鎮圧命令
気がつけば一万アクセス突破……なんかこう感慨深いですね(●´∀`●)
なんかするべきかしら?
焉綜達は義雪が一通り落ち着いた所で再び自己紹介をした。
「改めてわしが恒坂焉綜。菊奈達の育ての親と呼べるほど立派なものではないが……まあ大体その様なものじゃ。先の乱では菊奈達を助けてくれたと聞く。改めて礼を伸べたい」
「…紹介があったが俺の名は風蔵。こちらにおられる焉綜兄者の弟子にして腹心だ。菊奈達の件感謝している」
「月朧よ。風蔵と同じく焉綜兄様の弟子で腹心。妹達をありがとう、今度個人的にお礼をさせて貰うわ」
それぞれが違った体を取ってはいるがどれも礼儀正しくしっかりとした挨拶、そして礼の取り方であった。
彼等の教養の深さが良く解る。
「いえいえ、こちらこそ申し遅れましてすいません。某は…」
と義雪が自分の自己紹介を始めようとするとそれを焉綜が手をかざして静止した。
「それには及びません。立身獣志郎義雪殿でござりましょう?立花道雪の配下でその娘立花千代様が見いだした宗茂殿と並び密かに立花家で期待される若武者でありましょう。槍を使った戦いを得意とし、その武勇一騎当千とか……某共は忍でしてな、失礼ながら事前に大事な娘の恩人であり現在主君であらせられる方の素性は調べさせていただきました。…と言ってもこれぐらいの情報は立花城下の方々に聞けば簡単に解るものばかりですがね」
「は、はあ」
焉綜は少し喉が乾いたのか出された水を軽く飲む。
(やはり、行動の一つ一つをとっても隙の見当たらぬ御仁だな)
菊奈達の育ての父と判り警戒を解いている義雪であったが、あい変わらずの目の前の老人の隙のない仕草にどこかそこ一挙手一投足をしっかりと見てしまっていた。
「さて……これからが本題でありましてな。某は最近まで中央…畿内にてとある者の謀略を阻止せんと活動しておったのですが、そこにこのような物が九州に置いてきた菊奈達から届いた次第にございます」
そういって焉綜が取り出したのは手紙であった。
「内容を簡単に言うと、菊奈達が先の志賀親守の乱で義雪殿達に世話になったと言う事。そしてこれが某達がここに来た最も大きな理由なのですが、現在立花家は忍が不足しているとか…それで立花には娘達が世話になりました事ですしこうして使える者を連れて参った次第にございます」
「ほう…では立花家に仕官するために参られたと?」
「仕官ですか…」
焉綜は小さく笑う。
「まあ、大体そんな所です…まあまだ確定ではありませんが…と、そんな事より、来客が参られたようですな」
義雪は焉綜の来客訪問の言葉に入り口の方を見る。
するとそこには義貞と、上司である由布惟信が立っていた。
「左平に…殿?このような所に何用で?」
「ふむ、それなんじゃが兄者実は…」
「義貞、わしから話そう。と、その前にそこのご老人は誰かな?」
「おお、申し遅れました。某は恒坂焉綜と申します、そこの菊奈達の育ての親にございます」
「おお、そなたが菊奈達の…」
(雰囲気から察するにただ者ではないな、しかし敵意は感ぬ。さほど警戒せんでも良さそうじゃな)
惟信は目の前の老人が放つその存在感に一瞬警戒するも敵意は無いと直ぐに気がつく。
ここは義雪と違い流石惟信と言った所であろう。
「…何か重要な案件で参られたようにございますな。我々は席を外していたほうがよろしいかな?」
「ん、ああ。恒坂殿がよろしければそうしていただくと有り難い」
「かしこまりました」
焉綜達は立ち上がり、家の外に出て行った。
惟信は義貞と菊奈に周りを確認させ人が居ないことを確かめると話し始めた。
「別に隠密性の高い話ではないが…一応な。では改めて立身獣志郎義雪!」
「はっ!」
「そなたに手勢を率いてとある土地で乱を起こした国人衆をどうにか鎮めてきてもらいたい」
「国人の討伐任務でございますか?」
「いや、あくまで騒ぎを鎮めて治安を回復するのが目的だ。無論武力によって鎮圧するのも方法の一つではあるが……まぁ、どういう風に事を成すかはそなたに任せる。詳細は義貞に伝えた故後で聞くが良い」
「は、はぁ」
要領を得ないといった感じの義雪。
「ああ、後此度の任務にあたり義雪隊には新たにわしの手勢と和泉の手勢から僅かながら兵員が補充される。そなたの隊と合わせるとざっと五百といったところか…」
(…ご、五百)
現在義雪の隊の人数が二百。しかも五十人は義貞の治療、補給部隊な為実際の戦力は百五十といったところだ。
五百という数は現状の隊の倍以上の数字と言うことである。
いきなり指揮する人数が増えたことに戸惑う義雪を惟信は微笑ましくかつ面白そうに見る。
「まあ、いきなり人数が増えしかも他の隊からの補充とならば色々不安があろう、そこでわしからそなたに他にも用意した物がある。おい!入ってこい」
