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樽の口を開けると、一気に中身を干した。これで、能力を遺憾なく発揮できる。
「え、ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと」
「狼狽えない。まだ残ってるし、これからオアシス解放するんだ。気にする必要はない」
樽が空になったのを確かめ、液状化し、身体を流しこむ。
外に残した部分で手を形造り、蓋を閉める。樽を砂鮫に括り付けようと試みるが、それには少々身体が足りない。見兼ねたルシャが手を貸してくれる。
「これで……あの建物の近くを通り過ぎるように指示すれば良いですか!?」
残りの部分で口を作って答える。
「察しが良くて助かるよ。何かあれば私の半身を通して連絡したまえ。それ以前に半身だけでもそこそこ仕事が出来る筈だがね」
「は、はい…!」
愛想笑いが引き攣っている。やはりこの形態には心理的な抵抗が強いらしい。
──やっぱりちょっと傷付くな。




