デート(亀井雪彦編)
(この話は亀井 雪彦の視点でお送りします)
今日は久しぶりのデート。
僕はかなりウキウキしていた。
なんてたって高校に入って初めてのデート。
高校は男女別の校舎で僕は彼女とはもちろん校舎が別。
つまり、高校に入ってから初めて会うのだ。
僕は前日、幼なじみの優歩にデートの相談をしていた。
彼は
「好きにすれば良いんじゃない」
と素っ気ない。
僕と彼女のデートには興味が無いようだ。
その代わり、彼は
「明日、デートなんだけどどんな服を着ていけば良いと思う。
やっぱ、出来るだけかっこいい服を着て男らしいところをアピールするべきだろうか。
僕はラノベを書いているけれどラノベのような男に近づこうと努力しているのだけど」
僕は心の中で
「テメエが書いているものは百合モノで男なんか1人も出てこないだろうが」
と叫んだ。
実は今日、僕の他に双子の姉貴がいる。
ちなみに僕らはお互いに姉貴、お兄ちゃんと呼んでいる。
実は僕ら2人のどちらかは保護者になりどちらかはデートの当事者になる。
それは彼女というか彼というか、とにかく来るまで分からない。
僕らがデートする相手は性転換症だ。
性転換症とはその日起きてみないと性別が決まらない人たち。
僕らはそう言う人と付き合っているのだ。
約束時間の10分後、彼がやって来た。
姉貴は
「遅い!!」
と怒った。
どうやら今日は男の方だ。
僕は正直、ガックリときた。
今日来たのは優歩だ。
優歩は
「ごめん」
と僕に謝った。
僕は
「しばらく君の妹に会っていないのだけどどうなっているの」
と彼に問い詰めた
彼は
「本当にごめんて。
でもこればっかりは調整の出来ないことだから。
僕だって次の日の性別なんて分からない。
それに妹だって会いたかったと思うよ。
僕には知りようがないけど」
ちなみに彼は二重人格だ。
つまり、男の時と女の時とでは人格が違う。
お互いを弟、妹と呼び合っているようだ。
僕は彼女のことが本当に大好きだ。
清純で優しいところ、そして可愛いところ。
高校に入ってからは少しギャルっぽくなってしまったがそれもまたカワイイ。
彼女の様子は姉貴からよく聞いている。
僕のクラスと同じように彼女はよくクラスに溶け込んでいるらしい。
最近は彼女に会えなさすぎてBLにはまっている。
同じ婚約者なのだから男でもいけるとも思っている。
彼からは思いっきり拒絶されているけれど。
そのためか今日彼女に会えるのを本当に楽しみにしていた。
僕に優しい彼女を。
そういう訳で今日は保護者の役割だ。
デートの最初は遊園地、姉貴が一番好きな場所。
そして僕ら男2人が一番苦手な場所。
とにかくアウエー観が凄い。
僕は乗り物に乗らずに気長にベンチで待っていた。
ある程度、絶叫マシンを乗り終えた正午ごろ彼と二人きりになった
彼は
「本当、ずるいよな」
と僕に言ってきた。
僕は「えっ」と聞き返すと
彼は続けて
「僕だって絶叫マシンは苦手なのに君だけ乗らないでさ」
僕は
「僕だって君の妹とのデートの時は我慢して乗っているさ。
それに姉貴とのデートは邪魔したらいけないだろ」
と言い返すと
「そりゃぁ、デートの邪魔はして欲しくないさ。
でもそれとこれとは話は別。
隣に乗る必要は無いけど後ろで見守るとか今日は保護者役なんだから近くにいてよ
それだけで心強いんだから」
僕は意地悪く
「姉貴に男らしいところ見せるんじゃなかったのかよ」
と言ってみた。
それを言うと彼は黙りこくってしまった。
帰りはショッピング。
姉貴の服を買いに行った。
姉貴の買い物は長い。
いろいろと品定めをしながら買っている。
様子がおかしいのは優歩だ。
いつも婦人服売り場をあっちこっち動いている。
姉貴に似合う服を探していると言っているが様子が違う。
ものすごく婦人服に興味津々だ。
そういえば自分が書いている百合小説の参考にしているとも言っていたような。
婦人服を真剣に見彼は一種異様に見える。
それでいて彼の選ぶ姉貴の服はセンスが良いから不思議だ。
ちなみに彼に女装癖はない。
デートが終わると門限の6時までに寮に帰らなければならない。
本当は8時まででOKらしいのだが(デートの時は)僕らは普段の門限通り6時に帰ることにしている。
正直、8時までの時間の過ごし方が分からないのだ。
友人からも健全なつきあいだと揶揄されている。
(まだ今日1回しかしていないのだが)
僕はデートをした感じがしないと言えば嘘になるがその楽しみは次回に取っておくことにする。
彼は寮に帰ったら締め切り間近のラノベを書くと言っていた。
彼はこう見えてプロの高校生作家だ。
それに多分売れていると思う。
彼は2人を養うぐらいの収入があるといっていたから。
その代わり締め切りが厳しいと言っていた。
性別によって書けるジャンルが違うから大変だとも。
だから書ける時に書きたいとも。
今日、夜に編集さんが見張りに来るらしい。
本当にギリギリなんだとか。
そんな日にデートをして大丈夫だったのか。
彼は気分転換になったとも言っていた。
今日中に終わらせないと地獄だとも。
彼は
「多分、明日は学校に来れない」
と僕らに言っていた。
今日は徹夜だそうだ。
ちなみに彼は寝なければ性別が変わることはないのだそう。
とにかく彼は
「帰ったら今日は地獄だ」
とぼやいていた。
彼にとって今日は天国と地獄のような1日のようだ。