そう言って惟信は外にいる人物を呼び出す。
「…ほう、やっと某の出番ですかな?いかんせん立ちっぱなしは老体に応えますわい」
中に入って来たのは身の丈七尺はあろう大きな歳を取った大男であった。
腕は丸太のように太く、使い古された甲冑を着込んだその姿から容易に彼が歴戦の猛者であることが窺える。
彼が入って来ただけでたちまち立身家はかなり窮屈になってしまった。
「がはは!!狭っくるしい家じゃのう……お、殿。この小綺麗な顔をしたなよっとした奴が今回某が面倒を見る小僧ですかな?話には聞いていましたが……なんともまあ…女子の様な小僧じゃのう」
大男は惟信の前にいる義雪を無遠慮に凝視して見るなりいきなり失礼な事をいう。
それに義雪本人ではなくその隣にいた菊奈が怒り出した。
「……」
菊奈は無言で素人にも判るぐらいの殺気をお構いなしに大男に向ける。
しかし、大男はそれに全くなんの反応も見せず、ただ呆れたような顔をしてどしっとその腰を惟信の後ろの空いている場所に下ろして胡座をかいた。
「…そんな殺気を剥き出しにして見られてもなぁ…某は見たまんまを言ったまでの事。嘘のつけない体質でなぁ……まぁ、かんに障ったのなら謝ろう」
「……」
「待て、菊奈!その手に持つ苦無を何に使うつもりじゃ!?」
今にも胸に潜ませていた苦無で切りかかりそうな菊奈を必死に止める義貞。
「後生です義貞様!!この無礼者を成敗させてください!!!」
「それは後生だからやめてくれ!!」
二人は目の前に惟信がいるのをすっかり忘れて取っ組み合う。
「ぷっ」
その光景を見て思わず笑い出したのは大男ではなく義雪であった。
「くくく……左平、菊奈。元気なのは結構だが、とりあえず殿の御前だ。いったん落ち着いてくれぬか?」
(…この小僧。己が侮辱されたのに怒る所か、笑いよるとは……誇りというものが無いのか……それとも)
大男は自分の挑発的な言動に一切乗ってこなかった目の前の若武者を横目で見る。
「とにかく我が家族がとんだご無礼をいたしました。どうか某に免じてどうかお許し願いたい」
深々と頭を下げる義雪。
「気にせんで良い。それよりわしの方こそすまんな。改めて紹介しよう、この男の名は佐倉彦左衛門鎮隆。長年わしの麾下で働いてきた将じゃ。最近まで豊後にて新兵や若い将の教育に務めておったのじゃが、此度のそなた達の助けになるだろうとかの地より、わざわざ呼び寄せた。このとおりな男だが実戦経験や新人育成能力は折り紙つきでな…此度の任で役に立つだろう。こう見えてかなり頼りになるのだぞ」
「こう見えては余計ですな。しかし殿が言われていることは事実だ、豊後の連中みたいに素材がよっぽど悪くない限り一流の将に鍛えてやろう」
「それは有り難い、至らぬ所は多々あると思いますが何卒御教授宜しくお願いいたします」
「ふむ、小僧。その態度だけは可じゃな」
簡単な挨拶を済ませた両人を満足そうに眺める惟信。
「さて、挨拶も済んだ所でわしらはそろそろ帰るとしよう。出発は明後日、しくじるでないぞ」
「はは!!」
義雪達は帰る惟信達を戸の外まで見送った。
(佐倉殿か…良き事が学べそうだな)
(次に獣志郎様を侮辱したら……許さない)
(……色々痛む事だらけじゃ。……胃が痛いのう、うう)
それぞれ違う思いを胸に。
「なかなか都合良い事になったのう」
焉綜達は義雪達の家の近くの木陰で座っていた。
周りには様々な花が咲き乱れてていてとても癒される空間である。
惟信達が来て席を外した焉綜達はここでのんびりと時間を潰していたのだ。
しかし、この老人ただのんびりしていたわけではない。
風蔵に惟信達が何用でここに来たのか確かめに行かせていたのだ。
故に焉綜の耳には一部始終事の詳細が伝えられていたのである。
そして焉綜は先ほどの言葉をふと漏らしたのだ。
「誠にそのようですわね。嬉しい誤算でございますわ……ふふ、この白い花綺麗ね、菊奈達にあげたら喜ぶかしら?」
「……これなら問題無く予定より早く義雪殿を見定める事ができそうですな……その花よりこっちの黄色い方が菊奈達には似合うぞ」
焉綜は愛する妹達に花を選ぶ月朧と風蔵を暖かく見る。
「ふふ、わしはその赤い花が可憐じゃと思うがな。…どちらにせよ彼がわしらの求めていた人材であってほしいのう……さて、そろそろ家に戻るとするかのう」
焉綜達はとりあえず各々が見定めた花を手に立身家に戻った。
尚菊奈は月朧が選んだ白い花を、魅鳥萌鳥の双子は風蔵の選んだ黄色い花を気に入った。
焉綜はその娘達の選択に背中に哀愁を漂わせてひとり家の隅っこで無言で拗ねたのだった。
最近涼しくなってきたし良いことずくめですねぇ(●´ω`●)
つか今思ったんですがこの作品じっさま多くね(笑)!?




