最初のひと月から引っ越すまでの半年
家内は東京育ちの一人っ子。小・中学校と、部活動などをしていなかった。ゆえに同居者への配慮が決定的に欠けていた。
乾いた洗濯物をたたんでいなかったという理由で引っ越すまでのおよそ半年間、一度もその部屋を掃除しなかった。
台所の隅に洗浄した焼酎瓶を二本置いていたのだが、その文句を一年たっても言う。
上記ふたつの理由で、あなたの結婚に対する決意のなさがわかったと文句を言う。おまえの決意はどうなんだと問うと黙りこむ。
カレー作れない、お好み焼きやチャーハンなど基本的な料理もほとんどできない。野菜スープやグラタンなど数少ない作れるものが週に何度もでてくる。
子供なしの専業主婦で、「暇だ暇だ」と文句を言う。それなら新しい料理を覚えたらどうだと言うと、それはおいおいやると答える。暇だという割に、食器洗浄機が欲しいという。暇だという割に家事を分担しようと提案してくる。
仕事から帰ってくるとドライブをせがむ。今日は疲れてるから明日にしてくれと言うとすねる。じゃあ本当に疲れてるからおまえ運転してくれ、俺は助手席にいるから、と言うと怒る。
初めて給料袋を手渡した時、ふすまに背中をあずけて座ったまま受け取り、そのまま開封すると、「いくら必要?」とその態度のまま小遣いを渡そうとする。
正座して三つ指をついてお礼をしろとは言わないが、お疲れさまでした、なり、ありがとうございます、なり言う事があるだろうに。
会社の人が「病院が働く人を探してるからおまえの奥さん紹介しようか」と言ってくれたので「ありがとうございます。家に帰って家内に聞いてみます」と答え、家に帰ってその話をすると「勝手に私の働く所を決めないで」と怒りだす。「いや、そういう話があるけどどうする?って聞いただけだろ」と言っても怒りがおさまらない。
とにかく短気。病的な短気。被害妄想も入ってます。何事もマイナスに解釈し、自分でストーリーを作って短気を爆発させます。他に性格の特徴をあげるとすればズボラ、がさつ。
家内が、横置きタイプの歯磨き粉の前に自分しか使わない立てるタイプの洗顔料を置く。歯磨き粉を使う時に邪魔なので、そっと洗顔料を歯磨き粉の後ろに置く。次の日また歯磨き粉の前に洗顔料がある。僕はそっと歯磨き粉の後ろに移動させる。次の日、また歯磨き粉の前に洗顔料がある。しょうがないので口頭で注意する。「歯磨き粉使うとき邪魔になるから洗顔料は歯磨き粉の後ろに置いてくれ」。相手がいやな気持にならないようサラッと軽く注意しました。でもご機嫌ななめです。とにかく人にケチをつけられるのが厭な性格のようです。ちなみに僕は昼ごはんも家で食べていたので日に三度家で歯磨きをします。夜しか歯磨きをしない家内は「そんなに歯磨きする必要ってあるの?」と不機嫌に言う。虫歯になりにくい人は一日一度でいいかしれないけど、僕には食後の歯磨きが必要です。
部屋の入口に室内灯のスイッチがあって、そのスイッチで部屋の明かりをつけていたのだけど、そのスイッチの前に家内がポーチを置いていてスイッチが押せません。(スイッチの少し下に細長い棚のような板があり、その上にポーチを置いていた)。邪魔なのでスイッチが押せるようにポーチをずらしました。次の日またスイッチの前にポーチがある。僕はそっとポーチを移動する。次の日またスイッチの前にポーチがある。しょうがないので口頭で注意する。「スイッチの前にポーチがあると邪魔だからスイッチの前にポーチを置かないでくれ」。相手がいやな気持にならないようサラッと軽く注意しました。でもご機嫌ななめです。とにかく人にケチをつけられるのが厭な性格のようです。反論は「私はその部屋使わないから」でした。この部屋が彼女が引っ越すまで一度も掃除しなかった部屋です。ちなみに間取りは六畳のキッチン、六畳のダイニング、六畳の寝室、六畳のこの部屋、風呂、トイレです。豪邸に住んでいる訳ではありません。
あまりにも些細な事で短気をおこすので、時間を置いて、冷静になったのを見計らって注意します。おだやかに論理的に話して、おまえのやってる事は間違えてるよね、と。すると泣いて謝ります。でも何日か経つとまた些細な事で短気を爆発させます。時間を置いて、冷静になったのを見計らって注意します。おだやかに論理的に話して、おまえのやってる事は間違えてるよね、と。すると泣いて謝ります。これを何回か繰り返すと、ああ演技で泣いてるのね、と悟ります。また同じように泣いて謝ってるのを冷ややかに見ていると、僕の様子を見た家内がぴたっと泣きやみました。そして後になって文句を言ってきます。私が泣いて謝ってるのにあの態度はなんなのよ!
泣けば許されると思ってたんだろうね。
会社でスイカを1/8個もらいました。自分も食べたかったけど家内のためラップをしてお家に持って帰りました。それで家内のために食べやすいサイズに包丁で切りました。でも自分もどうしても食べたかったので、スイカのはじを分からないぐらいの薄さで、スプーンで削って味見をしました。
家内はそれが気に入らないようで怒りを爆発させました。「私はこんな事をされるのが大嫌いなの。二度とこんな事しないでちょうだい」。
いやね、会社で俺一人で食べても良かったんだよ。そんな怒るような事か。怒りながらもちゃんと全部食べたじゃないか。僕が食べた量は家内が食べた量の1%にもなりません。
基本、会社で貰った果物やお菓子は自分で食べずに家内のために持って帰っているのにこの態度。
家内が仕事を始めました。ホテルの客室係です。
ある日、僕はお腹をすかせて仕事から帰ってきました。ほどなくして家内も仕事から帰ってきました。僕は家内を見るなり「早くご飯にしてくれ」と、珍しくごはんをせかしました。それほどお腹がすいていたのです。家内の返事は「疲れてるからちょっと待って」でした。僕は何一つ文句を言わず待ちました。四十分後に家内が言いました。「疲れてるからどこかに食べに行こう」僕はしょうがないと思い同意しました。「なに食べる?」僕は家内に聞きました。返事は「モスが食べたい」でした。モスまで車で三十分以上かかります。その間にファミレスもあれば他の店も沢山あります。モスは出てくるのが遅いです。僕の、お腹がすいてすぐにでも何かを食べたいという思いは家内には届かないようです。しょうがないのでモスまで言ってバーガーを買ってきました。
家内は、自分は人を好きになる才能がないと言っていましたが、よく分かりました。自分の事しか考えられないのね。そとづらはいいけどさ。
家内は、映画グリーンマイルを観ても何がいいのか分からないそうです。タイタニックも面白くなかったそうです。
引っ越す事になりました。
引っ越し作業を始める時に家内が言いました。「引っ越す事になった件に私は起因していない。だから私は手伝いをしない」
家内の辞書に内助の功という文字はないようです。