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戦闘狂

反乱軍による魔王を代替わりさせる作戦は、壊滅的な打撃を与えられ反乱軍としての機能を失う寸前だった。反乱軍の幹部は過半数が捕縛され、残る標的は反乱軍のリーダーであるアスタロトのみとなっていた。しかし彼は護衛とともに行方を眩まし足取りを追える状況ではない。リックは魔王の執務室でソファーに身を預けながら、反乱軍に関する報告書に目を通していた。魔王の側近である他の悪魔たちも地図に目を通したり、今後の作戦を話したりと忙しくしている中、目で文字を追っていたリックは背筋がちりっと焼けつく感覚をおぼえた。

力の塊がぶつかり合っている感覚を察知したリックは立ち上がり、執務机で書類を書いている魔王の前に詰め寄った。


「魔王様、アマイモンが誰かと戦闘してるみたいなんだけど」


「……その様だな」


目を凝らしてみなければわからない違いだが、ティーカップやペン立てが小刻みに揺れている。距離が離れているであろうにも関わらず、魔王城にまで衝撃波が来るというのは激しい闘いをしている表れだった。微量な魔力を感じ取り、一人はアマイモンと特定できたものの、もう一人からは全く魔力を感じない。振動が伝わるほどの激戦を繰り広げているであろうに魔力なしで魔族随一の戦闘狂であるアマイモンと渡り合えるとは考えづらかった。しかし、魔力は無いが無類の強さを持つ者なら一人だけ心当たりがある。リックは部屋の中にも拘らず背中に生えている羽根を広げ、無詠唱で転移魔法を発動する。

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