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記憶の彼方にあるものは  作者: 伊南ヒギリ
2/5

□迫る白羽

まただ

視界いっぱいに広がる真っ赤に輝く禍々しい光景を

そこには悲しみが満ちていて、希望はこの世界に



ー違う、これは違うこれは今の…ー




「・・・ありがとう。」

どこからか声がした




 ケイは体を起こし、夢に見たその光景を薄れていく記憶から微かに思い出し涙が零れる。どこか喪失感を抱きながら。


 その時、姉さんが作っている朝食の香りが鼻をくすぐった。だんだんと頭が動き出し、夢の光景が頭の中から消えていき、思い出そうとしても曖昧になっていく。



「朝ごはんできたよ!」

 

 姉さんに一階に呼ばれ、ケイは急いで着換え、姉さん聞こえるようにでっかい声で謝りながら階段を駆け下りていく。


「おそい、時間大丈夫なの?」


「大丈夫!、うん」


 まぁ食べなと席に着き、僕が落ち着くまで待っていた。


 『ーの犯行と見られ、KAOIが引き続き捜査をす、、』


 姉さんの向かいに座ってニュースを見ながら朝食を進める。



しかし、姉はケイの顔を見つめたままにいた。


「ん?  どうしたの、寝ぐせ?」


「いや、なんでもないよ」


 よく分からなかったが、姉さんのことを理解できたこともないので特に気にしなかった。


 ニュースを見ながら姉との雑談がひと段落ついたと同時に食べ終えたケイは姉に一言告げて先に皿をかたずけ、ひとり住居者共有のガレージへ向かう。そこには、停めてある「アフト」という乗り物に乗り込み職場に向かう。


 その職場はこの国、クレジア聖国を支える〔カルティー〕の研究や開発を行っている。


その名を()()()()()という



 イドゥリマはクレジア聖国直属の組織であり、設立されてから数年足らずで国内最大級の組織となった。


 ケイはそこの【想起課】所属の研究員として働いている。

【想起課】は既に使い終わっている〔カルティ〕から記憶を想起させる研究を主にしていて、扱う〔カルティ〕の種類は多岐にわたる。



 

 クレジア聖国聖都ディバインレムルの中心地、。


 挨拶ともに想起課の研究室に入るとすでに来ている人達が、請け負っている研究をそれぞれがおこなっており、朝早くから研究室には少しぴりついた雰囲気が漂っている。



 邪魔にならぬよう、物音を立てずに静かに自分の個室に向かうケイであったが


 その時、自分の耳もとで何かが小さく爆発した音がし、驚きの声を上げてしまう。


 それぞれの個室から(「またやってるよ」という)視線を向けてくる研究員たちを後ろに、その爆発音の原因を()()確かめるため振り向く。


 そこには先輩で仲のいいロアンが、ニヤニヤといたずらっ子の顔をしていた。


「イタイ!イタイ!皆に迷惑だろ」



「ロアンのほうが迷惑でしょうが」


 ロアンが喚くのを無視し、こめかみをぐりっぐりする。彼、ロアン・ウォリックにはケイが新人の頃からとてもお世話になってはいるものの、頼もしい先輩というよりふざけるのが好きな中の良い友達という感覚だ。



 そんないつもの変わらぬやり取りも終え、視線をケイとロアンに視線を向けていた同僚たちも自分の仕事に戻りだした。


 ケイも自分の個室に入り、割り振られている仕事を始める。



 何とかノルマの一つ終えられたケイは遅い時間ながらも昼休憩に入る。

いつもの昼休憩と同じく、人気のない地下の倉庫部屋に勝手につくったマイスペースで自分の趣味でやっている研究をするため地下にに向かったが、倉庫の入り口付近に数人の気配があり、つい隠れてしまた。その人たちの会話が聞こえてきたためである。



「……―――――、無茶言うなって...」


「アポストルのためよ!」


「アポストルのためを思うなら慎重に行動しろ、俺らにあとはないのだから」


「違うでしょ、あなたはやつらにビビってるだけ」


「おまえ、、」


 冷静に対応しようとしている男と激昂している女の会話の様子をうかがおうと彼らの方を見たケイは言葉を詰まらした男と目が合ってしまった、


ーやばい!ーケイは慌ててもと来た方へダッシュで走り出す。


自分の個室まで周りを気にせず、駆け込んだ。


 そんなケイの心臓は今までに聞いたことのない音を出していた。総毛立つ思いで個室の隅で呼吸を整えようとするがなかなか収まらずにいた。こっそり会話聞いていたのが見つかったために逃げたというのもあるが、それ以上に目の合った人物がいけなかった。

目の合った男はケイにとってあまりにも身近の人物だっのだ。


「ケイ、ここにいたのか」


 突然かけられた声に再び心臓が跳ね上がる。個室の入り口からロアンが顔を覗かせて声をかけてきた。


「あ、居たけどどした、、」


「いや~どこにいたのかなーてな、」


喉がからからで普通に返事が出来た気がしない。目の合った人物が目の前にいるからである。


 そんなロアンの表情はいつもと何ら変わらない笑顔を浮かべており自分と先ほど目が合ったのは違う人物で、自分の感じがいだったのかもしれない、と期待してしまう。

イドゥリマの玄関口が騒がしくなっていた。

普段イドゥリマとは関わりがないとされる珍しい集団であったからだ。

彼らの目的は入り込んでいる[ネズミ]の駆除である。

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