4種族と神
あれは人だろうか?でも蓮意外この橋を渡っていないはずだ。なら他の橋からだろうか?
「行ってみるしかないか……」
そのまま一気に加速し橋を渡り終わる。そこで三つの集団の姿がハッキリわかるようになってきて、もう何が起きても驚かないと言っていた蓮は再び驚愕することになった。
「まじか……」
今日何度目か分からない言葉を呟きながら集団から少し離れたところにトラックを停車させる。そして恐る恐るトラックから降りるとその集団の右の1つから声が上がった。
「やっと最後の代表が来たか!!遅いではないか!がっはっは!!」
その人物を一言で表すならライオンだ。それも二足歩行していて2メートル以上は確実にあるであろう体躯のライオン。それが腕組をして喋りながらこちらを見ている。
「oh......ふぁんたじー」
正直いってめちゃくちゃ怖い。ライオンさんの後ろには様々な二足歩行の動物達がいらっしゃる、その中には人間に近い人もいるみたいだ。そんな感じで観察していると正面からも声が上がった。
「私を待たせるとはどんな者が来るかと思っていたが、ふむ……軟弱そうだが戦えるのか?」
見た感じだと中性的な顔をしているがたぶん男だろう、人っぽいが肌が紫で目が赤く、髪は闇のように深い漆黒だ。こちらも十分怖い……。後ろにいる人たちも同じ感じだった。
「先程乗っておった後ろにいる珍妙な獣がいるのじゃ、心配せんでも大丈夫ではないかのぉ」
今度は左から、こちらも人に近いが耳が長く尖っていて肌は白く金髪だった。
「エ、エルフ?」
「どう見てもハイエルフであろう!お主は失礼なやつじゃのぉ」
「す、すみません……」
違いがわからないので取り敢えず謝っておく。
「うむ、分かればよいのじゃ」
「がっはっは!!お前ら面白いな!」
「あのぉそ、それと後ろのは獣ではなくトラックと言いまして……」
と、言いかけた時、島の中央あたりが眩い光に包まれていく。
「うわ、なんだ!?」
「おお、やっと来られたようじゃの」
「私は待ちくたびれました」
「がっはっは!」
他の3名は何が起きいてるのかわかっているようで落ち着いてる一方、蓮は感じたことも無い強い光とその神々しさに戸惑う。やがて光が収まるとそこには青い髪の綺麗な女性が立っていた。
「よくぞ集まって下さいましたね。各種族代表の方々」
その声はとても澄んでいて聞いていて心地がよかった。
「がっはっは!なんのこれしき神の呼びかけに応じた迄!」
「神からの予言がありましたので問題ありません」
「そうよのぉ、わしらはお告げに従っただけじゃ」
「えぇ!?神様?」
「うふふ、そうですね私が神様です」
「まじで?本当に?」
「あら?あなたの世界にもだいぶ前からお知らせはしていたはずだったのですが……」
「えぇ……」
他の3人は頷いていて分かっているようだ。
「預言者や占い師など私の言葉が届きそうなものに伝えましたよ?」
(そんなオカルト的な話この世界じゃ溢れてるんですが……)
「神からのお告げなどそうあるものではないからのぉ。来た時は大騒ぎだったんじゃ」
「そんな重要なことだったらもっと確実に伝えて欲しかったです……はぁ……」
人間達が生み出すガセネタの多い世の中に落ち込む蓮だった。
読んで頂きありがとうございます。
良ければポイント評価宜しくお願いします。