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同時期。
スライム状の野柳の分身は密林を駆けていた。
全身の細胞を感覚器にして索敵しつつ、街を目指す。
密林にそう造詣が深いワケではなかったが、見回す限り、野柳の知識を大きく逸脱するようなモノはない。
暑さは変わりなかったが、砂漠と地続きとは信じられない程の湿気だった。野柳には有利な環境である。
密度濃く生い茂る植物。むせるような植物の香気。その緑に紛れ、這いまわる爬虫類様の動物たち。野柳の世界の蛇やカメレオンの類縁に見える。もっぱら虫を追うのに忙しいらしく、こちらには目もくれない。
時折聞こえる不気味な鳥の鳴き声に身がすくむ。聞こえる度に陰に身を隠したが、声の主はついぞ現れなかった。
木の根や草の隙間から垣間見える地面は入り口付近は砂っぽかった。奥に進むにつれて、黒っぽい土が混じってきている。魔神の影響下であっても自然のつくりを全く無視しているというワケではないらしい。
実のつく植物は見つけ次第身体に取り込み毒味をした。かなりの種類の実が食用に適し、味も悪くはなかった。
更に進むと、蔦に絡まれた城壁が見えた。
周囲を警戒しつつ、這い寄る。視認する範囲では罠らしいものはない。
街の様子も探っておこう。そう思って這い上がろうと城壁に触れるが。途端に触覚に強烈な抵抗を感じた。
熱とも電流とも違う、不可思議な刺激だったが、兎に角これに耐えながら城壁を登ることはできない。
一度引き上げ、策をねらねば。
踵を返し、食べられる実もぎりながら来た道を戻ってゆく。




