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それを聞いて野柳は、城雲の洗脳は解けていると考えることにした。
「どうやら正気らしいな。ここに送りこんできたやつのことは覚えているかね?」
「……白い世界だった。自分の身体さえ見えないくらい、全部、真っ白だった」
「男か女か解らない天の声は?」
「聞いたさ。はっきりと」
──はっきり?
野柳の時はそうではなかった。
城雲を送りこんだことで何かしらを消費してしまったのだろうか。
「魔皇を倒せば願いを叶えるなどと戯れ言を」
──やはり。
それで、野柳が聞き取れなかった部分が確定した。
「私はその戯れ言に賭けてみようというつもりだ」
「……正気か!?」
「正気だ。あの声の主のお陰でな。洗脳のこともそうだし、組織の科学力をもってしても次元転移はなし得なかった。それをやったんだ。死にぞこないの我々を使ってね。何らかの上位存在には違いない。全員を生き返らせるのは無理だったとしても、何らかの救済措置くらい」
「戯れ言を通り越して御伽噺だね」
城雲は斜を向いたまま鼻で笑った。
「どうして! 騙す側に立ってた男が、そんなコロっと信じるのさ!」
「あの神気取りが大嘘つきならケジメは取らせよう」




