ガン見
高校2年生、苦手な数学だとどうしても聞く気が失せちゃう。
私はそんな時、隣にいる暁穂さんを観察する。
暁穂さん…実際には苗字の三谷さんって呼んでいる、はどちらかと言えば
「カッコイイ」部類だ。
男の子と間違えそうなベリーショートで、皆からはイケメンと呼ばれているけど、目を見れば美人だと分かる。
ちょっとつり目で、日本人離れした高い鼻を持っていて、薄めの唇。
それなのに巨乳なのが意外だ。
そんなこんなで私が見とれる程の美少女なのだ。
暁穂さんをチラリと見てみると、難しい問題に当たって考え込んでるみたいだ。
形の良い眉をしかめているのが分かる。
そんな姿すら絵にしてしまうから、美少女ってお得だと思う。
数学の問題をガン無視して見ていると、暁穂さんが何故かこっちを見た。
……目を合わせたまま、時が過ぎていく。
まるでふたりだけの世界みたいだ。
今は授業中だけど。
「…何見てんだよ」
暁穂さんが咎める様に言う。
「別に…」
返事に少し動揺の色が混ざる。
すると、暁穂さんはさして興味を持っていなかったのか、ワークをまた解きはじめた。
…私もやらなきゃ。
そう思い問題番号を書くと、ふと名前を呼ばれた。
「さては俺に見とれたんだなw」と言い、ニィッと歯を出して笑う。
そんな悪戯っぽい表情を見たら、何だかワークを解ける気がしてきた。