プロローグと1日目、2日目
20XX-俺は勝ち組となり、神へとなった。
誰に何を言われようが、俺は勝ち組である。
理由はとてもシンプルである。とても可愛い彼女がいるのだ。しかも他の女の子たちとはレベルが違う。
そうだな。今から俺がその彼女と付き合うまでの話を書き留めよう。
なにせ、実った恋話よりは、その過程の方が聞いてていくらか面白いだろう。
俺はあまり顔がいい方とは言えなかったし、スポーツもこれといって得意ではなかった。そして対人関係を築くのも下手だった。
高校はそれなりに名の知れたところに通っていた。入学当初は楽しかった。みんな優しく接してくれて嬉しかった。
けれど、時が経つにつれ野蛮な猛獣たちが俺のことをいじめ、雌豚どもは嘲笑って馬鹿にした。その結果、俺は学校へ行くのが怖くなり、次第に学校にもいかなかくなった
そんなある日、下校中に最寄りの駅で彼女と出会った。いや、この時はまだ、こちらが一方的に見ただけなのかもしれない。
どちらにしろ、俺はその彼女に一目惚れしたと言う算段だった。
何を隠そう、容姿が完璧すぎたのだった。
顔立ちは当たり前であるのだが、黒髪ロングのちょっと童顔それでいてなぜか悲しそうな顔をしていた。もちろん巨乳です。
そこで一目惚れした俺は、話しかけようかどうか悩んだ結果、とりあえず試してみるという結論に達した。
どんなことでもチャレンジが大切であると思った。
人目を気にして、彼女へ近づき試しに話しかけてみた。
「あのー落し物をしたんですけど、探すの手伝ってもらっていいですか?」
(ちょっと図々しいけど、まあいいか。)
「いいですよ。落としものってなんですか?」
(いい回答だ。けど、落としものって言ったけど、何を落としたって言えば正解なんだろう)
「父親の形見のペンダントを落としてしまって、十字架なんですけど見かけましたか?」
(まあ悪くないだろ。他のことを言うぐらいなら、こっちの方が気が引けるっしょ)
「それは、大変ですね! 一緒に探しましょう。どこら辺で無くしたんでしょうか?」
そう言って彼女は俺に上目遣いで訪ねてくる。
(当たりだ。声も可愛い。俺はこの子を彼女にしたい。)
「そうですね、、、、」
(これ、ワンチャン路地裏とか言ったらヤレるんじゃね?いや、そんな甘くないよな。人生は。)
「おそらくなんですが、この本屋のどこかだと思うんですけど。」
(んー。まあそうなるわな。)
「わかりました。探すの手伝いますね!。」
<30分後>
「わーー、すみません。私これから塾があって、帰らないといけないです。ごめんなさい」
(えーーー、帰っちゃうの?てっきり最後まで探してくれると思ったのに。けど駄々とかこねたらダメなんだろうな。)
「こちらこそ、ここら辺って人がいなくて勝手に頼っちゃってすみませんでした。塾頑張ってください。」
そうして彼女は俺の目の前から去って行った。
そして俺も駅を出て、自宅へと帰宅した。
家に着くと、いつもの通り3人の妹たちが俺の帰りを出迎えてくれた。とても優しい妹たちである。
「お兄ちゃん、おかえりー。」
「おかえりぃー」
「にーたんも一緒にあーそぼー」
「ただいま。みんないつもありがと。」
(やっぱり妹っていいよね。学校のことが噓みたいに吹っ飛ぶ)
駅で見たあの美少女が忘れられず、俺はベッドに寝転がり、じっくり考えた末、彼女を攻略する。即ち自分の彼女すると決意した。
翌日から俺はその日を攻略日と位置ずけた。
(大丈夫。明日また駅に行けば会えるさ。)
攻略日1日目。下校途中の駅でまたあの例の美少女を見つけることができた。しかし、彼女と接することはできなかった。
帰宅後、安定して俺のことを迎えてくれたのは妹たちであった。
「お兄ちゃん、おかえりー。」
「おかえりぃー」
「にーたんも一緒にあーそぼー」
「ただいま。いつもみんなありがと。」
(ったく、お前らもワンパターンの出迎えだとお兄ちゃん寂しいぜ。けどまあ、久し振りに妹たちと遊んでやるか。)
「お前ら何して遊びたいんだ?」
「いや、私は別に遊ばなくても、、」
「おにぃ、なんか一発芸してよぉ。」
「にーたんとあそぶーー」
(そうだな。一発芸でもしてやるか。)
「一発芸か。いいよ。」
(けん玉か、ダンスか。やっぱりけん玉の方が気を引ける)
そう思い、けん玉をしたところ、大いに盛り上がった。
「おぉーー!すごいじゃん。」
「おにぃ、やればできんじゃん。」
「にーたん。じょーず。」
「っはは。ありがと。」
(これは上手くいったな。けど今は妹たちより構いたい相手がいるんだよな。)
部屋に戻り、明日こそはあの子に話かけると決意して寝た。
攻略日2日目。下校途中の駅で彼女を見つけることができなかった。けれど、初めて話したあの書店で彼女と出会うことができた。
(ラッキーというか、書店に行く俺のセンスかな)
書店につき彼女に話しかけようと思い近づくと、彼女は本が取れずに困っているみたいだった。
そこで俺は、ひょいとその本を取ったあげた。
「あ、、、えっ?その、?ってあなたもしかしてこの間のペンダントの方ですか?」
「は、はい。この間、助けてくれたおかげでなんとかなりました。困っていたみたいなので取ったんですが、やっぱり邪魔でした?」
「そんなことないですよ。ありがとうございます。ペンダント見つかって良かったですね。」
俺を見て笑顔で返してくれた。とてつもなく可愛い。
(さあ考えろ。ここからが正念場だ。いきなりメアドを聞くのはダメだ。ここは軽く雑談するのが吉かな)
「あ、そういえば、この本は何の本ですか?」
「え?見ればわかると思うんですけど、小説ですよ。」
(あ、これミスったかも。けどまあこんなもんだよな。)
「あ、すみません、、私これから塾でした。本取ってくれて、ありがとうございました。」
「、、、、、、はい。」
そうして彼女は書店を後にした。自分も追うように家へ帰った。
(流石に今日は家へ帰っても、妹たちとは絡めそうにないな。)
そうして特に何も進展せず攻略日2日目が終わりを告げたのだった。