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名も知らぬ妹を探すRPG

そろそろ本格的に冒険始めたいんだけどね…なかなか始められないよね。

Death Game with wild world…略してデスゲームwww。


世界で初めて意識を仮想世界にフルダイブさせることを可能としたこのゲームが発売させるや否や、全世界の人達がこぞってこのゲームを購入した。…それが命をかけたデスゲームであるとも知らずに…。


そんなゲームが発売されてから数日後、結果としてバグだらけのクソゲーのおかげで死者は出なかったが…ゲームから戻って来たものは未だに一人もいなかった。


これが危険なデスゲームと知った世間はすぐさまゲームの発売の禁止及び、使用の禁止を呼びかけたが、裏で秘密裏に回ってくるゲームを購入し、デスゲームと知りながらも仮想空間に身を投げる者は少なくなかった。


プレイヤー名 『シン』もそのひとりだった。


見た目はすごい普通の男子高校生のアバターで仮想世界に降り立った彼。なぜ彼はこのゲームがデスゲームと知りながらもこの世界にやって来たのか…。


それは妹を探すためであった。


だが、妹を探すために仮想空間で目を覚ましたシンはすぐさまあることに気がついた。


それは…妹のことが分からないということだ。


妹の顔も名前も歳も性格も、あまつさえ共に過ごしたはずの思い出も何一つ思い出せないのだ。


ゲームを始める前に、このゲームを始めると脳に何かしらの異常が発生するとニュースで聞いていたシンはこれもその影響なのだもしれないと考えた。


だが、原因が分かったところで手がかりが出てくるわけではない…。


そう考えた彼は行動に移すことにした。


幸いなことに、シンはアバターの見た目を現実の自分そっくりにしていたし、プレイヤー名も本名にしていたので、妹に会えば向こうが気が付いてくれると考え、とりあえず手当たり次第に年下の女の子に声をかけまくることにした。


「あ、ああああああああの…ぼ、ぼく…いいい妹を探しているんだけど…も、もしかして…き、君が、ぼ、僕の妹かな?」


しかし、彼は極度の人見知りであった、特に女の子相手には…。


初対面のめちゃくちゃ怪しい男がいきなり「君が僕の妹かな?」などと尋ねてきたら…そりゃあ通報待ったなしである。


そんなわけで彼は女の子に逃げられるわ、泣き叫ばれるわ、助けを呼ばれるわ…中には誘拐犯と決めつけられ、衛兵に殺されそうになったこともあった。


ちなみに、この時はまだ管理者権限は田中ちゃんにあり、ゲームの中の死は現実の死に直結するデスゲーム状態だったので、彼は危うく最初の犠牲者になるところであった。


そういうわけで、彼の妹探しは難航していた。


そもそもこのゲーム、プレイヤーとNPCの明確な違いがなく、パッと見ただけでは分からないのだ。そういうわけで彼はまるで関係ないNPCに声をかけまくる羽目になったりしていたのだ。


そしてもう一つ残念なことに…このゲーム、プレイヤーはアバターを比較的自由に設定できる。


だからいくら彼の言う妹がリアルでは女の子であったとしても、この世界では筋肉モリモリのマッチョマンである可能性もあるのだ。


だが、彼はアバターの見た目を自由に変えられることを知らない。


なぜならば、彼は普段、全くゲームをやったことがなく、人生でゲームをしたのがこれが初めてだからである。


ゲームに全く触れてこなかったので、アバターの変更の仕様の有無はもちろん、アバターの見た目を変更するという発想すら出て来ないのだ。


そもそもNPCとプレイヤーの違いすら把握出来ていない。


そういうわけで、彼の妹探しは絶望的だった。


だけど彼はいつかは妹が見つかると信じていた。


なぜならば、彼はゲームに疎いので、この世界がどれだけ広いかも、世界規模で発売されたゲームのため、どれだけプレイヤーが多いかも分かっていなかったから。


そんな呑気な彼は妹を探すために毎日女の子に声をかけては不審者扱いされていることがプレイヤーの間で噂になっていて、他のプレイヤーからは『変態ロリコン童貞キング』と呼ばれていることにも気が付かず、今日も女の子に声をかけるのだ。






だが、いくら呑気な彼でも絶望してしまうほどの残酷な現実が押し寄せてきた。


ある日の朝、萌え豚によってゲームのデータがアップデータされたのだが、アップデータという単語すら知らないシンは気にせず、妹を探すために町へと繰り出した。


しかし、彼の目に映ったのはNPCが全員女の子になってしまった世界。


これまで10人に1人くらいしかいなかった年下の女の子が、今や全員調査対象になってしまったのである。


さすがに多すぎる調査対象を前に、シンは絶望した。


この中から…どうやって妹を探しだせば…。


…いや、もはや探し出すのは不可能だ。


だったら…向こうから見つけて貰えばいい。




今までの方法では見つかりっこないとようやく分かったシンは、とりあえず冒険に出かけることにした。


なんでもいい、どんな方法でもいいから、多くの人の目に止まるような有名な人になろう。


こうして、ゲームの右も左も分からないような初心者、シンの妹を探すRPGが始まった。






そして、この物語はレベル99で詰んだ田中ちゃんと運営に復讐を誓ったユーキと妹を探す初心者のシンの3人組によるクソゲーの世界をどこまでも旅する冒険記である…たぶん。



おまけ


ナビィの解説コーナー!!


ナビィ「ハイハーイ!そろそろナビィ姉さんの罵倒が心地よくなってきたであろう画面の前の汚物のみんな!こんにちは!。今日もさっそく解説に行くよ!。今日、解説するのはこの世界の通貨であるブラッドについて解説するよ。ブラッドはモンスターの中にあるエネルギーの結晶のようなもので、モンスターを倒すことによって入手できるよ!。貴重で価値のある物だから、この世界ではこれを通貨として使用しているよ!。これがあればアイテムや装備が買えるのはもちろん!教会に寄付してレベルを上げることも可能!実は賄賂としてNPCに渡せばそれだけでゲーム内のほとんどのイベントが解決出来たりするよ!やっぱり金は偉大だね!」


ナビィ「ただ、パーティーが全滅すると所有しているブラッドは全部蘇生のために教会に寄付したことになるから、持ち過ぎには注意してね!。…え?なんで教会はエネルギーの結晶であるブラッドを集めてるかって?それはね、教会がこのゲームのラスボスだからだよ!(ネタバレ)」


ナビィ「そんなありとあらゆる面で使えるブラッドですが、実は現金で購入できます!。1ブラッド100ドルで取引されているので、皆さんどんどん散財してくださいね!!。金を出せば出すほど強くなれるゲームだから、さっさと全財産を寄付しましょうね!ナビィ姉さんとの約束だよ!」


ナビィ「ちなみにこのゲーム、1000億ドルくらい投資すれば30分でラスボスを倒せるよ!やっぱりお金の力って偉大だね!」

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