4-15
並列して、分身がルシャに合流する。
「ルシャ!」
「師匠……の分身!? がもう一個!?」
砂鮫の速度が緩み、やがて停止する。ルシャの後ろに既存の分身の姿がある。
素早く、二つの分身はくっつく。充分な体積と質量を得た分身は人型──野柳の姿──に変化する。
「……うわあ」
「驚きよりもヒキがくるんだね」
まぁ仕方ない。自然な感情だろうが少し傷つく。
「師匠、増えられたんですね!」
「まぁそういうことだ。時間と水が少々必要だがね。もう一人の私が闘ってる間に敵から見つからずに援護できる場所を探すんだ」
「でも師匠! 敵の魔神は……」
砂鮫の上から野柳と指揮官の戦闘を見ていたらしい。
「その魔神が問題なんだ。見ていたまえ」
砂鮫から降りるよう促し、城壁に身を隠しながら、戦闘の見える位置に移動する。
もう一人の野柳が矢継ぎ早に質問を投げ掛けながら攻防を繰り広げている。
聞きたいことは粗方聞き終わり、ルシャ達が好位置についたことを認識すると、繰り出された巨拳を避けず、一身に受ける。
「え!?」
圧倒的なサイズと破壊力のパンチにガードも虚しく野柳は砕けちった。性質上肉片にはならず、液体が辺りに散らばるが問題は。その液体が動く気配がないことだ。
「思った通りだ。あっちの私は再起不能になってしまった。生身の人間が受ければどうなるか……援護に徹するんだ」
不承不承ながらルシャは頷く。それを確認すると野柳は足をゲル状に変え、足音を消して指揮官へ這い寄る。
砂が身体に混じる。それに加えて新しい身体がまだ馴染んでいない。先程のように俊敏に身体が動く保証はない。
──やむを得んか。賭ける!
城雲から得たカプセルを取り出す。
首筋をゲル化させ、そこからカプセルを呑み込む。試したことはないが、理論上はこれで城雲の特殊能力を行使出来る筈だ。カプセルの損壊を危惧してテストしなかったのが吉と出るか凶と出るか。
効果はすぐに出た。念じれば身体の何処でも鋼に変わる。
肩で息をする指揮官はもう目前だ。即ち、射程内に居る。
液状化した身体を飛ばし、鋭く尖らせ鋼化させる。身体を使った手裏剣である。
不意打ちではあったが、指揮官が振り向く前に巨腕は現れ、手裏剣を撃ち落とした。
想定内だ。野柳は不敵に、挑発的に嗤う。
「お疲れの所悪いんだが。第2ラウンドだ」




