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君の石化を解く魔宝  作者: 空の宝石
7/8

君の未来を守る魔宝 その七

 どうしてそこまで人助けにこだわるのか。

 と問われれば、ルーサーは決まって『欲深いからだろうなあ』と答えている。

 人を救おうとする行為は強欲に他ならないのだ、とは、ルーサーの信奉する唯一と言って良い信仰だった。

 だから、人助けには手段を択ばない。

 択ばなかった結果である“あの”荒治療を無事に耐え抜いたアイデを伴って、ルーサーは今、レストソの坑道に入り、二度目の探索を試みていた。

 一度目とは目的が変わっている。

 巨大なダイアモンドを探すことが当初の目標であったのなら。

 今回は、本来であれば有り得ないはずの存在、レストソ近辺に出没した“強力な石魔の謎”を解くことが目標である。

 道標の尾をひくルーサーの光源魔宝の中で、アイデは顔をしかめて、先頭を歩くお人よしの背中に疑問を投げつけた。

「それが、坑道の中にあるの?」

「俺はそう睨んでる」

 丸々と膨れた大荷物が背負われてた背中。昨日の晩の内に用意された、ルーサー曰く“探検セット”である。アイデにはそれが、酷く憎らしく思えた。坑道に入る前にかかなくても良い恥を、それにまつわる一件でかかされていたからだ。

 その話については今は、置いておくとしよう。ただ、思い出すとむかつくので、アイデは憎しみを存分に込めてこう返す。

「当てずっぽうってわけだ」

 ルーサーは気にもせず、そうでもない、と答えた。

 声は小さい。胸を張ってそうではないと言い切れるほど確信はなかったからだ。

「あったとしても、あまり頭の良い行軍じゃないけどな、これは。結局、広い坑道の中を虱潰しに探そうっていうんだから」

 一応でも根拠はある。しかし残念ながら、謎を解くカギが坑道のどこかにあると仮定してしまった以上は、それを証明する手段はあまりにも限られてくる。

 前提として。

 坑道はばかみたいに広く、入り組んでいるものだ。

 そもそも、掘っている内に深く入り組んでしまうのが坑道という人工物の性なわけだが、レストソの場合は何にしても規模が問題になってくる。

 かつては良質なダイアモンドの一大産地として名を馳せたレストソの鉱山。その歴史は六百年前まで遡り、百年の間ダイアモンドを産出し続けた。終わりの時期は丁度、魔宝史の中でも最大とされる『ある事件』の頃と重なるが、それはおそらく偶然だろう。

 ここで大切なのは始まりと終わりの時期ではなく、“百年近く稼働し続けた”という稼働期間の方である。つまりはレストソの坑道が、“百年近くも地下へと広がり続けた”という事実だ。

 歴史に数あり、今も数ある鉱山全体で見れば、百年という寿命は決して長いものではない。数ではなく質で勝負する類の鉱山としても、百年で閉山を迎えるのはおおよそ平均的な寿命と言って良い。二千年の歴史から見れば瞬きをするように短い百年、エルフから見たってドワーフから見たって短い百年だが、しかしそれは、ヒトの一生分に相当する。

「百年分の坑道、か」

 噛み締めるようなアイデの呟きが、闇の中へと消えていった。

 百年分。想像もつかない時間だ。二十年も生きていないルーサーやアイデには、まるで実感が沸いて来ない。現実に、その後百年続く鉱山事業のスタート付近を歩いていても、触れることのできる六百年前の舗装された土壁を前にしても。はて。

 坑道に入って一時間も経っていない今の地点は、鉱山事業が開始されて何日後に当たるのだろうか。そして百年後に辿り着くのはいつになるやら。

「まあ、問題のカギが一番の奥にあるとは限らないか」

 できればそうであって欲しいし、おそらくそうではないだろうと踏んではいたが、こればっかりは分からなかった。一介の人間であるルーサーにできるのは、“そうではありませんように”と祈るだけだった。

