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日課の筋トレを始める。
砂鮫には乗り慣れているし、昨日の戦闘はほとんど野柳が行った為に大した疲労はない。
──師匠。
体力に余裕があると、色々な所に思考が飛んでしまう。
戦闘後の、野柳の悲痛な笑顔が脳裏に蘇る。作り笑いとすら呼べない、苦く歪んだ笑顔。
ハズレの勇者と会ってから、どうにも野柳は気落ちして見えた。村のみんなで食事をしてから若干持ち直したかに思えたが、昨日の顔は今までで一番暗かった。
ルシャは野柳の能力全てを把握しているワケではない。これまでの出来事を総合すると、限りなく不死に近いようには見える。それが故か、過去が故か。闘い方といい、物言いといい、どうにも死に急いでいるように思えてならなかった。
戦闘のこと。許可が出るまで前衛に出ない、という約束に了承はした。
確かに後衛で学べることは多いだろう。
だがそれで終始してしまったら……
確かに野柳の口車に乗せられる形でここまで来た。しかし、勇者として自分で考え、決断しなければならない時がくるのかもしれない。
ノルマが終わった。ルシャは物置を出る。




