王子
(注意;この話は主人公 鶴井 優歩のクラスメイトで同じ性転換症の持ち主、青竹 愛喜の視点でお送りします。)
僕はとある学校に通っている。
そこは性転換症の人でも差別なく受け入れてくれる場所。
僕はそこに通っている。
この学校ではあいにく、男女の交流はない。
校舎も男子校舎、女子校舎と別れている。
寮も男子寮、女子寮と別れている。
僕ら性転換症の人は性転換寮というところから学校に通っている。
ここで性転換症というものをおさらいしておきたい。
性転換症とは朝起きるまで性別が定まらない人たちのこと。
よって僕たちは朝起きるまでその日の性別が分からない。
だから男子寮、女子寮といった特定の寮に住めないのだ。
考えてみてもらいたい。
異性禁止の寮で突然異性が現れたら大混乱だ。
だから僕たち性転換症の人たちは別に寮が作られている。
性別によって人格が変わる人がいるらしい。
僕のクラスにも1人いる。
でもそんなのはごく一部だ。
僕みたいに人格の変わらない人の方が大勢いる。
性別によって人格が変わるのは卑怯だと思う。
まぁ、その人にはその人なりの悩みがあるみたいだが。
だいたい心の性が決まっている人が多い。
わざと決めていない人もいる人もいるみたいだが。
僕はこんなしゃべり方だからわかりにくいかもしれないが心の性は女だ。
でも男子校舎にいる方がずっと気楽なのだ。
僕が女子校舎にいる時、男っぽい格好からか女子によくもてる。
小学校の時からなのだが女の子によく告白されるのだ。
一応が言っとくが僕は女の子に興味はない。
僕の恋愛対象は男の子なのだ。
でも僕の周りにいる女子はそんなことは関係ない。
僕は女子から王子というあだ名で呼ばれることが多い。
ていうか、一応女の子のたしなみというものには全部触れている。
ヒラヒラしたもの、カワイイものには目がないぐらいだ。
僕の部屋にはぬいぐるみがいっぱい置いてあるしファンシーなものも大好きだ。
心は普通の女子と変わらないと思う。
でも僕には似それは似合わないと思う。
だからクラスのみんなには内緒にしている。
僕はクラスの人たちからクールな人間だと思われている。
特に女子からの視線が熱いぐらいだ。
だから僕は女子校舎では女子の望む姿でなければならない。
とても苦痛だ。
だいたい、他の性転換症の人たちは性転換する時、身長も変わっている。
でも僕は身長はあまり変わらない。
顔もそんなに変わらない。
幸い男子としても女子としても行ける中性的な顔立ちなのだそうだ。
つまり、僕は他の性転換症の人たちに比べ変化が乏しいのだ。
いわゆる中途半端。
それがコンプレックスです。
男子校舎にいる時は正直天国です。
親友も沢山いるし、何よりうちのクラスには美少年が多い。
着替えの時なんかはその美少年の着替えが生で見れるのだ。
眼福きわまりない。
その時は興奮が抑えきれないぐらいに。
いろんな男子ともお話が出来る。
やはり女子と話すのとは訳が違う。
テンションが上がるのだ。
しかし、僕が男の子が好きだと言うことはクラスのみんなには悟られていない。
いや、悟って欲しくない。
イヤらしい人間だと思われたくない。
多分ばれてないと思う。
とにかく男子と話すといろいろと勉強になる。
男の子はこういう考え方を持っているんだと。
僕は男子としても女子としても生きていかなければならない。
でも心の性は女だ。
だから男の子の気持ちが分からない。
だから少年マンガにも手を出した。
男の子同士の友情も良いものだと思った。
でもこじらせてしまい今はBLにはまってしまっている。
僕のクラスには性転換症の人間が僕を含めて3人いる。
1人は性別が変わるごとに人格も変わる鶴井 優歩さん。
最初は演技かと思ったけど、どうやらマジらしい。
女子の時はいわゆるギャルっぽい。
彼氏の話でうんざりするぐらい。
ていうか他に話題はないのか。
でも基本はいろんなことに気が回る良い子です。
男子の時は無口キャラ。
クールで眼鏡の二枚目です。
ちなみに女子の時は眼鏡をかけていません。
僕の見る限りでは。
かなり気の回る委員長タイプといったところでしょうか。
もう1人は自称性転換症初心者と言っている北沖 和陽さん。
なぜこんな自称をしているのかよく分かりません。
性転換症は生まれつきのものだから、後天的に付くことはまずない。
と言うか聞いたことがない。
性転換症の人物であることは確認済みです。
この子は男子の時も女子の時も基本おとなしくて目立たないタイプ。
ていうか目立ちたくないタイプのように見えます。
男子の時も女子の時もいつも端っこで本を読んでいるように見えます。
恐らく僕のように人格も変わらないタイプだと思います。
僕はこの学校でいろんな体験をしたい。
女子としても男子としても。
女子としてはもう少し女の子らしくなりたい。
ていうか女の子として認められるように頑張りたい。
そしていろんな性転換症の人にも知り合いたい。
この学校にはいっぱいいるのだから。
寮には住んでいるけれど同じ学年の人しかよく知らない。
性転換症の人たちについてもっとよく知りたい今日この頃です。