 改めて考えてみれば、そういう途方もない時間と、おそらく千人に近い人間が携わった巨大プロジェクトの成果こそ、山積こそ、この迷路の正体なのだ。つくづく、たったの二人で探検しようという行動は浅はか以外の何物でもないように思えて来る。

「本当よ。この中から何かを探そうなんて、ばかなんじゃないの?」

 が、閉山された鉱山に一人で突撃するなんて愚行は、この世界の冒険者にとっては日常茶飯事だ。鉱山を相手にすれば珍しくもない百年単位の年月の前には、よほどの大勢を揃えなければ数なんて関係なく、中の探検は無謀であると前向きに捉えることもできる。旅は本来、旅芸人の一座でもなければ大所帯でするものではないし、鉱山に入ろうなんて人間は全員、ひょっとすると、とっくの昔に命知らずで、気をやっているのかも知れなかった。

 故にルーサーには、アイデに口々に罵倒されたところで、自らの行動をなるほど、おかしな話だと振り返り、見つめ直すつもりなど毛頭も起きないのである。

 罵倒は今に始まったことではないし。

「あと、“何か”じゃないぞ。探すものははっきりしてる。石魔の出てくる原因なんて一つしかないだろう?」

 背中の荷物が狭い通路にひっかかるので、話していてもルーサーは振り向いたりしない。ただ黙々と先へ進む。アイデはその背中に、そりゃそうだけど、とため息を返した。

 瓦解死の初期症状を初めて体験したアイデでも、それぐらいのことは知っているのだ。というか、知っていたからこそ、瓦解死から回復する際、身体の表面が石に覆われていく様を見てパニックを起こしたのである。

 “世界で二番目に有名な魔宝の使い過ぎに起因する死であり、世界で二番目に有名な魔宝の使い過ぎを戒める理由”が、衰弱のループによって魔力を失って死んでいく、瓦解死。

 十分に恐ろしい病だが、それとて二番目でしかない。二番目ということは、一番目も三番目もあるわけだが、今回関わってくるのはその一番目の方である。

 “石魔の出てくる原因”、それは。

「『石化』した人間」

 そして石魔は、石化した人間から生まれる。

「そう。世界で一番目に有名な魔宝の使い過ぎに起因する死であり、世界で一番目に有名な魔宝の使い過ぎを戒める理由。身体中が灰色の石になって戻らなくなる死、『石化』」

 この世界の人間に、魔法から魔宝への転換で最も変わった点は何かと聞けば、ほとんどの人間が『石化による死』と『それから生まれる石魔の存在』を挙げるだろう。

 もっとも、落花星の墜落とそれに伴う魔法の廃止と魔宝の開始は、それぞれ共に二千年前の出来事である。リアルタイムに経験した人間はさすがに生きていないので、この反応は文献等から過去を学んだ上での発言だ。

 言い換えれば、魔宝にあって魔法にないもの。それが『石化』と『石魔』である。

「石化は魔宝によって欲を暴走させた人間の成れの果て。石化した人間ってのは、固化した欲望の塊のようなもので、石魔はそこから生まれる。石から生まれて石を喰らう魔宝の獣。だから石魔」

 正確に言えば、石魔が餌とするのは魔宝石ではなく、魔力そのものである。魔力を食べて、彼らは成長するのだ。煌化現象以降、世界中に存在する魔力の大半は魔宝石へと変化したので、彼らの餌もまた魔宝石である、というだけの話だ。

 石魔が人間を襲うのは、人間の持っている質の良い魔宝石が目当てであり、また人間の宿す魔力を目当てとする。この世の全ての存在は魔力によって動いている。つまりは、この世に生を受けた限りは全身に魔力を宿しているも同じだ。

