楽園
「凄い……凄いですね。先程から、森の上に来た辺りから、急に空気が変わりました。膜?みたいなものに森が囲われてるのですか」
「そうだね。いいように言えば膜ってのもあながち違わないかな。この先に護られているものがあるから。この周囲の清廉な空気……気配で護られているんだよ。私も偶々ラリーとの散歩途中に見つけたんだ。そろそろ見えてくるよ。あまり大きな声出さないように」
「はい」
ラリーさんも先程とは違って、羽ばたきを静かに風に乗るように飛んでいます。気持ち良さそう。
下の森の中にキラキラ光るものが見えてきたわ。何かが反射してるのかな。私はできるだけ小声で聞いた。
「あれですか」
「そうだ。降りるぞ」
ラリーさんもわかっているのかキラキラ光るもののある方へ降りていく。近づいていくと、それは結構な大きさの湖だった。森の中にとても綺麗な湖があった。
その湖の周りには様々な動物達が水を飲んだり、水浴びしたりしていた。肉食の獣の側で小さな草食動物が気持ち良さそうに寝そべっていたりもしている。
「ここは……何ですか」
「この湖の周辺は、動物達全て生きとし生けるもの全てが、争わないんだ。どんなにお腹が空いてても、他者を襲わないんだよ。離れると、普通な森のように弱肉強食だがな」
「凄いですね。このような場所はじめてです。そして、この湖の澄んで綺麗なのは不思議です。動物達が入っても一つも水が汚れませんね。動物達はとても満足して出てきてますし。不思議です」
「飲んでみたらわかる」
キファント様が、湖の水を両手で掬い口元へ持って行きゴクゴク飲んでいる。綺麗そうだけど、大丈夫なのかな。
飲み終えると、私に向かって笑顔で見て来る。これは、飲めって事だよね。悩んだけど、目の前でワニがすいすい泳いでるけど、水の中に手を入れて同じように掬ってみた。
すっごく綺麗。水自身がキラキラ輝いている。爽やかな匂いも漂っている。その水を少し口に含んでみる。ゴクン。
「えっ何これ美味しい。ほんのり甘くて爽やかで。さっきラリーさんに乗って身体中が、ギシギシしてた筋肉が痛くない。空腹感も無くなっている。身体が喜んでいる。満ち足りているって感じる」
「そうだろう。私も同じ感想だ。この水は持ち帰っても駄目なんだ。この森から出るとすぐに水は泥水に変化するんだ。
この場所も、騎士団で近く通った時皆んなで休憩しようとしたら、森自体なくてな、辿り着けなかった。この場所には、皆が皆入れる訳ではないらしい。レティなら、大丈夫だと思ったんだが、一緒に来れて良かった」
私は、掌の残りの水も飲み干しキファント様へお礼を伝えた。
「キファント様ありがとうございます。ここは素晴らしい場所です。連れて来ていただき嬉しいです。この場所は、楽園ですね」
「楽園……そうだな。楽園だな。皆が上下なくのんびり過ごしている。心が落ち着いていて、満ち足りている。幸せだな」
「はい。とってもみなさん幸せそうですね」
私達は少しだけ湖でのんびり過ごして、ラリーさんに乗り、別の場所に向かいました。キファント様は又、何も教えてくれません。一体どこへいくのでしょう。少しドキドキしてます。




