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ルシャの指す方──灌漑用水路の行き着く先には石造りの巨大な構造物があった。まだ遠く、うっすら見えるだけだがその威容は確認出来る。向こうからこちらは視認できまいが、念の為岩陰に移動する。
砂鮫から降り、周囲の気配を探る。人や魔獣の気配はない。
「ほとんど要塞だな。あれは以前からあそこに?」
「いえ!! 初めて見ます!!!」
それならば、魔皇朝の手になるものと見て間違いない。
主目的が何にせよ確実に要塞としての機能はあるだろう。
特殊な能力を持つとは言え、こちらは2人だ
「魔神の力で探りは入れられないか?」
ルシャは目を閉じ、魔神とコンタクトを試みる。しばらくして
「だめですね…! 大きな異物──建物があるのは解るんですが!!中身はさっぱり……!! 建物周りに魔獣の気配はないんですが!!!」
「そうか……私の方でやってみよう。暫く休んでいたまえ。動くとするなら暗くなってからだ」
「わかりました!」
言うが早いが、ルシャは腰を降ろして砂鮫に餌をやり始める。
幸い、野柳の方に疲労はない。
どうしたものかと思案する。一見して出入り口付近に見張りはなかったが、上階など、配置できる場所はいくらでもあるだろう。
かと言って液状化して砂に潜っていけばすぐに水分を無くしてしまう。
「この辺は砂鮫が泳いでても不自然はないかね?」
「どこの地域でも乗ってますし、役目を終えたら勝手に自分の縄張りに帰るので……特に見咎められたりはないと思います!」
「砂鮫単体で荷物運ばせたりはする? ここらへんでも」
「やります!!」
「なるほど……そのセンで行くか」
荷物を解き、水の入った小樽を取り出した。




