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義雪伝  作者: 戦国さん
第一章 忍と若武者
12/22

一門な家臣

今回は後日談となります(●´ω`●)

今回で第一章完結です。

ふぅ~、なんとか完走出来ましたよ(笑)


山中志賀の乱の後の義雪達の話をしよう。


まずは銀次郎。

彼は比較的軽傷であった事もあってかすぐさま診療所を立ち、自分の水軍の拠点に戻った。

勿論去るときに立花家から褒賞をしっかりと貰ってる所は彼らしいと言えるだろう。

因みに義貞に「褒賞の話は兄との間のやり取りで良かったのでは?」と聞かれた銀次郎は、「貰えるもんは貰う。あれはあれこれはこれだ」と貰った金品に頬を緩ませながらふてぶてしく答えたという。

尚、銀次郎が早々に己が拠点に帰ったのにはわけがある。

義雪が取り逃がした覆面の男と児宗斎の足取りを掴むことだ。

今回の謀を裏で操っていたのは紛れもなく奴だ。

銀次郎にはそんな確信めいた感覚があった。

故に彼はその持てる情報網を全て使い覆面の一味の情報を探し回った。

しかし、その手掛かり全くと言って良いほど掴めなかったのだった。


次に菊奈とその妹達の事について語ろう。

彼女達は本当に重傷であった。

更に長い間拷問などて痛めつけられたのであろう双子の傷は深く、特にその心は少しの衝撃で脆く壊れてしまいそうなぐらいに疲弊していた。

そんな双子を静かに支えたは義貞だった。

彼は熱心に診療所に通い詰め彼女達の話し相手になったり、欲しいもの、食べたい物があったら出来る限りそれを用意した。

その献身的な義貞の行為により双子は徐々にその傷を癒やしていったのである。

尚、何故義貞がそこまで彼女達を献身的に支えたのかは、すぐ後に本人達の口から語られる事となる。

そして菊奈だが、彼女を支えたのは言わずもがな義雪であった。

正直義雪も重傷ではあった。

だが、手当てを施した道齋が驚き呆れるぐらい早く義雪は動けるようになったのだ。

本人曰わく「他人より少し怪我の治りが早い方」らしいのだが、その回復速度が異常で超人的なのは道齋を含めた義貞以外の周りの皆が目を見開いて驚いた事からも窺えるであろう。

とにかく義雪は数日で診療所内やその近辺を歩き回るぐらいまでには回復していた。

流石にまだ仕事に戻る事は色々な意味(主に道齋と道雪に休めと言われた)で許されなかった訳だが。

そしてそんな暇を持て余した義雪はまだ満足に箸も握れない菊奈を看病すると共によくその話し相手になっていたのだ。

それがこんな時に何一つ妹達に出来ないと自分を卑下していた彼女を、大いに支えたのであった。


そして月日が流れ、年は変わって天正八年(1580年)。

頬に当たる暖かく気持ちの良い風が吹き、野花が咲乱れる春の事。

傷がすっかり癒えた菊奈達三姉妹は、ある用件から朝早く立身兄弟の家を訪ねていた。

「おお、よく来たな。朝の出仕前故あまりの持て成しもできないが、そこでのんびり寛いでいてくれ。おい!左平、菊奈達何か飲み物を…」

「いえ、お構いなく。私達が勝手に朝早く出向いたのですから」

菊奈達が訪れた時、立身家は出仕前の慌ただしさに見舞われていた。

ちゃぶ台の上には朝食があり、それを食べながら器用に身仕度をする立身兄弟。

なんでも今日は城で重大な案件があるらしく、更に道雪に直に呼ばれ謁見の間にての会見故に二人とも正装に身を包んでいる。

義雪の普段と違い整えられたその姿は、いつもの野生的な男らしさとはまた違った格好良さを醸し出している。

一緒にいる義貞も正装なのだが彼の場合、普段より幾分かましなぐらいで、相変わらず冴えない外見であったため、兄の引き立て役にしかなっていなかった。

(…格好いい)

「…で、用件はなんだ?我々兄弟がいるであろうこの時間にわざわざ訪ねて来たのだ。何か伝えたい事があるのだろう?」

「………」

「「菊奈姉!!」」

義雪に見とれて呆けている菊奈を双子が呼び起こした。

突然に意識が体に戻って来たため、その頭は混乱していた。

しかしそこは忍。すぐさまに混乱する頭を正常に戻し、本来の用件を伝えようと義雪に話始めた。

「…はっ、はい!此度は我ら姉妹、義雪殿と義貞殿にお願いしたき儀があり、こちらに訪ねさせてはいただきました。では単刀直入に申し上げます、我ら姉妹を立身家の臣下に加えて頂きたくございます」

菊奈がそう言って深々と頭を下げると、その左右に控えている魅鳥と萌鳥もそれに続いた。

「……」

そんな菊奈達にただ静かに無言な義雪。

心中どう思っているかは定かではないが、その瞳は全てを見通さんといわんばかりに彼女達を見据えている。

そして、最初に口を開いたのは弟の義貞だった。

「ふむ、その申し出は嬉しいが現在我が家には直臣を持つ余裕は…」

「「お願いだよ左平ちん!!」」

魅鳥と萌鳥は、菊奈達の申し出を断ろうとした義貞の言葉を遮るように言葉を被せ、そして二人して彼に迫った。

(近い、近すぎるぞ!)

