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何故

今、私とキファント様はラリーさんに乗りアーティの街へ帰っています。夜空の飛行はとても綺麗です。


 下を向けば家々の灯りがキラキラして、上を向けば星が煌めいています。そして、背後から寒く無い様に抱き締めてくれている、キファント様が居て、私は怖いくらい幸せです。



「キファント様、今日はありがとうございました。とても楽しかったです」


「それなら安心した。ファーマン家に連れて行った事。レティには驚かせたと思う。だが、騎士団の私としてではなく、キファント・ファーマンとしての私を知って欲しくてな。それに、私の食べてきた中で美味い物と言ったら、料理長しか思い浮かばなかったんだ。けど、家族の事は……まさか、居るとは思わなくて、レティを不安にさせてしまったな。すまない」


「いえ。御家族の方と知り合えて嬉しかったです。皆様、明るく楽しい方で、それにキファント様の子供の頃のお話も沢山聞けて、キファント様のお部屋も見れたので何か得した気分でしたよ」


「部屋は、そうだな。まさか、奥に子供の頃のおもちゃや、剣など取ってあるとは驚いたが、私も懐かしかったな。その当時の気持ちが蘇ってくるもんだな。レティの子供の頃はどんな子供だったんだ」



ドキッとした。何を答えれば良いのかわからない。私の思い出なんて、どこか良い家に繋がる為の道具として、少しでも他家より優位に立てる様に、大人しく静かに勉強勉強勉強ばかり、野原を駆け抜けた事も、大声で笑った事も無い。なんて、何も無い子供時代だったんだろう。キファント様は、私の本当の事を知って嫌いにならないだろうか?言ってしまいたい私と、隠したい私がいる。どうしよう。



「レティ!!私はちょっと下に降りる。レティは、このままラリーに乗っていてくれ、私だけが飛び降りるから。絶対にラリーから、降りないでくれ」


「何かあったのですか?」


「下で、誰かが、野獣に襲われている。こんな時間に、何故あんな乗り物で走っているんだ。襲ってくれと言っている様な物だろう。それも、見渡しの良いこんな場所、一番有り得ない。


 ラリー。高度はこれぐらいにしておけば、野獣も襲ってこない。レティの事、頼むな。レティでは、行ってくる」


「キファント様、いってらっしゃいませ。ご無事を祈っております」



キファント様は、ラリーさんから飛び降りる前に、私を見てニコリと笑み、素早く口づけをし、スルリと下に降りて行きました。



「……キファント様……」



 私は、ドキドキする心臓を抑え。無事を祈りながら、下を覗き込んだ。


 暗闇ですが、上からは、月の光と下にいらっしゃる方のランプの光で、かろうじて動きがわかります。


 キファント様は、剣を使い狼みたいな野獣と闘っています。一匹一匹は弱くても、数が多く同時に襲いかかってくるので、見ていてヒヤヒヤします。


 荷馬車には、女の方がいらっしゃるのか、女性の甲高い叫び声が聞こえて、きます。心配なので、キファント様に集中したいのに、女性の叫び声が煩くて邪魔です。


 こんなに叫ぶと、他の獣もきそうで気になります。



「あっ!!」


キファント様が剣を納めています。私の方を見て、手を振ってくれました。


「良かった。終わったんだ」


ラリーさんが下に降りてくれています。だんだんとキファント様との距離が近くなっていって、キファント様が私の方へゆっくり歩いて来てくれている時。荷馬車の中から小柄な女性が走って来て、何故かキファント様の背中へ抱きつきました。


「えっ!!!」


「ありがとうございます!私を助けてくれたのですね。馬車の中から、見てました。すっごくと強くてカッコよかったです。まるで王子様のようでした。お名前教えていただけますか。私は、ミュラと言います」



久しぶりに聞いた声は、私がもう二度と聞きたく無いと思っていた声でした。

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