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「……デザートはいかがかね?」
声を掛けられ振り返ると、あの村長が立っていた。
「え、ええ。いただきます」
そう答えると、村長はコップには黒く、濃い飲物が注がれ、器には原色が目に鮮やかな団子状のものをよそう。
「コーヒーと、交互に食べるといい」
礼を言って受け取るが、村長は立ち去らずじっと野柳を見ている。
「隠し、きれんよな……」
言わんとすることを察し野柳は首肯を返す。
「反対者も相当数居たよ。だがね。限界だった。食料も、子どもらも」
ぽつりと村長が言う。
「どうしてもガス抜きが要った……そんなら腐る前の保存食も使っちまうべきだと……」
「そんなに逼迫して。無理を、したんですか?」
今度は村長が重々しく頷く番だった。
「もちはする。もちはするが……そう長くは」
「……オアシスを取り戻せれば、なんとかなりますか?」
「それは……そうだが」
「解りました。……私がなんとかします。気に病まないで下さい」
ルシャを見つけなくては。溢さないよう一息に飲み干したコーヒーは、恐ろしいほど、苦い。




