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翌未明。ルシャは起き出し、それに伴って野柳も床を出た。
ルシャは若干機嫌が悪いのを除けば完全に体力を取り戻していた。
オアシスへ向かう前に村長を訪ねる。村の防護策について話す約束があった。
眠たげな村長をたたき起こし、村外れに連れ出す。防護策に納得が行けば、ルシャを魔皇朝打倒の度に連れ出して良いという取り決めだった。
ルシャに実演させる。
「おぉ……」
寝ぼけていた村長が完全に目を覚ました。
1つ目。砂霧。広範囲に霧のように舞う砂で煙幕を張るというものである。
魔神の力で浮遊させた砂には探知能力があり、敵を見つければ砂の濃度は濃くなり、道を見失うよう仕向けられる。それでも強固に村に向かうなら砂嵐まで発展させられる。
自分は全く巻き込まれる気配なく、目の前で砂煙があっという間に砂嵐に変化する様、それをルシャがコントロールしているという事実は村長にはにわかに信じがたいようだ。
「これでも突破されるようなら次の手です」
振り返って村の方を向く。村長もそれに倣った。
「!!」
そう間を置かず。村をすっぽり覆う砂のドームが出現した。
ルシャは保存食を齧りながら魔神に指示を出している。やはり消耗するらしい。魔神からのエネルギー要求が激しいのだろう。
村長は壁に手を触れたり、裏拳でノックをしてみたりと強度を確かめている。
「一部の空きもない。アリ一匹通しませんよ」
──ルシャがもつ限り。
「そうらしいな……。よろしい。ルシャの遠征を許可しよう。どの道水がなければ外敵がなくとも滅ぶのはご指摘の通りだ」
「ありがとう。必ずやオアシスは取り戻してご覧にいれます」
ルシャは終始もの言いたげだったが、野柳は黙殺した。話せるのは全てが終わってからだ。
魔皇朝を倒してから。




