アイロ?アイロなのか!?」


「ようやく剣の真の力を解放してくれたんだね、ユーキ」


最初はアイロの声がどこから聞こえていたのか分からなかったが、ユーキはやがて剣から声が聞こえているのが分かった。


「アイロ、俺はどうすればいい!?」


「大丈夫…あなたは1人じゃない、私が付いてるから…」


アイロは優しい声でユーキをなだめた。しかし、その間にも巨人は動き出し、次の攻撃を仕掛けるべくその大きな腕を振り上げた。


「この剣に込められた真の力っていうのは…一体何なんだ?」


「その剣に込めた魔法は『ノーアローン』…この世に二つと無い特別な劔だよ」


「『ノーアローン』?…それは一体…」


剣に隠された力を前にユーキは生唾を飲み込んだ。それはこの世に二つと無い武器を手に持っている高揚感と、今にも目の前で振り下ろされようとしている巨人の腕が迫る興奮によるものだった。


果たしてこの状況を打破するほどの力があるのか…ユーキの心に期待と不安が入り混じる中、アイロはとうとう『ノーアローン』の力について話し始めた。


「『ノーアローン』…その魔法を込めるとね……いつでもどこでも離れた相手と会話ができるの」


「…会話?。…それでどうなるんだ?」


「そしたら…いつも一緒にいられる気がするかも…なんてね」


アイロのとぼけたフリして恥ずかしさをごまかす可愛らしい声が聞こえてきた。


「…それ、ただの携帯電…」


ユーキがその言葉を言い終える間も無く、巨人の腕が無慈悲に振り下ろされ、ユーキは虫のように『プチっ』という音を立てて絶命した。


「プギャアアアアアアアア!!!!」


あまりに情けない遺言を残して散っていったユーキだったものを指差しながらナビィは大笑いした。


「ユーキが死んだか…まぁいい、奴は所詮四天王最弱、我々の面汚し。…さぁ、そろそろ反撃の時間じゃないか?ミケ様」


田中がミケにそう問いかけるとミケも準備が出来たのか、コクリと頷いた。


「よし、じゃあ…反撃開始だ!!」


田中はそう言って、意気揚々と巨人に向かって飛び出していった。


そんな田中を目の当たりにして、魔法を唱え切る前に立ち向かって行ってしまったのが予想外だったのか、ミケは少し慌てながら呪文を唱え始めた。


「え、ええっと…疾風の風神よ、かの者に韋駄天のかぎょ…間違えた、加護を与え給ええええ!!!」


そしてミケは杖を田中へと向けた。


「補助魔法『カミカゼ』!!」


ミケの呪文詠唱に反応して、杖の先が光を帯び始め、『ブーストマジック』によって強化された『カミカゼ』が杖の先から光の玉となって放出された。


しかしその際、少し慌てていたことと、『ブーストマジック』によって思っていたよりも『カミカゼ』を放出した際の反動が大きかったことが合わさって、田中へ向けたはずの標準がずれてしまった。


ずれた標準のまま発射された『カミカゼ』は田中の脇をスルリと通り抜け、そして巨人にぶち当たった。


その瞬間、今まで動きがイマイチ早くなかった巨人が打って変わってありえないほど機敏な動きとなり、一瞬目を離した隙に後ろに回り込まれるほどの速さを得てしまった。


そのまま田中の後ろに回り込んだ巨人は素早い一撃を田中に放つ。


不意を突かれた田中は棺桶ガードしようとしたが、間に合わず直撃を受けてしまった。


「ぐあああああああ!!!!!」


巨人の攻撃を受けた田中はその一撃でHPの半分を持っていかれた。


「ご、ごごごごごめんなさいいいいいいいいい!!!!!!」


『ブーストマジック』で最大限まで効力を高めた『カミカゼ』は最悪な形でその力を発揮した。


「ミケええええええ!!!!貴様あああああああ!!!!」


今までミケ様ミケ様呼んでいた田中とうとうミケを呼び捨てにして叫んだ。


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!!!!!」


ただひたすらにペコペコ頭を下げるミケ。


だが、そんなこと御構い無しに巨人は田中に攻撃をし続ける。


先ほどは不意を突かれたが、素早くなった巨人の攻撃を田中はなんとか凌いでいた。


「ミケええええええ!!!!なんとかしろおおおおお!!!」


「は、ははははい!!!!」


田中になんとかしろと言われたが、どうすればいいのかわからないミケはキョロキョロと辺りを見渡した。


するとそこには先ほど『携帯電』という遺言を残して散っていったユーキの棺桶があった。


「そ、そうだ、まずはユーキさんを蘇生しよう!!」


そう言ってミケは棺桶に駆け寄り、すぐさま蘇生呪文を唱え始めた。


「風と共に歩む生命の息吹よ、太陽より降り注ぐ命も源よ、潮が運びし魂の循環よ。我が声に集い、我が声に従い、ここに権現せよ!!蘇生魔法『輪廻の反時計』!!」


ミケの蘇生魔法はユーキの蘇生を目的としたもの………しかし、ミケの『拡散回復魔法』のスキルによってその魔法は範囲内にいるすべての者に適応される。範囲内にいるすべてのもの…そう、今もなお、巨人の激しい攻撃をしのぐための盾となっている棺桶にも。


ミケの蘇生魔法により、オリハルコンより丈夫な最強の冒涜的な盾として機能していた棺桶は一瞬でレベル1のやつ立たずの粗大ゴミに成り果てたのだ。


「ミケええええええええええ!!!!!」


己が身を守る術を失った田中は最後にミケに恨みをぶつけながら、巨人の攻撃によって蘇生されたばかりのシンと共に仲良く朽ち果ててしまった。…これが俗にいう仲良死というやつだ。


唯一の勝ち筋が死んでしまった今、ミケと蘇ったユーキにはもはやなす術などなかった。


「アイロ…俺、今からマサラに帰るわ」


「ほんとぉ!?嬉しいぃ!!」


それと同時に、ユーキは巨人に小虫のようにプチっと潰され、とうとうパーティは全滅してしまったとさ。


かつては緑豊かな森だったその地には、山よりも大きな素早い巨人だけが残ったとさ。

今回、珍しく田中達にしては大健闘したよね。まぁ、結局負けましたけど。

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