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指揮官が物言わぬ骸に変わった時、静かな音がした。
魔神の巨腕が出現していた。人差し指である方角を指し示している。
直ぐに解った。
『解呪の方法を言え! 呪いを解く方法は……魔皇朝を裏切った者は死ぬしかないのか!?』
あの問いの答えだと。地図を開き、方角を照らし合わせる。行き着く街は1つ。印をつけると、巨腕は消えた。
埋葬を始めたのはルシャだった。
作業が終わるまで、二人とも口をきかなかった。
仕上げが済んだ時、おずおずとルシャが口を開いた。
「師匠、最初に潰された師匠は幻影ですか?」
「いいや、分身だ。あれも紛うことなき私自身だよ」
言いながら、更に分身を作った。身体が目減りするが、戦闘前にたっぷり補給したので不調になるほどではない。
「感覚、感情、記憶、全て共有している」
スライムから急速に人型に変わるのを見て一瞬ルシャがたじろぐ。
「潰れた師匠は……」
「死んだよ。痛かった」
大まかな人型が出来るとディテールが詳しくなる。完成したのは指揮官の姿だった。
「これって……」
「これも私だよ。替玉を務めてもらう」
監視と情報収集、本物の指揮官を倒したことの隠蔽など諸々の工作を担当する。
「……師匠は、師匠ですよね?」
「今のところはね。君に助けられたこと、誓ったこと、全て覚えている。しかし」
不安げなルシャをじっと見る。
「それが信じられなくなった時は君が討つんだ」
ルシャは何も言わない。言えなかった。
「大丈夫」
野柳は笑顔で励ます。
「君なら出来るさ」




