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GOKOKU ISLAND  作者: 濱マイク
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TINGLING

【TINGLING】



瑛子の娘の有希が、今年度のジョバンニ ピアノ コンクールのコンチェルト部門で、背鰭県の金賞を取り、1ヶ月後の五国ブロック選考会に出場する事が決まりました。


会場は、岩萩県愛市いとし県民文化ホールです。


瑛子は、当然有休を取って同行します。


愛市いとしは、岩萩県の県庁所在地ですが、鼬市いたちしの南側に位置しています。


Google MAPを見ながら確認したら、それ程遠いという訳ではない様でした。


短期間のうちに、彼とは既に何百回とメッセージのやり取りをしていました。


さっそく報告したら、凄いなぁ有希ちゃんは!と、手放しで褒めちぎって喜んでくれました。


彼に褒めて貰いたくて報告したので、嬉しくて泣きそうになりました。


『愛市で演るのかぁ、遠くないぞ』


『そうなん?』


『車で1時間位かな』


五国地方では、1時間なんてひとっ走りの距離なのです。


『会えるかなぁ』


『会えるさ、工夫すれば時間つくれるでしょ』


『でも、当日はスケジュールタイトやしな、基本、娘に付きっ切りやからね』


『いつ来るの?』


『教室の先生も一緒で、一応現地でのレッスンもあるから、前の日の夜には入るけどな』


『前日から泊まり?』


『仕事終わしてからだから7時過ぎ位になるかなぁ、ビジネスホテル予約したけど、現地の貸しスタジオで教室の先生の夜のレッスン入れてあるわ』


『トイレにも行くし、レッスン時間は待ち時間なんだろ?』


『そうやけど』


『思いがあれば、何とかなるさ』


『そりゃ早く会いたいけど』


今までも、逢おうと思えば、車を飛ばして数時間で会う事は可能な距離でした。


でも、娘のピアノのレッスンが毎日入っていて、自分の為の時間を作る余裕がほとんどなかったのです。


今回の様にコンクールの開催地が岩萩県で開かれるというチャンスが無ければ、なかなか彼と会う事が実現しないかもしれません。


『会ったら有無を言わさず、抱っこして、キスするぞ〜(笑)』


『また、そんなん言ってぇ』


『抱っこされたくない?』


『そんな事、わからんわ』


『キスされたい?』


『まだ会ったことないけん』


『じゃ、縁がないんじゃね〜』


『そんなん、会ってすぐは変じゃろ?』


『恋は、一瞬で落ちるもんさ(笑)』


『その自信が怖いわ(笑)』



写メも何度も交換していました。


『会った時にガッカリされる位なら、今の自分をありのままで送っといた方がいい』


と言われれば、その場でスッピンの写メも送りました。


彼が要求するままに、絶対似合うからと押し切られ、いい歳こいて恥ずかしかったけど、思い切ってミニスカートも買って履いて見せました。


脚には自信があったのです。

あまり所帯やつれしていない膝の出ていないほっそりした脚です。


パンティが見たいと言われた時は、流石に断りましたが、それでも、彼の揺るぎない、圧倒的な熱意についに負けてしまいました。


彼に見せる為にわざわざデパートで買って来たパンティを履いて、スカートを全部捲りました。


きっと彼が褒めてくれると思ったので最後は全く躊躇しませんでした。


彼が眠れないからどうしてもときかないので、下着姿の胸の谷間の写メも送りました。


彼は大変喜んでくれましたが、もっと見たいと懇願してきました。


『そんなん、無理やわ。駄目に決まっとるやろ!』


『って、誰が決めたの?知ってるのは俺たちだけじゃん』


『そうゆうレベルと違うやんか!』


『そういうレベルだよ。会ったら、俺はお前を抱くよ。隠してても、すぐに脱がすから(笑)』


言葉では、彼にまるで歯が立ちませんでした。


それはある意味、瑛子が本当に待ち望んでいた事でもあるからです。


彼は気持ちに嘘が無くて、気持ち良いくらい正直でストレートでした。


抵抗している自分が、だんだんお粗末な女に思えてきてしまうのです。


ついに根負けして、初めてブラジャーを外し、オッパイの写メを送りました。


まだ張りのある豊満な形の良い乳房でしたので、内心彼を一目で虜にする自信はありました。


恥ずかしい秘密の姿を見せる事で、ふたりだけの関係が、より親密で深く濃くなった気がしました。


だから、どんなにエッチな写メでも、彼に頼まれると、最後には押し切られ、断れませんでした。


『揉みしだいて、嬲りたい』


彼が時々使う下卑た言葉が、魔法の様に子宮にびんびんと響くのです。


瑛子の女の部分が、熱く湿ってくるのがわかりました。


彼がストレートに喜んでくれるので、死ぬほど恥ずかしいんだけど、求められるのが嬉しくもあり、複雑な女心です。


見せる為に、そして脱がして貰う為に、彼の好みの下着を選び、買い揃えました。


瑛子は、メッセージだけで、もう、恋に落ちていました。


もう、彼のいない生活など考えられませんでした。


会ったことも無いのに、恋する事が出来るのだという事に、彼女自身が戸惑っていました。




コンクール前日は、朝から曇りでしたが時々小雨が散らつく天気でした。


仕事を終わらせて教室の先生と待ち合わせ、愛市の練習用のレンタルスタジオ入りしたのは、7時15分前でした。


有希はけっこう物怖じしない性格なので、前日の独特の緊張感の中でも臆することなく、普段通りに弾けているようでした。


松脂市を出る時にメッセージを入れておいたので、彼も近くで待機しているはずです。


1時間半のレッスンが始まったので、街で買い物をして来るよと、外出の理由を伝えてありました。


『今、どこ?』


『はす向かいの交差点の角にコンビニがあるだろ?』


『あ、わかる』


『そこに停まってる』


『うん、すぐ行く』


スタジオを出て見渡すと、コンビニの駐車場にシルバーのベンツが見えました。


写メで見ていた彼の車です。


彼はその側で、手を挙げています。


思わず、小走りになっていました。


(つづく)


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