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虚勢を張って歩調を緩めず歩き続ける。
そろそろ何か適当な理由をつけて砂鮫を呼ぼうか考えた時だった。
「師匠!! あれ、何でしょうか!?」
ルシャが前方を指差して聞く。
目を凝らすと、薄ぼんやりだが確かに何かが見える。そろそろムジャロップの街に付く頃だ。しかしどうにも建物や城壁の輪郭には見えない。
「なんでしょう!? なんか……緑っぽい…!!」
「ルシャはここに来るのは初めてかね?」
「いえ!! 魔皇朝がわるさする前はよく来てました!!」
「見覚えはないんだね?」
「はい!! もう暫く行けば街が見えてくる筈ですけど…!!」
ルシャは落ち着かなげに言う。
「街の位置にあの緑色の変なのが覆いかぶさってる訳か……兎も角行って確認してみよう」
ここでようやく砂鮫を呼ぶ運びとなった。
砂鮫を駆り、輪郭がはっきりする所まで近づく。
「確認だがね、ルシャ」
「はい!!」
「これを見るのは初めてなんだね?」
「はい!!!」
二人の前に現れたのは、砂漠から唐突に始まる、深い密林だった。




