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家族

「サボっちゃった?どーゆう事ですか?本日は確か、王宮での大きな会議の筈では?それに母上は、獣人婦人会での催しがあり、朝から外出だと聞いたのですが」



黄色の好奇心旺盛な大きな瞳を、キラキラ輝かせたお母様?が、とても綺麗な笑顔を添えてキファント様へ楽しそうに喋りだしたのです。



「安心しなさい。催しは、わたくしの信頼してます方へ、事細かく指示してますわ。そろそろわたくしが居なくても、自分達でやっていける様に持って行こうと考えていたの。今日は、良いタイミングだったわね。わたくしとても今、楽しくてウキウキしてますのよ。ねえ、あなた」


「キファント、安心しなさい。私達は中途半端な事はしない。皆キチンとした理由と、代役を務める者を出しているからな」


「どこにキチンとした理由などあるのですか」


「まあ、まあ、そー怒るなよ。大丈夫だって!俺達はいつも真面目だろ、偶には良いんだって。それに、お前が家に彼女連れてくるなんて初めてだろ。王宮の会議なんていつでもあるじゃん。へっちゃらだよ」


「シイナは、いつも真面目ではないですよね。貴方の部下からの苦情が、私の所に来ていますよ。その事については、後でキチンとお話しましょうね」


「兄上……」


「逃げては駄目ですよ、シイナ。と、いう事ですので、キファント。私達の事は安心しなさい。それに、君は長らくアーティの街から帰って来なかったからね。私達も心配していたんだよ。そこに、君が帰ってくると言う情報が耳に入ってきたら、時間を空けないといけないよね」


「……父上、母上、兄上達。ご無沙汰しております。只今帰りました」



キファント様は、隣で深く頭を下げています。御家族の皆様は、それぞれお帰りと笑顔で応えていて、お兄様方は何やら耳元で囁いたりしております。


 皆様の大きな耳や尻尾が嬉しそうにフリフリされていますね。


 御家族だけではなく、アラン様や部屋の隅にいらっしゃるその他の獣人様達も、皆様微笑ましくみています。


 私もあったかい家族の雰囲気に、少し胸の奥がチクッとしましたが、そこは隠して笑顔でキファント様を眺めていました。ら、キファント様と視線が合い、腰をギュッと掴まれ引き寄せられました。



「皆に紹介する。私の愛する人だ」


「…………えっ………」



私はキファント様の言葉に暫く頭が真っ白になりました。が、昔厳しく教えられた教育は生きていた様です。自身の真っ赤な顔と、皆様の瞳は見ないフリで勝手に出てくる言葉を紡ぎ出しました。



「御紹介にあずかりました。わたくしアーティにおいて、『おにく』と申します店を営んでおります。レティです。お見知り置きくださいませ」



「私はエレファントのファーマン一族の家長。アティカス・ファーマンだ。お父様と呼んでもらえると嬉しい」



と、笑顔で応えていただきました。



「わたくしは、オリビア・ファーマンよ。お母様と呼んでくださいね」



と、両掌を暖かく包んでいただきました。



「私はセオドア・キファントです。セオドアお兄様と呼んで貰えると嬉しいよ」



と、頭を優しく撫でていただきました。



「俺はシイナだよ。シイナって呼び捨てにしてね。それにしても、レティって可愛いね。僕も今ちょうどフリーなんだよ。この出逢いは大切にしないとね。兄弟間の三角関係なんて、ドキドキして良いよね。どう?俺ってこー見えて一途なんだよ」



シイナ様が、満面の笑みで両手を広げ、私に近付いて来ようとしたのですが、いつの間にか私の身体は、大きなキファント様に包み込まれ身動きできなくなっていました。


 これは、なんでしょう。御家族様の前で機能停止寸前です。これはもう、気絶した方が楽だと、逃げたくなってしまいます。変に頑丈な私が恨めしい。



「あら、あら、あら、あら、まあまあまあまあ。なんて可愛らしい二人なんでしょう。こんなことが本当にあるのね。わたくしとても嬉しいわ」



「皆様。そろそろお料理の支度が整いました。此方へお越し下さい」



アラン様のおかげで、私は身動き取れる様になりましたし、機能も復帰しました。アラン様は救世主です。


 それからは、御家族の皆様と、とてもとても美味しい料理をいただき、料理長様からはレシピも教えていただきました。


 皆様、本当に暖かい方々ばかりで、はじめて家族と言うものの雰囲気を味わった気がします。

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