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ミニマムになりました。(彼が) パート2  作者: 由乃ケイ
ミニマムな彼の災難?
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7

 翌日は行き方も何となく分かっていたから、学校が終わってすぐに……と行きたかったけれど、そうも行かなかった。言い方が悪いかもしれないけれど、もうすぐ進路が決まるかもしれない親友の優衣ゆいが忙しくて良かったと思っていたのに。委員会の仕事をいきなり回されて、それから解放されたのは放課後になって一時間後の事だった。すぐにでもヒイラギの所に行きたかったのに、断る事も出来なかった私が憎い。

 慌てて校舎から出て校門前まで走って行くと、そこには一緒に行く事を頼んでもいないのにサトルの姿がそこにあった。昨日は綺麗だったのに、今日は手が絆創膏だらけ。やっぱり何があったかは容易に想像出来る。ヒイラギが噛みついたんだよね?


「お姫様、絶対迷子になると思って。昨日お姫様の帰った後にアキラにから頼まれた」


 何も聞いていないのだけど。というか倉山、私はこれ位の事で迷子にならないけれど、迷子にはならなくても不安にはなるから、サトルが来てくれたのは心強い。でもサトルが此処にいるって言う事は……。


「ヒイラギは?」

「先生の所。家に帰ったらお姫様に会わせる為に連れてくるよ。

ヒイラギ、一度目を覚ました時お姫様が急にいなくなっていた事を知って、かなり不機嫌だったし。噛みつくは引っ掻くはで大変だった。アキラも噛み付かれたと思うけど、気付かなかった?」


 やっぱりその傷はヒイラギによるものだったんだね。倉山も噛まれていたのは気付かなかった。今日はそんなにと学校で話す事もなかったし。何処までもヒイラギが感情豊かで、やたらに素直なのは分かった。今更かもしれないけれど。

 学校から歩いて二十分程で倉山の家に着き、玄関で待っているように言われて数分。奥から“良いよ”と声が聞こえてきたから、勝手に上がって和室に行けば、そこには昨日とはそんなに変わらない光景が広がっていた。変わっているとすれば着ぐるみがコアラに変わっている位だ。


「…………」

「怒っているの? それは謝るよ。でもヒイラギには早く良くなって貰いたいから……ね?」


 近付けばヒイラギはぷくっと頬を膨らませ、両手で布団を叩き出した。謝ってもその不機嫌さは直らないようで、頬は一向にしぼまなかった。相当ショックだったんだね。昨日私がいなくなった事。


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