2-6
と。ルシャと野柳を隔てるように、唐突に砂の壁が発生した。
――やはりな。
飛ばした腕は液状化していたこともあり、あっさり砂に沁み込み消えた。
役目を終えた砂の壁はあっさり崩れ去る。
地面に落ちたルシャはなにが起きたかわからないように、ぺたんと座り込み、目をぱちくりしばたいていた。
手を貸して、立ち上がらせる。
「思った通りだったな」
「え? え?」
「やはり、近接格闘にはまだ不安が多い。私が良いと言うまで避けるんだ」
「はい!! じゃなくて!! 何が起こったんですか!?」
「これは推測だが。一つには君の魔神は風の魔神じゃない。もう一つには君は魔神を使役していない」
混乱しどおしのルシャに、野柳は簡潔に言う。
「現段階で風を自由に使えていて、掃除しなくても家に砂が入ってこない。昨日の戦闘でも君を助けようとすると、援護があった。そして今試しに殺意を放った結果を考え合わせると」
「殺意!? 失敗してたら私死んでたってことですか!?!?」
「え? いや……大丈夫でしょ手加減したから……」
「ホントですか!?」
「たぶん……」
一瞬の沈黙。
「とにかく!! 君の魔神の司るスキルはもっとスケールの大きいものだ。たとえばそう。砂漠とか」
「ホントですか!?」
「推測だと言った。そして、戦闘時の風以外君の意志と関係なしに発動していることを考えれば、魔神は自分の意志で君に協力しているッ!!」