デート(生徒会長編)
(注意;この話は白波瀬 海人の視点でお送りします)
今日は久しぶりの彼女とのデート。
しかし、朝から機嫌が悪い。
理由は簡単、僕が男の姿だからだ。
僕の彼女は浄安 清花、女子高生だ。
彼女はいわゆる同性愛者で男の僕のことを毛嫌いしている。
最初の(男の姿での)デートは最悪で彼女は
「私が同性愛者であり、男性恐怖症であることは分かっているの?
あなたがそう言う格好で来るのは嫌がらせ?」
と皮肉を言われた。
僕は性別を選ぶことが出来ない。
その日にならないと自分の性別が分からないのだ。
ちなみに性別が固定されている日もあるのだがその日はかなり体調が悪くデートどころではない。
だから初めてのデートの時はそれを口酸っぱく説明した。
彼女は頭の中ではよく分かっているのだそう。
でも感情はうまくコントロールできない。
デートの後での女子校舎でメチャクチャ謝ってくれた。
どうやら男の僕と女の僕が同一人物であることは理解しているようだ。
それでも初めの何度かは男の僕が女の僕とと同一人物であるか何度も質問攻めにあったが。
さて、男の僕が今日のデートでしなければならないことは女装である。
彼女が選んだ服を持参し多目的トイレで着替えてデートに臨まなければならない。
声も裏声を使わなければならない。
元の声だととたんに不機嫌になるからだ。
そして女装した僕に彼女は
「やっぱり女の子の時と違うわね。
骨格も違うし、背丈も違うし、さながらお姉さんね」
と彼女は言う。
これもいつも通りの光景だ。
それからの彼女は機嫌がいい。
でも、彼女からすると本当のデートじゃないらしい。
心から楽しめないのだと言っていた。
妥協しているのだとも。
それからの僕たちはとりあえず食べ歩き。
甘いものを食べてはガールズトークに花が咲く。
恋人という感じはしない。
僕からすると女子校舎の光景とさほど変わらない。
昼から予約していたプラネタリウムに入った。
本当は星を見ずにいちゃいちゃするために入ったのだが今日はそんな感じはなくみっちりと星の勉強が出来た。
僕はそれでも大満足だったのだが彼女はかなり不機嫌だった。
彼女は
「あなたとではなくまりも(女の僕)と行きたかったわ」
と言っていた。
そして、次は映画館。
仕返しかどうか知らないけれど僕の苦手なホラー映画だ。
女の時は僕の好きなアクション映画、アニメ映画の2本立て、場合によっては恋愛映画なども見る。
計4〜6時間の長時間の鑑賞だ。
しかし、男の時はわざとホラー映画を見させられる。
しかも長時間。
これがかなりの苦痛だ。
何せしばらく夢にでも見るぐらいのトラウマが残る。
それでも彼女が喜ぶのだから我慢するけど。
(彼女はどちらかというと映画を見ずに僕のリアクションを見て楽しんでいるように見える)
映画を見た後、彼女は
「これで溜飲が下がったわ。
今度は妹さん(女の時の僕)を連れてきてね」
とにこやかに言ったりする。
帰路に就くと彼女は
「今日はごめんなさいね。
どうしても男の人が苦手だから。
でもあなたと一緒になりたいから男のあなたも慣れるようにするから。
あなたのことが本当に好きだから。
だから嫌がらせの1つでもしたくなるの」
僕は限度が越えているのだといつも思っているがそれはぐっと飲み込んだ。
彼女は僕が男の時と女の時とでは態度がまるで違う。
僕が女の時はとにかく優しい。
少しヤキモチ焼きだけど。
僕は彼女の心に惚れたのだ。
だから、男の時の態度を見ても僕が彼女を嫌いになることはない。
ちょっとしんどいけど。
もちろん、デートの日は帰りが遅くなる。
でも寮には届け出てあるから門限の午後8時までには帰ればいい。
(普段は午後6時です)
ちなみにデート自体、学校に届け出の必要性があり学校に認められたカップルしかデートが認められない。
交際自体、学校に誓約書提出しなければならないがその誓約書自体がかなり厳しいものだ。
その内容とは結婚を前提に付き合わなければならないこと。
在学中はプラトニックな関係であること。
学校を卒業すると同時に学校から婚姻届が提出されること。
もしも別れることがあれば学校は退学になること。
とかなり厳しい。
もちろん、僕らもその誓約書にサインし真面目に結婚を前提に付き合っている。
目下の課題は彼女の男性恐怖症だ。
どうにか僕の男姿に慣れて欲しい。
僕が女の時に男装姿でデートしたことがある。
彼女の感想は「気持ち悪い」のだとか。
何しろ男装が似合っていない。
似合いすぎても困る。
普通のあなたが良いと言われた。
では女装の時はどうしているかというと一応、女物に着替える。
彼女は下着まで揃えている。
さすがに男の時、女性の下着を着けるのは罪悪感がある。
(もちろん、そう言う趣味はないし)
それから彼女は中に入り僕に化粧を施す。
これがたいしたもので僕から見ても本当の女の子にしか見えない。
彼女の化粧技術には本当に舌を巻く。
彼女曰くデートのために一生懸命練習したのだとか。
ちなみに校則では化粧禁止なので普段の彼女はすっぴんでメチャクチャ可愛い。
とにかく最近は男姿の僕を早くかっこいいと言わせたいと思っています。
そして今は、女子校舎での平身低頭の態度の変わった彼女を早く見たいと思っています。