「石魔の説明は良いわよ。問題は、その石魔がどうしてこんな近くで出るのか、でしょ?」

「逆に聞こうか。どうして石魔は人里の近くに出ないんだ?」

「石魔を生む石化した人間は例外なく、石の墓場に捨てられるから」

 百点満点である。

「石化した人間は『魔導騎士団』によって回収され、北の端にある大陸、石の墓場に棄て置かれる。石化した人間を人里の近くに放置すれば、即ち石魔が生まれて人を襲うようになるからだ」

「レストソはそうやって、鉱山があった何百年も前から存続してる。今更石魔が現れるわけもない。誰かが近くで石化したって話はないんだから」

「そりゃ、知られていなければ聞かれないさ。俺はその石化した人間が、この鉱山の奥にいると思っている」

「何を根拠に」

「根拠は三つ。まず一つ。人間が石化するってことは、魔宝が暴走するってことだ。多かれ少なかれ派手なことになる。酷ければ町の一つも巻き込んで石にしちまう暴走がもしこの近くであったなら、それは当然、レストソの人間にも知れ渡るだろう。だが周囲で魔宝の暴走があったって話は聞かないし、その痕跡も見当たらない。昨日は五、六時間、辺りを見て回ったんだがな。確かに、それっぽいものはなかったよ」

「……あんた、その大荷物をせびりに村へ行っただけじゃなかったの?」

「おまえが寂しがると思って早く帰るつもりだったんだけどな、まあ、念には念を入れてさ」

「わ、わたしは!」

「見回りなんてしなくても、地平線の向こうであったって分かるくらいに魔宝の暴走は派手なもんだ。そして、暴走が見えないぐらい遠くで起こったのなら、石魔がそこからレストソまでわざわざやって来ることもない。やつらに生活圏なんざ存在しないが、遠出までして鉱山を見つける知恵もないからな。大抵は近場で済ますんだ。穴を掘れば魔宝石はいくらでも出て来る。後は、バカな旅人を襲うぐらいでやつらは十分に生きていける」

「ちょっと、聞いてるの!? わたしは寂しくなんて!」

「この辺りに石化した人間はいないはずだ。けれど実際に石魔が確認されている以上、石化した人間は存在しなきゃいけない。この矛盾を解決するのなら、石化は坑道の奥で起こせば良い。それなら目立たなくたって不思議じゃない」

「……」

「根拠二つ目。石魔は大きく成長していた。ありゃ、よほどの量か、あるいはよほどの質の魔力を食わなくちゃいけない。それこそ、街の市場を襲って平らげるぐらいの量さ。レストソの近くでそれがあるとすれば、もう鉱山の中しかないだろう」

「採り尽くされているのよ、ここは。だから閉山したんじゃない」

「それは違うよ、アイデ。もし採り尽くさなければ閉山しないのなら、この坑道の至る所に生えているダイアモンドは何なんだ、って話になるだろ?」

「それは……」

「まあ、ここ五百年そこらで成長したものもあるだろうけどね、大半はそうじゃない。鉱山ってのは商売なんだよ、アイデ。採算が取れると確信してから始める、立派な商売なんだ。裏を返せば、採算に合わなくなったと判断すれば即引き上げるのも商売だ。鉱山が終わりを迎える時は、単に商売として成り立たなくなったってだけのことなのさ。その辺、閉山した鉱山にロマンを求めて入っていく博打打ちとはワケが違うってワケ、鉱山事業は」

「自覚はあるのね」

「夢見るバカの自覚はあるよ。ともかく、レストソの鉱山にはまだまだダイアモンドが眠っている。それは、閉山した鉱山に後から立ち入る人間が減らない理由でもある。石魔はその、残されたダイアモンドを食って大きくなったのさ」

「食べたのがダイアモンドだって証拠は?」

「おまえを襲った石魔、内側に溜めた光が透明だったろう。核足る体液も透明だった。石魔は魔力そのものだからな、その性質は食った魔宝石に偏る。色も、個性も。この世で無色の魔宝石と言ったら、この坑道にも腐るほど生えているそれ、ダイアモンドだけだよ」

