表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/82

2-15

 止め処なく、血が溢れ野柳へと降り注ぐ。


 城雲の身体が手足から順に、硬質化を始める。金属ような光沢はなく朽木のような脆い色で、見る間呻きと共に砕け散っていく。


 元の世界で悪事を働いていた時、幾度も人の死を見て来た。


 加工された野柳の心は無感情に、あるいは嗜虐的な喜びをもってそれを眺めていた。


「あぁ……あああああ……!」


 正気の心で、目の当たりにするのは初めてのことだった。


 組織の怪人には、保険がある。条件付きだが、深刻なダメージを負っても、手順を踏めば記憶と能力をそのままに復活することができる。


 頭では解っている。それでも、制止することもかなわず、再会したばかりの友が下した決断に、野柳は動揺を留められない。


「なんで……なんで、何でだ……!」


 手をこまねいている間に、血の噴出も、身体の崩落も終わっていた。


 顔に身体に降り注いだ血を払うこともせず、野柳は城雲の崩れた身体、その縫合跡のあったあたりを探る。


 ほどなく、手のひらに収まる程度の、ソケットのついたカプセルが出てきた。


 保険。怪人のコアであり、拡張ソフトでもある。

これを用いれば復活することも、他の怪人が能力を使うことも出来る。


 忸怩たる思いで握り締める。


──ルシャを待たせ過ぎたな。


 強引に思考を切り替え、その場を後にする。


 開かずの扉と化していた大岩は、テコが備えられ、こちら側からなら用意に開けることが出来た。


 覚束ない足取りで入口に戻る。


「あ、師匠! 師匠……!」


 頷きで応えるが、血に濡れた姿に、ルシャの声色が変わる。


 外は、雨脚が強くなっていた。


 心配げなルシャの目線に答えずふらふらと、洞から出る。


 無性に濡れたかった。


 降りしきる雨が、血を洗い流してくれる。


「師匠、何が……?」


 カプセルコアを示す。


「確かに古馴染みだったが、少々モメてね……今度はこちらに引き籠もってしまった」


 厳密には違うが、ルシャに通じるよう説明するのは難しい。


「彼には彼の苦しみがある……責められんよ。こんな状態でも助けにはなってくれる」


 そうだ。責めるべきではない。





 それでも。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