期末試験
(この話は鶴井 優歩の視点でお送りします)
今回は僕たちの試験のお話をします。
まず僕たちの学校は男子校舎、女子校舎と別れています。
もちろんそれぞれで授業が行われている訳ですが進度が違います。
微妙にですが。
だからテストの範囲も微妙に違ってくるのです。
一応言っておきますが僕の通っている学校はそれなりの進学校です。
毎日授業についていくのがやっとなのです。
その上僕たち性転換症の人たちは男子校と女子校を行ったり来たり。
教科によって進み具合がまちまちなのでその度に戸惑ってばかりなのです。
もちろん、僕たちをサポートしてくれる友達がいるのですがそれでも大変です。
ついでに言うと余計なことかもですが僕は完全記憶能力者でもあります。
自慢になりますが。
僕は見たものは決して忘れません。
だから実はノートを取ったことがありません。
でもこれは僕が生きていくためには必要な能力。
なぜなら僕は二重人格で女子の時は僕の自我が眠っています。
(二重人格でもある僕の)妹も男子の時は自我が眠っています。
しかし、記憶は共有しています。
お互いが生きた証としてそれぞれ記憶を共有しているのです。
何が言いたいのかというと僕たちは確かに人格は2つなのですが体は1つです。
それぞれが矛盾を生じないように生活の全てを記憶しておく必要性があるのです。
但し、記憶は共有していても人格は違います。
つまり感情が違うのです。
僕は女子の時、何を思ったのかは分かっています。
事細かに。
しかし、なぜそう思ったのかは共有できません。
それは妹も同じだと思います。
さて、本題です。
試験の話です。
僕たち性転換症は試験の時は特別室に監禁されます。
言い方はあれですが。
そして、携帯電話など通信手段に用いられるものは全て没収。
男子校舎や女子校舎には行けない状態を作ります。
つまり、僕たち性転換症の人たちは隔離されるのです。
そして通常3教科を5日間、つまり計15教科の試験が行われる訳ですが僕たちは違うのです。
その理由を詳しく説明します。
僕たち性転換症は同じ3教科を2種類ずつ計6科目行うのです。
初日を例に取りましょう。
初日の教科は国語、地歴、音楽。
僕たちはまず男子校舎の国語の試験を先にやりました。
次の時間に女子校舎の国語のテストをやります。
つまりどの教科も二重にやるのです。
当然テスト時間が他の校舎より多いので試験内容が漏れないように僕たちは監禁されているのいるのです。
僕は二重人格なので女子の試験を受ける時は女子の時の記憶を遡って受けます。
だけど保健体育のような女子特有な授業の時はちょっと恥ずかしかったりします。
何せ僕は女子に囲まれたことがないから。
ちなみに僕の学校の教科は国語、地歴、公民、数学、理科、英語の主教科のほかに副教科として音楽、体育、美術、家庭、情報という教科。
そしてこの学校独自の教科、演劇、環境、情報、福祉と言った教科があります。
ご覧の通り、教科が多いので1日の授業時間が8時間だったりします。
正直毎日がしんどいです。
その上、毎日のように校舎を変えている僕たちは行く度に授業が進んでいたり遅れたりして授業について行くのが大変なのです。
試験時間は普通の人たちは3時間、僕らは倍の6時間。
正直しんどいのです。
でも僕らはそれだけでは終わりません。
実技の試験です。
普通はテスト前に終わっているのですが僕らはいつ性転換をするのか分かりません。
例えば女子の実技の試験があった時に僕が男だったとします。
僕たちは自由に性別が選べないのでそういうことがままあります。
体育や音楽は別に困らないのですが問題は演劇です。
演劇と言う教科について少し説明します。
僕たちの学校で演劇という教科があるのはいろいろな人の立場になってその状況を考える。
自分よがりの性格にならないように他人にも気遣いが出来る性格になるようにとの目的で置かれたとのこと。
結構崇高な目的があるのです。
しかし、所詮男子は男子の役、女子は女子の役をやるのです。
当たり前ですが。
実技の演劇の試験は僕にとっては地獄。
なぜなら僕の妹はキラキラ女子が好き。
演じるのはそれ系が多いのです。
しかも今は僕は男子。
実技の試験は女の先生の前でキラキラ女子の一人芝居をしなければならないのだ。
人格が変わらない他の2人は上手いこと自分に会った役を演じている。
僕は妹が勝手に選んだ役を演じなければならない。
しかも台詞がこっぱずかしい。
「あ〜、あなたを長い間お慕いしました。
あなたを思うだけで胸が張り裂けそうです。
私の王子様、どうか私と一緒に暮らしてください。
言うなれば私のは雪山で凍え死にそうな状態なのです。
そんな私の心をあなたという毛布でくるんで欲しいの。
私の告白をどうかお受け頂きますように」
女の先生は笑いを堪えて見ている。
そりゃそうだろ、男の僕がこんな台詞を吐いているのだから。
こっちだって恥ずかしい。
でも女子の実技だから女子の台詞を言うしかない。
男子の台詞を申し出たがそれは断られたから。
そんな5日間の試験を男子だったり女子だったりして受けました。
あ、それと1日が終わればちゃんと寮に帰れます。
教科自体は男子校舎、女子校舎と同じものなので。
僕たちは午後に帰りますが。
とにかく今は大変だった試験期間は終わりました。
もうすぐ夏休みです。
今からものすごく楽しみです。
その前に大変なことがありますが。
試験期間に猶予をもらっていたのですが今はラノベの締め切り間近です。
それがなければもっと気が楽なのですが。




