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2-12


「城雲……」


 居たというべきか。あったというべきか。


 その顔、その姿は、確かに同じ組織に属したかつての盟友、鞍志度城雲の戦闘態だった。


 だが、見知った男は金属質の光沢を放ち、微動だにしない。


 改造人間としての能力で、全身を硬質化して、生命活動を静止させ、飢えや渇きを凌いでいたらしい。


 拳でノックするように軽く叩いてみるが、反応はない。


 右腕を液状化させ、表面を撫ぜる。


 耳の穴からは侵入できると見て、少量送り込んでみると、能面のような表情が不快げに歪み、硬質化は一挙に解かれた。


「なにを……!」


 身体の色が生気を取り戻したかと思うと、更に変化は続き、戦闘態から人間態へと戻る。


 神経質そうな細身。眼鏡の奥に覗く瞳は射るように鋭い。眼差しは卑屈に濁っていた。


「……プラナリアンか……こちらに、来ているとはね」


 こちらに来ているということは、“あの場”を経由しているということだろうか。組織の洗脳は解けているのだろうか?


 警戒しながらも、探るように野柳は語り掛けた。


「その名は捨てたよ。誰かさんが引き籠もってるものだから私にお鉢が回ってきたらしい」


 城雲は鼻で笑って、目線を野柳から外した。


「すまんな。久し振りに知り合いにあったものだから気が緩んでいる。気を悪くしないでくれ」


 城雲は黙ったままだ。


「良い機会を貰ったと思っている。償うチャンスだと」


「償う? なにを暢気な……! いくらこっちで善行を積んだところで、僕らが殺した人間が生き返るワケじゃあない! 名前を捨てたと言ったな……そんなことで過去を切り捨てられると思っているのか!?」


 城雲は吐き捨てた。


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