その距離は最早お互いの息のかかるぐらい近い。

「魅鳥達今他に頼る人がいないんだよ↓↓」

「そうだよ!こんなか弱く可愛い萌鳥達を左平ちんは見捨てるって言うの?左平ちんの人でなし!木偶の坊!」

(と、言われてものう…と言うか木偶の坊は関係無かろう)

必死な二人に何とかしてやりたい義貞であったが、如何せん本当に現在の立身家にはそんな余裕はなかった。

出来たとしても身内以外に一人養うのが精一杯。そんな現状だったのだ。

「……悪いが」

「ふむ、良かろう」

「何!?」

改めて断ろうとした義貞を今度は兄の義雪が遮る。

しかもその口から出た言葉は「よかろう」という菊奈達を雇うこと是とした言葉であった。

「……いいのですか?」

菊奈はその言葉の確認をする。

肩は震え、言葉も弱々しく、その不安さが誰が見ても窺える。

「金銭面に関してはわしから何とか出来ぬか惟信様に掛け合ってみよう、丁度今日お会いするしな。左平もこれならば文句ないな?」

「ぐっ、まあ、それならばわしとしても文句はないが…」

「「さっすがしろちん!!」」

両手を上げ体全体で喜ぶ双子。菊奈も胸をほっと撫で下ろし、緊張を緩める。

「しかし、家臣にするにあたり幾つか条件がある」

直後義雪が発した『条件』という単語に菊奈達は再び不安と緊張に包まれた。

「一つ、忍びではなくわしの近従として雇う。二つ、何を置いても命だけは大事にする事。そして最後が最も重要じゃ…」

台詞を溜める義雪。彼の真剣な雰囲気に周りも、弟である義貞でさえも息を呑む。

「待遇は家臣ではなく一門……つまりは家族として扱う。異論は認めん」

「…義雪殿」

菊奈は嬉しさで思わず涙が出そうなのを必死で止める。

そばで控えている彼女の妹達も同様に瞳に涙を溜めた。

「おいおい、義雪殿はないだろう?そんな他人行儀な呼び方ではなく、お互い獣志郎、左平、菊奈、魅鳥、萌鳥と気軽に呼ぼうではないか、……わしらは立身一門。血は繋がらないが家族なのだから」

義雪はそう言うとにかっと微笑み姉妹達の頭をそれぞれ撫でた。

菊奈達はそれに耐えきれず遂に涙を瞳から溢れさせてしまった。

大声で無く彼女達。何事かと寄ってくる近所の人々。

義雪達は必死に彼女達をなだめながら近所の人々に事情の説明をした。

因みに彼女達にとって、その時の義雪の手はとても暖かくて大きく、そしてその顔は太陽のように眩しく感じたそうだ。

その後城に出仕した義雪達兄弟はこの事をすぐさま惟信に話した。

大丈夫だろうと楽観的な義雪に対して義貞はこんな要望が通るわけがないと、思っていたのだが…「うむ、あいわかった!先の褒賞の件もある、予算調整もある故直ぐには無理だが、何とか掛け合ってみよう。それまで生活に足りぬ分はわしから直にくれてやろう」とすんなりとは行かぬまでも、難なく了承を得てしまう。

まぁ、この難なく得た了承には惟信のちょっとした思惑があったりするのだが…それはまた別の話にしよう。

とにかく義雪達は無事菊奈達を配下(実質一門)に加える事に成功した。

こうして忍の姉妹菊奈、魅鳥、萌鳥は立身家の一員に加わったのである。

今回一章終了に伴い誤字脱字をちょくちょく直そうかと思います。

今まではスピードとモチベーションを維持するために無視してきましたが……私の事です、スマホで書いてるのもあって悲惨なんだろうなぁ(泣)

そんな中見苦しい私めの作品を見ていただき閲覧者の皆さんには深々とお礼を申し上げますm(_ _)m

今後ともよろしくお願いします。

次回から少し章と章の間のお遊び回となります。

まぁ、外伝とまでは行かないちょっとしたサイドストーリーだと思って下さい(サイドストーリーも外伝じゃないのかよ(笑))。

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