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ルシャは野柳に聞いた部屋に水を取りに向かった。
戦闘の立ち回り、野柳の言ったこと、あの指揮官の最後。心を重くするものはたくさんあるが、まずは水だ。
水浴びが出来る程豊富に蓄えられていると聞いたが果たして……。
ドアを開けると、見たこともない容器が山と積まれていた。
ルシャと別れた野柳は目星を付けておいた空き部屋に入った。
村への水への供給や、魔皇朝の上への報告は、拘束した部下の元に向かわせた分身がうまくやる筈だ。
「く」
指揮官から引き出した情報を整理し、今後の方針を考えなくては。
ノートと筆記具の鉱石を荷から取り出す。
「う……うぅ」
ノートを開く。ページに涙が落ちる。
感傷に浸る暇はない。それでも。いくら喉を絞っても。声が漏れ出てしまう。
この冒険を、贖罪と呼ぶなら。
「うううぅ……」
是が非でも救ってやらなければならなかった。
──彼は覚悟していた。
それでも、救ってやらなければならなかった。
それが出来なかった。




