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締め上げていたゴブリンを堕とす。もう片方、ゲル化して伸ばし、ゴブリンを掴んでいた腕を引き戻す。
その勢いを利用し。
「オラァ!!」
強かに殴り付ける。
あっという間の出来事だった。倒れ伏したゴブリンを観察しつつ、息を整える。動く気配はない。
「でかしたぞ、ルシャ」
声を掛け、視線を上げるとルシャもがっくり倒れた。
「!」
慌てて駆け寄り、抱き起こす。
息はしている。寝顔も穏やかだ。
──消耗させ過ぎたか。
「ルシャは!? 大丈夫なのか!?」
わりあい近くで闘いを見ていた男が心配そうに聞く。
「疲れ、ですね。気持ちよく寝てますよ」
野柳の言葉にほ、と胸を撫でおろす。
「すげえな、アンタ! 流石に異世界から来ただけはあらあな! 一瞬でゴブリンどもをのしちまった。今度の勇者様は大当たりってワケだ」
勇者。その言葉が野柳に突き刺さる。
徐々に集まり始めた村人たちもざわめき始める。
「いえ。本物の勇者はこのル・シャタールです」