 ちなみにダイアモンドを食べた石魔の個性は、存在の強化である。火の魔宝石(ガーネット)を食えば火を噴くし、水の魔宝石(アクアマリン)を食えば渦巻きを起こす、しかしダイアモンドの性質は本来、魔宝の補助である。そのサポート効果が、石魔に食われることによって自身に働くようになり、他の魔宝石のように派手な個性を獲得する代わりに、石魔としてただ純粋に強くなるのだ。

「根拠三つ目。最大の問題は、石化したバカがどっから沸いたかって話なんだが。まあ、それは言うまでもないだろう」

「…………あ」

 当然だが、地元の人間ではない。ディア・ホープ夫妻が死んだ以外に、レストソの村からいなくなった人間はいないのだ。実はディア・ホープ夫妻が、という展開もなしである。彼らの遺品はしっかりと、アイデが死にに行った森の中から見つかっているのだ。故に、夫妻は確実に森の中で死んでいる。そして遺品の中には、魔宝使いなら絶対に身に着けていたはずの魔宝石がなかったことから、石魔に殺されたことも確定的だ。これは、ルーサーの倒した石魔が夫妻の仇であると村長がほとんど確信していた理由でもある。

 ついでに言うと、死体がないのも石魔に殺された者の特徴である。石魔は餌を魔力に分解して食べてしまうのだ。だが、魔宝石以外の無機物は極端に嫌う。構成する魔力の質が低いからである。

「レストソの人間じゃない。だから石魔を生んでいるのは外部の人間だ。条件を満たすのは、ここ最近に外部から来た人間で、なおかつ行方不明になっている者」

「……半年前の、冒険者」

 坑道に入るというルーサーに、村長は時期が悪いと忠告した。その理由の一つが、半年前にやって来た冒険者が坑道へと入り、いまだに帰って来ていないという話だった。

「あんたは、そのバカな冒険者が、坑道の奥で石化してるって考えているのね」

「まあ、誰もが思いつく筋書きと言えば、そうだろう。けど、石化なんてのはそうそう起こるものじゃないからな」

 ただ野たれ死んだだけ、から先へ思考が進まなくても不思議はない。石魔が近くに現れてなお、その可能性を考え付かないぐらいに、石化による死、石化して死んだ人間は日常から遠い現象なのだ。

「散々、騎士団と研究所が啓蒙し、かつ騎士団がせっせと石化した人間を見つけては人の目のない北の大陸に捨てている賜物さ。だから世界は、おおむね平和でいられるんだ」

 今回は、その平和政策が裏目に出たパターン、というわけである。稀有と言えば稀有だが、そんな稀有な事件がレストソで起こった背景にも、一定の理屈はあるのだった。

「レストソ故の悲劇と言うべきか。……おっと、話している内にここまで来ちまったな」

 話を切ったルーサーと、その横に並んだアイデの前には、これまでとは打って変わった風景の坑道が広がっていた。

「ここは……」

「おまえを見つけた場所だよ」

 一度目の探索で、ルーサーがアイデを拾った、巨大な空洞である。

 それまでの四角く狭苦しい通路から一転して、まるで坑道の外へと繰り出したような開放感。だが、音の響きや、光の届く範囲に壁がないことから、ともかく広いと分かる空間だけに、その大半を闇に沈めた様子は不気味でもあった。

 日の光の届かない坑道が通じて狭くつくられているのは、きっと手と目と光の届く距離を考え、周りが闇に包まれぬようにと考えた結果なのだろうと、この無限に広がる暗闇を見ると思わされる。人間は、自由過ぎれば身動きの取れなくなる生き物だ。ある程度の指針がなければ、一歩踏み出すことにさえ恐怖を覚える。そこに道があると知っていても、その道が見えているのか見えていないのかで、先へ進むに絞り出さなければならない勇気の量は違うだろう。

