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3-8

 声の主はいつか――野柳が転移してきた時、最初に通りすがった二人だった。


「“勇者様”よぉ、ルシャに何するつもりだ? 何企んでやがる」


 一人が目付き悪く、責める口調で野柳に迫る。


「ちょ、ちょおまて。まてや」


 もう一人がそれを諌める。


「魔獣士やっつけてくれたんは感謝しとる。初めて会うた時見殺しにしようとしたんは謝る。けどなぁ、うちとこもこの状況で、すんなり受け入れるワケにもいかんのんじゃ」


 理解できる。甘い顔をして取り入り内側からぐちゃぐちゃにする。そんな悪意はどこにでもある。


 そしてそれは、野柳が組織に居た頃何度も使った手でもある。


「待ってください!! 師匠は良い人です!! 師匠は……!」


 ルシャが庇うのを、野柳は手で制する。


 同時に、目顔で合図を送った。心にまた重いものがもたげるのを感じながら。


 ──自分は庇ってもらえるような人間なのか。


「お気持ちは解ります。皆さんが信用出来ると確信できるまで監視、ないしは動向を注視いただいて構いません。私には行動で証明し続けるよう努めます」


「それじゃあルシャにヘンなことしねぇって保証にならねんだよ!!」


 押し留められていた男が噛みつく。


「ヘンなことってなんですか!?」


「そ、それはだなぁ!!」


 ルシャの素朴な疑問に男が言い淀む。そんな場合でもないのに、野柳の口元が綻ぶ。


──本当に良い人達だ。大事にされてきたんだ。


 と。女性の衣を割くような悲鳴が聞こえてくる。


 続いて怒号。


「魔獣だ!! デザートゴブリンが出たぞ!!」


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