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5-13

 声が聞こえた途端、ルシャに絡まっていた蔦は解け、姿を消した。


 声の主は女。馬車から顔を出した女だった。


「バニケイ姉さん!?」


「やっぱり! ル・シャタールじゃないの!」


 声色に険はない。敵の魔神遣いではなさそうだが、野柳は周囲への警戒は解かずにルシャに歩み寄る。


「知り合いかね」


「私が魔皇朝に……その、魔皇朝から離れた時、最初にお世話になった人です!! バリケイ姉さん! こちら、師匠です!!」


「どうも……師匠です」


 咄嗟に良い自己紹介が浮かばず、粗雑な挨拶をしてしまう。


 そもそもどの程度情報を出していいのかまだ判断出来ない。魔皇朝から離れてからの恩人なら少なくとも敵ではないのだろうが、油断は出来ない。


「へぇ! なかなか良い男じゃないの! 私はラ・ヴァニア・バリケイ。よろしくね」


 褐色の肌が眩しい女だった。砂を避ける必要がなく、湿度が高いからか、先の村の人々の服よりは軽装だ。


「どうぞよろしく。植物は貴女が?」


 兎に角、状況を整理しなくてはならない。


「そ。魔皇朝の罠さ。この石を身に着けてない人間がここを通ると森の植物が襲ってくる。今はアタシが止めてるから平気ってワケ。危ないとこだったね」


「それはどうも。助かりました」


 ルシャに駆け寄り、しゃがみ込んで様子を見る。


「怪我は?」


 ルシャは、靴を脱いで蔦に締められた足首の様子を見る。


「大丈夫です!!」


 その返事に胸を撫で降ろす。改めて、バリケイに向きなおる。


 馬車を引いていたのは馬ではなく、見慣れない動物だった。


「駱駝鳥だ!!」


 ルシャが叫んだ。

 

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