2-11
魔神の使役に要する体力は野柳にとって未知のものだ。ルシャのタフネスにどの程度影響するかは想像するしかない。
もし、深刻なら次の闘いは休ませるべきかもしれない。
それとも責任を印象付ける為に、苦戦しようとギリギリまで見守る姿勢を取るべきか。
正解が解らない。野柳には戦闘者としての経験はあっても、指導者としての経験は不足していた。
今それを云々しても仕方がない。相手の力を測った上で判断するしかないのだ。幸い雨足が想定より強かったために、思わぬ副産物ができていた。
──これだけ潤えば、バックアップを作れる。
雨に湧く村を抜け、砂と石ころのほか何も無い砂漠をひた歩く。雨が心地よく、行程はさほど苦ではないものの、口をきかないルシャの体力が気遣われた。
暫くすると石と岩が目立つ場所に辿りついた。
そこでルシャの示す先を見ると、岩が口を開いた横穴がある。
地下に続くその穴は外からではどの程度の広さがあるか想像がつかない。
入ってすぐの雨に濡れない所で、ルシャに休んでいるように指示した。ルシャを見守れるよう、身体の一部を分けておく。スライム状のそれに目玉が発生する。
「なんですか!? それ!?!?」
「まぁ私の分身みたいなモノだ」
「……」
ルシャは明らかに言いたいことを圧し殺す様子で絶句している。
「……ひかないでほしかったな」
「ひいてませんよ!?」
「顔に書いてるからなァ」
雄弁にキモ!!!って。言わずに我慢してえらい。
優しさが辛かったが野柳は警戒しつつ奥へ進む。
だんだん、光が届かなくなってくるが、改造の際強化された視力のお陰で、支障はない。
分身なしでは、入口の音も光もつかめなくなった時、大きな岩が進行方向を塞いでいる所にぶち当たった。
──本格的に引き籠もっているわけだな。
全身を液状化させ、隙間から侵入する。
行き着いた部屋は薄暗く、湿っていた。
そこに、顔見知りが居た。