 大地は広大で、大地に満遍なく埋まる鉱床もまた広大だ。これに立ち向かうために、人類はちまちまと土を掘る手を採った。実に卑小で、実に堅実で。

「ずるいわ、人間って」

「だからこそ人間らしいのさ。俺たちはどうしたって、身の丈ってものに縛られて生きている。真っ向勝負で大地に立ち向かったって勝てるわけないんだよ。力で勝とうとして魔宝を使い過ぎれば自滅する。多くの魔宝石を身に着けて強い魔宝を使おうとしてもやっぱり自滅する。適度に使わなきゃ、この力は簡単に俺たちを殺す。当たり前だよな。こんなに大きな大地がくれたものなんだから」

 ルーサーは足元を照らしながら前へ進み、中央付近と当たりを付けた場所で足を止めた。荷物を下ろし、右手に光源魔宝を置く。

「多分、ロマンを求めて坑道に入る人間に大半は、そういう身の丈以上のことがしたくって、ついつい危険を冒すんだろう。身の丈以上の冒険と、身の丈以上の栄光のために」

「半年前の冒険者のように、ね。あんたもそうなの?」

「そうじゃないように見えるかい?」

 笑って、光源を携える手を、天に向かって掲げる。ここは地下であるから、頭上にあるのは土の天井のはずだ。しかし暗闇しか見えないのだから、本当に天井だと言い切ることは誰にもできなかった。

 ばしゅん、と光源を撃ち出す。光の球は細い軌跡を残して暗闇の中を掻き分けて進み、五メートルほどの高さに達すると、しゃああああん、と弾けた。

 光の球が弾ければ、破片は光となって空間をまばゆく照らす。一度に暗闇が消え去って、空洞がドームの形をしていると分かった。とても綺麗な形だから、おそらく人の手によって掘られたものなのだろう。その大きさと言い、曲線と言い、見事としか褒め様がなかったが、けれど光を追って天井を見上げていたアイデはすぐに、別のものに心を奪われたのだった。

「――――」

 一度に暗闇が消え去った。

 それは決して、ルーサーの魔宝のみによって成し遂げられた明るさではなかった。ドームの内壁に煌めく、夜空の星のようなそれは。

「ダイアモンド……」

 大量の魔宝石が、ルーサーの魔宝を受けて一斉に輝きを宿し、一切の闇を切り払った。太陽よりも鋭く眩い、けれど集まって混ざる白い光はいっそ優しく降り注いで来るようだ。坑道探索に使われる光源魔宝の光は、元々から魔宝石には強く反射するようにできている。暗がりの中に魔宝石を探しに行くのだから、そういう風に調整するのは当然のことであって、大量の魔宝石がある場所でこういう使い方をすれば、やはり多くの魔宝石に反射を促すのは当然のことだった。

 しばし呆然と感動に浸るアイデの耳に、野暮な声が入って来る。

「あはは、こりゃ出来過ぎだ。まさかこんなに綺麗だなんてな。ダイアモンドの壁になっているとは思ったが、ここまで見事に“咲く”とはなあ」

「……“咲く”?」

「魔宝の光を反射する魔宝石は、遠くから近づくに従ってその反射を強くしていく。暗闇の中にあった小さな光が、段々と大きくなって自身を主張し始めるんだ。“まるで、つぼみから花が開くようだ”ってね。大昔のロマンチストがそう例えたのさ」

 鉱山もやる、探検もやる。根っからの坑道好きが生前に遺した言葉だという。だが、彼か彼女か、ロマンチストの名も姿も現代には残っていない。特別な偉業を成し遂げたわけでなければ、鉱山家、探検家としと優秀だったわけでもないから、というのがその理由だそうだ。

 それでも、言葉だけが遺って、こうして冒険者の間には伝わっている。

「一旦、ここで休憩だ。先は長いぜ」

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